
株式会社JTBは、2026年夏休み期間(7月15日から8月31日)における1泊以上の旅行に出かける人の旅行動向見通しをまとめた調査レポートを発表しました。このレポートは、日本人の1泊以上の旅行について、各種経済動向や消費者行動調査、運輸・観光関連のデータ、JTBグループが実施したアンケート調査などから推計したもので、1969年から継続的に調査を行っているものです。
この記事の目次
調査結果のサマリー
今回の調査では、所得が増加傾向にある一方で、物価高の影響により旅行は節約と工夫でメリハリをつける志向が見られることが明らかになりました。国内旅行については、暑さを避けて屋内など涼を求める過ごし方が人気となっており、海外旅行では現地の物価や航空券代が手ごろな旅行先を賢く選択する動きが広がっています。
夏休みの総旅行者数は7,117万人で対前年比95.4パーセント、総旅行消費額は4兆474億円で同98.3パーセントとなる見通しです。国内旅行は旅行者数が6,900万人で対前年比95.6パーセント、平均旅行予定費用は48,500円で同103.2パーセント、旅行消費額が3兆3,465億円で同98.6パーセントと推計されています。海外旅行は旅行者数が217万人で対前年比91.2パーセント、平均旅行予定費用は323,000円で同106.3パーセント、旅行消費額が7,009億円で同96.9パーセントとなる見込みです。

国内旅行の動向
国内旅行者数については、給与所得や夏のボーナスの増加が見込まれる一方で、それを超える節約志向の高まりにより、前年よりやや減少すると予測されています。平均旅行予定費用については、物価等の上昇が価格に転嫁された影響を受け、前年に引き続き上昇する見込みです。消費者は自ら価値を感じるものには支出を維持するなど、メリハリ志向が見られます。
旅行時の暑さ対策として、屋内施設での滞在や移動を最小限に抑えた観光、早朝・夜間の涼しい時間帯の観光への関心が高まっている傾向が確認されました。
夏休みの旅行意向と傾向
2026年夏休みの帰省を含めた旅行の詳細について、アンケート調査が実施されました。今年の夏休みの旅行意向については、「行く」(「行く」と「たぶん行く」の合計)と回答した人は調査時点で30.6パーセントとなり、前年から3.6ポイント減少しました。
また、夏休み前の6月15日から7月14日、または夏休み後の9月1日から9月30日の旅行について聞いたところ、「夏休みだけ行く」が10.5パーセントで前年から1.9ポイント減少、「夏休みと夏休み前後に行く」は20.2パーセントで1.6ポイント減少した一方、「夏休み前後にだけ行く」が8.8パーセントで0.6ポイントの増加となりました。混雑や料金の高騰を避けるため、夏休みのピークシーズンを外して夏休み前後に旅行に行く傾向が高まっている様子がうかがえます。
性年代別で見ると、男女とも若い年代ほど旅行意向が高い傾向が見られました。「行く」(「行く」と「たぶん行く」の合計)は、男性29歳以下が最も高い40.5パーセント、女性29歳以下が39.4パーセントとなりましたが、いずれも前年より減少しています。前年と比較すると、全世代で減少しているものの、減少率は女性50代以上で小さくなりました。
旅行に行かない人に理由を聞いたところ、最も多かったのが「夏休み期間は混雑するから」で29.2パーセント、次いで「家計に余裕がないので」が26.3パーセント、「家でのんびりしたいので」が25.9パーセント、「夏休み期間は旅行費用が高いから」が16.8パーセントとなりました。

旅行に対する考え方
「今年の夏休みに旅行へ行く」と答えた本調査対象者2,060人に、今年の夏休みの旅行に対する考え方を聞いた結果が報告されています。「昨年の夏休みより旅行日数を増やす」は13.9パーセントで前年より2.3ポイント減少したものの、「昨年の夏休みより旅行日数を減らす」の5.4パーセントを大きく上回っています。
また、「昨年の夏休みより遠方へ旅行したい」の7.6パーセントは「昨年の夏休みより近場の旅行に行きたい」の6.3パーセントを上回っているものの、その差は前年の3.4ポイントから1.3ポイントに縮まっています。「お金をかけて豪華に過ごす予定」は6.6パーセントで前年から1.2ポイント増加、「お金をかけず質素に過ごす予定」は5.7パーセントで0.2ポイント減少しました。
ガソリン代については、「ガソリン代に関係なく、車を利用したい」が16.0パーセントで前年より1.7ポイント減少したものの、「ガソリン代が高いので車の利用は控えたい」の3.0パーセントを大きく上回っています。また「国際情勢や感染症、円安や物価高に関わらず、旅行したい」が5.4パーセント、「国際情勢や感染症などの影響の少ない地域を旅行したい」が3.3パーセント、「来年以降、円安や物価高がさらに進んだり物価が上がったりする可能性があるので、今のうちに旅行したい」が3.8パーセントといずれも増加し、この情勢下でも手堅い旅行意欲が感じられる結果となりました。

国内旅行の詳細動向
本調査対象者のうち旅行先を「日本国内」と答えた1,921人の旅行の傾向が分析されました。旅行目的については、「家族と過ごす」が33.0パーセントで最も多く0.3ポイントの増加となりました。次いで「食事、地域の味覚を味わう」が27.3パーセントで0.8ポイントの増加、「リラックスする、のんびりする」が27.1パーセントで1.4ポイントの減少、「温泉でゆっくりする」が23.3パーセントで0.2ポイントの減少となりました。
旅行日数については、全体では「1泊2日」が39.0パーセントで最も多く、前年から2.5ポイント増加しました。一方、「2泊3日」は32.7パーセントで横ばい、「3泊4日」は15.6パーセントで1.8ポイントの減少となり、1泊と4泊が増加し、2泊と3泊が減少しています。
一人当たりの旅行予定費用については、全体では「2万円から3万円未満」が19.1パーセントで最も多く、次いで「4万円から5万円未満」が17.1パーセント、「1万円から2万円未満」が17.0パーセントとなりましたが、いずれも前年より増加しています。
旅行先については、「関東」が19.0パーセントで最も多く、次いで「近畿」が14.9パーセント、「北海道」が11.2パーセント、「東海」が11.0パーセントとなりました。伸び率では、「関東」が1.8ポイントの増加、「東北」が9.3パーセントで1.2ポイントの増加となりました。一方、減少率では「甲信越」が2.1ポイントの減少、「九州」が9.0パーセントで1.1ポイント、「沖縄」が3.3パーセントで1.0ポイントの減少となりました。
旅行先を選んだ理由としては、「行きたい場所があるので」が42.7パーセントで最も多いものの2.0ポイントの減少となりました。次いで、「泊まりたい宿泊施設があるので」が18.9パーセント、「自家用車やレンタカーで行ける場所なので」が18.6パーセント、「帰省先なので」が18.3パーセントとなりました。前年と比較すると減少している項目が多い中、「泊まりたい宿泊施設があるので」が2.5ポイントの増加、「観光客などで混雑してなさそうだから」は0.5ポイントの増加となりました。
居住地別に旅行先を見ると、旅行先と居住地が同じ地方である域内旅行の割合は、「北海道」が67.3パーセント、「九州」が50.0パーセントの2地域で50パーセントを超えています。一方、関東地方の居住者では旅行先が「関東」となっているのが21.8パーセントであるのに対し、「中部」は28.2パーセントと居住地域を上回る傾向が前年に続き見られました。前年と比較すると、「東北」、「関東」、「中部」、「近畿」で域内旅行の割合が増加しました。
同行者については、「子供づれ(中学生まで)の家族旅行」が23.8パーセントで最も多く、次いで「夫婦のみ」が21.8パーセント、「ひとり」が17.8パーセントの順となりました。前年からの増減に注目すると、「子供づれ(中学生まで)」と「家族と友人・知人」の6.5パーセントが増加した一方で、「ひとり」は減少率が最も大きい1.5ポイント減少となりました。
利用交通機関については、「自家用車」が49.6パーセントで最も多く、次いで「JR新幹線」が26.3パーセント、「JR在来線・私鉄」が22.4パーセントとなりました。減少率を見ると、前年に比べ、「自家用車」が2.0ポイント減少、「レンタカー」が9.6パーセントで1.2ポイントの減少、「従来のフルサービスの航空会社」が15.8パーセントで0.5ポイント減少となりました。昨今のガソリン価格の上昇傾向が「自家用車」、「レンタカー」の減少と、「格安航空会社(LCC)」、「JR在来線・私鉄」の増加に影響している可能性が考えられます。
利用宿泊施設については、「ホテル」が64.1パーセントで最も多く、前年より0.5ポイントの増加となりました。次いで「旅館」が23.1パーセントで0.4ポイントの減少、「実家・親族の家」が18.6パーセントで0.8ポイントの減少となりました。

旅行先として気になる場所と暑さ対策
出かける場所として気になっているところは、「自然が楽しめる場所(国立公園や花畑など)」が30.8パーセントで最も多く、次いで「動物園や水族館」が14.8パーセントとなりました。性年代別に見ると、「自然が楽しめる場所(登山やアウトドアなど)」は男性20代が22.6パーセントと40代が23.0パーセントが高く、「あえて事前には決めず、現地に行ってから決める」は男性50代が19.4パーセントと女性70代が19.4パーセントが高く、「寺社仏閣、史跡などの歴史スポット」は女性60代が高いなど、夏の楽しみ方に性年代別の特徴が表れています。
また、「旅行における暑さ対策」や「夏ならではの体験」、「心身の回復」など、今年の夏休みの旅行で重視したいことについて聞いたところ、「暑さを避け、屋内施設での観光や体験を楽しむ」が15.8パーセント、「花火大会など、夏季限定のイベントに参加する」が15.3パーセント、「心身の不調の改善や静養を主な目的としたリカバリーツーリズム」が12.7パーセントの順に高くなりました。
暑さ対策に関する選択肢では、屋内施設や早朝や夜間の時間を活用する観光や体験の割合が高く、また「暑さの中での待ち時間等を減らすための事前予約等の活用」が7.6パーセントで、特に女性29歳以下で高い結果となりました。また心身の回復では、「ストレスを解消するデジタルデトックス」が9.4パーセントで男女ともに29歳以下で高くなりました。
JTBの国内旅行における人気方面は、沖縄、北海道、東京ディズニーリゾートを含む東京などとなっています。また、東北は夏祭りなど季節ならではのイベントを目的とした旅行が人気となっています。


海外旅行の動向
海外旅行者数は217万人で対前年比91.2パーセントと推計されました。国際情勢や燃油サーチャージの上昇、費用を抑えるために夏休み前後の時期に分散するなどが影響していると考えられます。一方、現地の物価や航空券代が比較的安い国などを選んで、旅行費用が高騰する中でも工夫して海外旅行を楽しもうという動きは引き続き見られています。
一人当たりの海外旅行平均予定費用は323,000円で同106.3パーセント、総海外旅行消費額は7,009億円で同96.9パーセントとなっています。
本調査対象者2,060人のうち、今年の夏休みの旅行先を「海外」と答えた人は139人で6.7パーセントとなりました。旅行日数は「3泊4日」が23.0パーセントで最も多く、前年より1.9ポイントの増加となりました。次いで「7泊以上」が20.9パーセントで4.7ポイントの減少、「5泊6日」が20.1パーセントで4.1ポイントの増加となりました。
一人当たり費用は、「10万円から20万円未満」が25.5パーセントで最も多く、次いで「40万円以上」が22.6パーセント、「5万円から10万円未満」が21.2パーセントとなりました。前年と比べると、「5万円未満」が12.4パーセントで2.7ポイント増加した一方、5万円から20万円未満の中費用帯が減少し、やや二極化の傾向がみられます。
旅行先については国・地域別に推計が行われました。上位から「韓国」が26.2パーセントで最も多く、次いで「台湾」が16.2パーセントとなりました。また全体のうち、東南アジア合計は16.3パーセント、アジア合計は79.5パーセントを占めます。一方、前年からの増加率をみると近場の「韓国」は6.6ポイントの増加、「台湾」は6.3ポイントの増加、「アジアその他」は4.2ポイント増加しており、情勢を受け、近距離や現地の物価が手ごろ、円安の影響が少ない、航空券代が比較的安いなどの旅行先を探して、賢く選択している様子がうかがえます。
JTBの海外旅行における人気方面は、ハワイ、シンガポール、グアム、韓国、アメリカとなっています。アメリカは方面別では西海岸の人気が高く、日本人選手の活躍もありMLB観戦を目的とした旅行が人気となっています。
次に、この夏休みに旅行に行かない人も含めた事前調査対象者に、今後の海外旅行に対しての意向を聞いた結果が報告されています。海外旅行の行先別に実施意向の時期をみると、「すぐに行きたい」という回答は「ヨーロッパ」が8.5パーセントで最も多く、次いで「ハワイ」が8.3パーセント、「韓国」が7.9パーセントとなりましたが、いずれも前年より減少しています。

旅行やレジャー消費をとりまく経済環境と生活者意識
日本経済は、中東情勢の影響など不透明要因を抱えつつも、足元では緩やかな回復が続いています。内閣府の月例経済報告(2026年5月)では、景気の基調判断を「緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある」とし、個人消費については「持ち直しの動きがみられる。ただし、消費者マインドがこのところ弱い動きとなっていることに注意が必要である」とされています。
日経平均株価は2026年年初から大きく変動しており、3月末には年初来安値51,000円近くまで下落しましたが、その後は持ち直し、6月16日には過去高値となる70,000円を突破しました。複数の調査機関が発表した2026年夏のボーナス見通しでも、民間企業の一人当たり支給額は前年比2パーセント台の増加が見込まれており、消費の下支えが期待されます。
一方、物価は引き続き上昇しており、2026年5月の全国消費者物価指数は、総合で前年同月比1.5パーセント上昇、生鮮食品及びエネルギーを除く総合で同1.8パーセント上昇となりました。主な項目でみると、「洋服」以外のすべての項目で前月より増加傾向にあります。また、ガソリン価格は3月以降、政府の緊急的激変緩和措置により150円から180円台に抑制されており、6月15日時点の全国平均小売価格は169.7円となりました。
日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」では、「ゆとりがなくなってきた」とする割合はなお半数を超えるものの、前回調査からは低下しており、暮らし向きにはやや持ち直しの動きもみられます。
JTBが実施したアンケートのうち、「今後1年間の旅行の支出に対する意向」については、「これまでより旅行支出を減らしたい」が41.8パーセントで前年より3.3ポイント増加し、「これまでより旅行支出を増やしたい」は10.2パーセントで1.2ポイント減少しました。支出を減らしたい意向は3年連続増加となります。今後の旅行支出額全体については抑えながら、工夫とメリハリをつけて旅行しようとしている様子がうかがえます。
また、「今夏の自身の生活と旅行に関する状況」をみると、「仕事や会社の業績が良化し収入が増えそうだ」が18.8パーセントで前年から0.5ポイント増加、「仕事や会社の業績が悪化し収入が減りそうだ」が26.4パーセントで0.5ポイント減少、「特に生活費を節約していない」が19.2パーセントで0.3ポイント増加、「いつもより生活費を節約している」が43.5パーセントで1.7ポイント減少となりました。全体の大きな割合は変わりませんが、収入面では若干良化傾向がみられています。
一方、支出については「趣味や旅行などにかける費用は減らしていない」が前年から0.3ポイント増加、「趣味や旅行などにかける費用を減らしている」が3.8ポイント減少し、いずれも27.5パーセントとなりました。また「先行きがわからないので、今のうちに大きな支出を考えたい」が45.6パーセントで0.1ポイント減少した一方で、「先行きがわからないので、大きな支出は控えておきたい」は13.9パーセントで1.2ポイント増加しました。消費者は将来への不安を抱えながらも、自ら価値を感じるものには支出を維持するなど、メリハリをつけてお金を使っているようです。


出典元:JTB プレスリリース












