PayPalが「中小企業によるEコマース活用実態調査2026」を発表、半数以上が決済トラブルを経験

グローバルなコマースプラットフォームのリーダーであるPayPal(PayPal Pte. Ltd. 本社:シンガポール、東京支店 日本事業統括責任者:余伝 道彦氏)が、「PayPal 中小企業によるEコマース活用実態調査2026」の調査結果を公表しました。

この調査は、中小企業の現状と将来の見通し、そしてEコマース(以下、EC)の実情を把握する目的で実施されたものです。調査対象は、日本全国でECを実施している中小企業(従業員数4人~299人)で、部長職以上の意思決定に関与する担当者(n=310名/企業)を対象に、2026年4月にオンライン形式で行われました。

調査の結果、円安や物価上昇、人材不足、世界情勢の不安定化といった外部環境の変動が中小企業の経営に大きな影響を及ぼす中、多数の企業が価格の見直しや採用の強化、新規顧客の開拓などを通じて「縮小」ではなく「適応」へと舵を切っていることが判明しました。その一方で、EC運営、越境ECへの展開、AI活用といった成長分野においては、「必要性は理解しているが、十分に実行できていない」という構造的な課題も浮き彫りになりました。さらに、EC決済においては、半数を超える企業が過去1年間に何らかの決済に関するトラブルを経験している実態が明らかになりました。一方で、決済手段の拡充によって売上や購入率の向上を実感している企業も一定数存在しており、安心・安全な決済基盤の整備が顧客体験や売上機会に影響を及ぼすことが示されました。

外部環境の変化に対応する中小企業、「縮小」ではなく「適応」へ

ECを行っている中小企業の実態を見ると、物価上昇や円安、人材不足などが事業運営に大きな影響を与えていることが改めて確認されました。特に、物価上昇の影響を受けていると回答した企業は49.0%に達しています。さらに、51.3%の企業が円安による仕入れ価格やコスト増加の影響を受けており、34.5%の企業が米国の関税引き上げによる仕入れコスト増加の影響を受けています。また、過去1年間に影響を受けた社内要因としては、「人材不足」が38.4%で最多となりました。

こうした環境変化に対して、多くの企業は適応に向けた施策を進めています。実際に、半数(50.3%)の企業が「販売価格の引き上げ」を実施しているほか、「新規顧客開拓」(41.0%)、「賃上げ」(31.6%)、「採用強化」(31.3%)など、将来を見据えた取り組みに着手する企業も多く見られました。

調査結果グラフ

ECは多様な選択肢の中で最適化される一方、成長に向けた課題も併存

ECの運用方法については、自社サイト上で運用している企業が29.4%であったのに対し、ECモール上で運用している企業は46.1%でした。

自社サイト上での運用は自由度が高いというメリットがある一方で、「コストが高すぎる」(31.3%)、「運用に必要な社内の人材がいない」(28.9%)、「集客に不安がある」(28.1%)といった課題も挙げられています。こうした課題の背景には、物価上昇やコスト増加、人材不足など、中小企業を取り巻く経営環境があると考えられます。自社サイトを活用したEC運営の拡大に向けては、こうした経営課題への対応とあわせて、運営体制の整備や集客施策の強化が重要であることが示唆されます。また、売上全体に占めるEC売上の割合は平均26.7%で、EC売上が全体の50%以上を占める企業は全体の4分の1でした。今後のEC売上のさらなる成長に向けては、各チャネルの特性を踏まえた運用の最適化や、集客・顧客接点の強化が重要になると考えられます。

EC運用方法に関する調査結果

ECの中でも国境を越えて商品やサービスを販売する「越境EC」については、現在実施している企業が18.4%、今後1年以内に行う予定がある企業が28.1%となり、全体の約5割が前向きな姿勢を示していることがわかりました。

また、越境ECを行っている企業では、EC売上全体の約2割を海外売上が占めています。さらに、越境ECへの取り組みにあたっては、「AIの活用」(38.6%)、「グローバル決済システムの導入」(31.6%)、「言語問題への対応」(29.8%)など、海外市場への対応に向けた様々な施策が進められていることがうかがえます(※1)。

越境ECに関する調査結果

(※1) 既に越境ECを実施している企業ベース

半数以上が決済トラブルを経験。決済は「機能」から「信頼インフラ」へ

今回の調査では、ECを実施している中小企業の半数以上(55.2%)が、過去1年間にオンライン決済に関する何らかのトラブルを経験していることが明らかになりました。トラブルの内容としては、「決済時のエラーや二重決済」「決済後のキャンセル」「返品・返金対応」「決済コストの増加」「不正利用」が上位でした。EC利用が広がる一方で、決済領域における運用負荷やリスク対応は、中小企業にとって依然として大きな課題となっています。

また、ECサイトにおいて顧客が安心して購入するために重要だと思われる要素として、「安全で信頼できる決済方法が利用できること」(34.5%)が最も多く挙げられました。これは、価格や配送だけでなく、「安心して支払えること」がオンライン購買における重要な判断基準となっていることを示しています。企業側もEC決済における「安心・安全機能」を重視しており、「セキュリティ認証取得」(26.5%)、「明瞭な手数料体系」(25.5%)、「個人情報保護」(21.3%)などが重視される結果となりました。

決済に関する調査結果

ECサイト上で導入されている決済手段は「クレジットカード」(66.1%)や「銀行振込」(52.6%)といった従来型のものが中心となっています。また、複数の決済手段の契約・導入・売上管理を「一本化」できる決済代行業者を利用していない企業も約4割に上りました。こうした中、決済手段を拡充した企業のうち、約3割が「売上・購入率の向上」を実感(※2)しており、決済環境の整備が売上機会にも影響を与える可能性が示唆されました。

決済手段拡充の効果

(※2)決済手段を拡充した企業ベース

これらの結果から、決済システムは単なる支払い機能ではなく、顧客との信頼関係を構築し、購買機会の最大化を支える「信頼インフラ」としての役割を有していることがわかります。特に、多様な決済手段への対応と安心・安全な決済環境の整備は、売上向上と顧客体験向上の両面で重要であると考えられます。

二極化するAIの活用、課題は属人化と社内プロセス

人材不足や業務負荷の増大が経営課題となる中、多くの中小企業がAIを活用した業務効率化に取り組み始めています。今回の調査では、AIを既に導入していると回答した企業は約7割に上り、利用ツールでは、ChatGPT(47.6%)、Gemini(33.5%)、Copilot(22.2%)が上位となりました。また、AIはメール作成や提案書、議事録作成など、文章を扱う日常業務を中心に活用が進んでいることがわかりました。

その一方で、AI導入企業の87.1%が、導入・活用にあたって何らかの課題を感じていることも明らかになりました。具体的には、「業務が属人化している」(20.8%)、「AIを導入する前に業務整理が必要」(19.8%)、「費用の負担」(18.8%)などが上位に挙げられており、単にツールを導入するだけでなく、業務プロセスや組織体制の見直しが求められている実態がうかがえます。

これに対し、AI非導入企業では、「人手不足で検討時間がない」(16.7%)、「費用の負担」(14.8%)などが主な理由として挙げられました。また、「特に障壁はない」と回答した企業も45.4%に上っています。これは、AI導入の必要性や具体的な活用イメージを十分に持てていない企業も一定数存在していることを示していると考えられます。

このような状況下、AIの活用を開始またはさらに拡大しようとする企業が48.7%ある一方で、未導入または活用を減らす予定の企業も24.8%存在しており、AI活用に積極的な企業と、導入・活用が進まない企業との二極化が進みつつある状況がうかがえます。

今後の成長に向けて取るべき施策

本調査では、多くの中小企業が厳しい事業環境の中でも成長に向けた取り組みを進めている一方で、EC運営やAI活用の領域では実行面の課題が残っていることが確認されました。なかでも特徴的だったのは、ECを実施する企業の半数以上が決済トラブルを経験している一方で、企業が、顧客が安心して購入するために最も重要だと考える要素として「安全で信頼できる決済方法」が挙げられた点です。調査結果からは、決済が単なる支払い手段ではなく、顧客との信頼関係を支え、売上機会を左右する重要な経営基盤になっていることがうかがえます。

今後、中小企業が成長機会を捉えるためには、自社に合った形で段階的にデジタル活用を進めることが重要になります。例えばECにおいては、運営負荷を抑えながら販売チャネルを広げることに加え、顧客が安心して購入できる決済環境を整備することが、売上機会の拡大につながる可能性があります。また、海外販売についても、AI活用やグローバル決済システムの導入など、自社のリソースや事業規模に応じた形で段階的に取り組んでいくことが重要になると考えられます。

こうした状況について、PayPalの日本事業統括責任者である余伝 道彦氏は次のようにコメントしています。

「中小企業の皆さまは、厳しい環境の中でも、価格改定や新しい販売チャネルの活用など、前に進むための工夫を続けています。今後は、限られたリソースの中でも、自社に合った形でデジタル活用を進め、新たな顧客との接点を広げていくことが重要になります。特にECや越境販売では、販路拡大の重要性が増す中で、顧客との信頼関係を支える安心・安全な決済環境の整備も欠かせません。PayPalでは、国内外の顧客とのスムーズな取引を支える決済サービスに加え、高度な不正防止技術や買い手保護制度・売り手保護制度などを通じて、事業者の皆さまが安心して新しい市場や顧客層へ挑戦できる環境づくりを支援しています。今後も日本の中小企業の成長を支えるパートナーとして、より安全で使いやすいコマース体験の実現に貢献していきたいと考えています」

PayPalの安全な決済に対する取り組み

今回の調査では、決済領域において半数以上の企業がオンライン決済トラブル経験しており、顧客が安心して購入するための要素として「安全で信頼できる決済方法」が最も重視されていることが明らかになりました。ECや越境販売の拡大を目指す上では、販売チャネルや集客施策だけでなく、顧客と事業者の双方が安心して取引できる決済環境を整備することも重要な経営課題になっていると考えられます。

PayPalはオンライン決済の先駆けとして設立されてから、業界最高水準の不正防止モデルを独自に確立してきました。全ての取引を24時間、365日モニタリングしており、不審な動きがあった場合にはアカウントを制限するなど、ユーザーの被害を最小限に抑える仕組みで取引の安全性を確保しています。さらに、クレジットカード情報を安全に取り扱うことを目的として策定された、国際的な業界標準であるPCI DSSに準拠しているほか、アカウントログインにおいてパスキーをサポートすることで、パスワードを覚えることなく安全かつ迅速なログインを可能としています。

また、PayPalを利用するユーザーには「注文した商品が届かない」、「説明とまったく異なる商品が届いた」などの際、適用条件を満たせば購入金額を保証する「買い手保護制度」を提供しています。一方、売り手側には、チャージバック、不正行為による支払い取り消しなどの異議申し立てがあった際に一定の条件を満たせば対象となる取引を保護し、事業への経済的損失のインパクトを軽減することができる「売り手保護制度」を提供しています。こうしたプログラムによって、事業者と消費者の双方が安心して利用できる取引環境の実現を支援しています。

「PayPal 中小企業によるEコマース活用実態調査2026」について

調査方法:インターネット調査

調査期間:2026年4月8日~4月13日

調査対象:ECを実施する従業員4〜299人規模の企業(行政機関・公衆安全分野を除く)に勤務する、部長職以上のビジネス上の重要事項に関する意思決定関与者310名

※小売、サービス、製造、公共、運送などを含めた幅広い業種の企業が対象

PayPalについて

PayPalは、米カリフォルニア州サンノゼに本社を置き25年以上にわたり世界中の商取引に革新をもたらし続けています。送金、販売、購入をシンプルで安全かつパーソナライズされたものにするために革新的な体験を創出し、約200のマーケットで消費者と事業者がグローバル経済で繁栄できるように支援しています。さらに日本を重要なマーケットと位置づけ、日本での利用シーンの拡大に努めています。

出典元:PayPal

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