
こんにちは!世界へボカンの徳田です。 越境ECの海外Webマーケティング支援に19年携わっておりますが、2025年のデミニミス免税の撤廃や、相次ぐ燃油サーチャージの高騰など、越境ECを取り巻く環境は激変しており、その難易度はかつてないほど高まっております。
内需が縮小する今、海外に目を向けないことは、ビジネスの成長を止めることと同義です。荒れ狂う世界情勢の中で、どのように越境ECに取り組み、サバイブしていくべきか。今回はその具体的な戦略を2つ伝授します。
徳田 祐希
世界へボカン株式会社
代表取締役社長
「日本の魅力を世界へ届ける」というミッションの元、日本、アメリカ、オーストラリア、中国、マレーシアといった多国籍メンバーと共に19年以上にわたって日本企業の海外販路拡大を目的としたWebマーケティング支援を行う。年商34億円の越境ECサイトを1000億円に伸ばすなど、数多くの海外Webマーケティングプロジェクトで実績を残す。 支援の傍ら、チャンネル登録数1万人超えのYouTube「海外Webマーケティングch」で年間100本動画を配信する。JETRO講師、中小機構アドバイザー。
この記事の目次
課題1.海外販売のコスト増と「隠れコスト」の罠
2025年8月のデミニミス免税撤廃により、800ドル以下の商品であっても関税が発生するようになりました。これにより、日本の事業者だけでなく、お客さまの負担も急増しています。
特に厄介なのが、消費者が関税の存在に気づかずに購入し、受け取り直前に突然請求されるケースです。商材によっては商品代金の3割が関税となることもあり、配送時に受け取り拒否される事態が多発しています。泣く泣く受け取ったお客様も、「もう次は買わない」と心の中で決めているかもしれません。後から請求される不快感は、ブランドに対する信頼を大きく損なうものです。
【解決策】DDP(関税込み条件)の導入
この問題の根本解決策はDDP(Delivered Duty Paid:関税込み持込渡し)です。購入前に関税込みの総額を明示し、お客様が納得した上で購入いただく仕組みです。
<事例:原料が鉄の商材を販売する地方企業>
弊社が支援するクライアント(高額な鉄製商材を取り扱い)の事例では、商品単価30万円に対し関税が約10万円発生していました。これを、越境EC特化型決済ソリューション「Global-e」を導入し、関税・送料込みの価格へ変更。当初は「表示価格の上昇による成約率低下」を懸念しましたが、実際は成約率への影響はわずか0.03ポイント減に留まり、一方で返品やクレームを劇的に減らすことに成功しました。
【Global-eとは】
Global-eは、関税・税金込み価格の表示(DDP対応)をはじめ、各国に合わせた決済方法、多通貨表示、不正決済対策、通関・返品対応など、越境ECに必要な購買体験を包括的に支援するソリューションです。
※Global-eについては以下の記事をご参照ください。
記事:越境ECの大きな課題:決済、税務、物流の解決方法 Global-eとは?
課題2.利益率の低下
「売上のトップラインは伸びているのに、利益が全く残っていない」。そんなお悩みを抱える越境EC担当者が急増しています。これは、コスト高を価格に転嫁できていないことが主な要因です。
【解決策①】海外価格の適正化(値上げ)
まずはVPNを使用して、海外IPから「競合他社がその国でいくらで販売しているか」を調査してください。国内では定価販売の競合他社であっても、海外市場では国内価格の130~150%増で販売していることは決して珍しくありません。海外市場での「適正価格」を再定義し、強気な価格戦略をとるべきです。
事例:海外POPUPで値上をしても市場では受け入れられた
2026年3月にシンガポールで、肌着ブランドのANGLEのLUMINEシンガポールにおけるPOPUP支援を実施させていただきました。
ANGLE社の肌着アサメリーは日本の高温多湿な環境を快適に過ごすために作られた、日本で70年以上愛されている製品です。特殊な製法と糸を使用しており、綿100%なのにアサのようなシャリ感で汗を素早く吸収して発散する機能的な価値を持っています。
この商品をシンガポールで販売する際、 現地への輸送量などを加味して日本の売価よりも1.3~1.5倍値上をして販売しました。「肌着としては少し割高と感じられてしまうかな・・・」と懸念しておりましたが、結果、市場では受け入れられました。
ここで重要なポイントは、
- 商品に価値を感じてくれる人が誰かを定義する
- 彼らがどんなシーンで価値を感じるか
- 彼らのどのような悩みを解決できるか
を考えることです。
シンガポールでアサメリーは以下の2つの悩みを解決する商品としてPMF※しました。
(1)外は暑く、室内はエアコンで寒い寒暖差による底冷えを防ぐ
シンガポールでは、外は高温多湿で汗をかきやすい環境ながら、デパートやホテル、オフィスなどの室内は東南アジア特有のエアコンの温度でとても寒く、汗をかいた後に室内に入ると必ずと言っていいほど身体が冷えてしまいます。
事前に顧客インタビューでわかったそういった悩みを解決できる商品としてアサメリーを訴求をしたことで、自分のためだけでなく、汗をかきやすい旦那さんのために購入する奥さまや、取引先の男性へのちょっとしたプレゼントとして購入される方がとても多かったです。
(2)汗をかいたままだと匂いが気になる
あるシンガポール在住の女性にインタビューをしたところ、素肌のままシャツを着る人も少なくなく、汗をかいたままオフィスで働いていると、「自分の匂いが気になる」と考えている人は実は多いという話を聞きました。
そこで、アサメリーを着用することで汗を素早くキャッチしてアフター5も匂いが気にならない旨を訴求したところ、喜んで購入する方がとても多かったです。
この経験を経て、海外で販売するとき、値上を気にするよりもその値段に相応しい価値があることを伝えることが重要だと再認識をしました。
【解決策②】物流資材の最適化によるコストダウン
利益率を改善するもう一つの鍵は、物流資材の見直しです。海外配送においては、商品そのものの重さだけでなく、梱包資材の「重量」と「容積」が送料にダイレクトに跳ね返ってきます。
具体的には、これまで使用していた段ボールを、配送品質を維持したまま「紙袋(配送用封筒)」や「軽量素材」へ切り替えるという手法です。
送料の大幅な削減
国際配送、特に航空便においては「重量」と「容積重量(荷物のサイズから算出される重量)」のどちらか重いほうが運賃として適用されます。
- 段ボールから封筒へ: 梱包資材自体の重量を減らすだけでなく、容積を極限まで小さくすることで、送料のランク(重量区分)を一つ下げることが可能になります。
- 塵も積もれば山となる: 1件あたり数百円から千円単位の節約であっても、越境ECでは月間で数百〜数千件の発送があるため、年間を通すと数百万円規模の利益改善につながるケースも珍しくありません。
売上を追うだけでなく、「物流の現場から利益を捻出する」という視点を持つこと。それが、今の厳しい越境EC環境を生き抜くための最重要スキルと言えます。
越境ECを取り巻く環境の変化は、一見するとビジネスの障壁のように思えるかもしれません。しかし、これらは「ただ売る」だけの時代が終わり、「価値を正しく伝え、顧客体験を磨き抜く」という、本来あるべき小売の姿が求められているサインでもあります。
関税の透明性を高め、現地の課題に寄り添った価格設定を行い、物流現場の細部まで磨き上げる。こうした一つひとつの積み重ねが、海外のお客様との信頼関係を築き、厳しい世界情勢の中でも揺るがない強固なブランドを作っていきます。
世界は一筋縄ではいかない。しかし可能性が満ち溢れている!
「国内だけでは先が見えない」と嘆くよりも、まずは小さな一歩から海外というフィールドで勝負してみませんか?
皆様がこれから取り組まれる越境ECが、日本製品の価値を世界へ届ける新たな架け橋となることを心より応援しております。
私たちは海外Webマーケティングを通して、顧客の売上のトップラインを伸ばすだけでなく、利益を最大化するコンサルティングを得意としております。越境ECや海外Webマーケティングでお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
今回の内容のように、越境ECや海外Webマーケティングに関する実務情報や事例をまとめたホワイトペーパーも公開しております。
海外展開を進める際の参考になりましたら幸いです。
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