
株式会社YTGATEは、全国で自社ECサイトを運営している200社を対象に、決済環境の可視化調査を実施しました。この調査により、業界における決済承認率の平均値は85.4%、中央値は88.0%という結果が得られました。また、診断結果をA~Hの8段階にランク分けして分布と特徴を整理したところ、承認率が85%未満のDランク以下に位置している企業が73社(全体の36.5%)に達することが判明しました。
決済承認率について
決済承認率とは、オンラインショッピングにおいてクレジットカードでの決済を試みた総件数のうち、実際に決済が成功した件数の割合を指します。例えば、100件の決済リクエストがあり、そのうち95件が成功した場合には、決済承認率は95%となります。
残りの5件については、「カードの限度額オーバー」「有効期限が切れている」「不正利用の疑いによるカード会社の自動的な拒否」といった理由で失敗しているケースが該当します。状況によっては、購入する意欲がある正規のユーザーが決済エラーによって離脱してしまうため、決済承認率が低ければ低いほど売上機会を逃すことに直結します。
決済承認率は、業種や客単価、決済手段の構成比率によって大きく異なり、同一の事業者であっても月ごとに変動するものです。それにもかかわらず、定期的にモニタリングを実施しているEC事業者は多くないのが現状です。「気づかないうちに損失を出している」指標の代表例と言えます。
診断の概要
今回の診断は以下の内容で実施されました。
- 対象企業:全国で自社ECを運営しているEC事業者200社
- 評価方法:各社の決済データを同社が独自に分析し集計。決済承認率を以下の8段階で評価しています
Aランク:100~95%、Bランク:95~90%、Cランク:90~85%、Dランク:85~80%、Eランク:80~75%、Fランク:75~70%、Gランク:70~65%、Hランク:65%未満
診断結果および分布状況
200社を対象とした診断結果は次の通りです。
- 全体平均値:85.4%
- 全体中央値:88.0%
平均値(85.4%)と中央値(88.0%)には2.6ポイントの乖離が見られます。これは、承認率が極端に低い事業者が一定数存在しており、全体の平均値を押し下げていることを示しています。実際に、Hランク(65%以下)に該当している9社の平均承認率は42.3%であり、全体平均を40ポイント以上も下回っています。
年商規模が同程度の事業者であっても、承認率には最大で62.7ポイントもの格差が確認されています。決済の設計や運用の違いによって、これほどまでに大きな差が生まれていることが、今回のデータから明らかになりました。
※Hランク(承認率65%以下)に該当する企業については、決済承認率の構造的な課題のみならず、システムの不備や運用上の問題、クレジットマスターアタックなどの外部要因による影響を受けた外れ値である可能性が考えられます。
業種別の承認率格差
| 業種カテゴリ | 業種別の平均承認率 | カテゴリ別の示唆 |
|---|---|---|
| アパレル・服飾雑貨 | 85.3% | 高単価ブランドほど与信枠・本人認証の影響を受ける。返品率の高さがリスクスコアに影響する可能性。 |
| インテリア・家具 | 87.5% | 高額商品が多いため、3Dセキュア導入初期に承認率が低下する事例が見られる。導入後の運用設計が承認率維持のカギとなる。 |
| ギフト・贈り物 | 86.9% | 発送先と決済者が異なる構造上、不正利用スクリーニングに引っかかりやすい。祝祭シーズンの急増により承認率が季節変動しやすい。 |
| スポーツ・アウトドア | 80.7% | 高額商品や限定商品を扱う場合、転売目的の不正利用リスクが高まり承認率が低下しやすい。季節集中と高単価商品の組み合わせで、不正検知ルールの最適化が課題となる業種。 |
| デジタルコンテンツ・サービス | 83.7% | 継続課金型のサービスが多く、初回エラーがLTV(顧客生涯価値)に直結する。PSP設定や3DS運用により、バラツキが最も大きいカテゴリの一つ。 |
| ホビー・エンタメ | 87.8% | A〜Cランクに幅広く分布。短期間に大量の決済が発生する商材では、カード発行会社(イシュアー)ごとの審査方針の違いが数値に影響しやすい。 |
| 家電 | 76.1% | 高額・高単価商材が多く全業種で最も低い水準。3DSや不正検知の強化が承認率を押し下げるトレードオフが生じやすく、運用設計の見直しが急務。 |
| 食品・飲料 | 89.9% | 日常的に利用される商材のため承認率は高水準で安定。ただしギフト需要の高まる時期は高額決済が増え、一時的に低下するケースも見られる。 |
| 日用品・生活雑貨 | 86.5% | 生活必需品のため購買意図が明確でカード誤入力や不審取引が出にくい。大手が平均を牽引。継続的なモニタリングで高水準を維持しやすい業種。 |
| 美容・健康 | 88.2% | D2C・定期通販が主流で構造は食品と近い。ただし高単価商品や初回特価オファーが多く、初回3DSエラーや転売目的の不正利用により承認率が下がるリスクがある。 |
| 旅行・交通 | 82.5% | 高額・前払い・日程変更リスクの組み合わせでチャージバック懸念が高く、イシュアーの不正検知が働きやすい。季節変動の影響が大きく、繁忙期に向けた事前対策が重要。 |
| 百貨店 | 84.1% | 高額商品の比率が高くC〜Dランクに分布しやすい。高齢顧客層がセキュリティコード誤入力を起こしやすく、3Dセキュア認証の離脱リスクも存在し、きめ細かな管理が求められる。 |
調査結果のまとめ
今回、200社を対象とした診断を通じて、業界全体における平均承認率は85.4%であることが明らかになりました。
高水準を示している「食品・飲料カテゴリ(89.9%)」と低水準である「家電(76.1%)」との業種間には13.8ポイントの差が存在し、同じEC事業者であっても業種や商材、決済設計によって承認率に大きな差が発生することが確認されています。
承認率の差が発生する背景には、商品の単価や不正利用リスクの高さ、3Dセキュアの運用設計、PSPの設定、カード発行会社(イシュアー)ごとの審査方針など、複数の要因が複雑に絡み合っています。同じ業種内においても、設計と運用の違いによって承認率に差が出るケースが、今回のデータでも確認されました。
同社では、95%以上を目指すべき水準として設定しています。決済承認率は「見えない機会損失」であり、数%の改善によって売上に数億円規模の影響を与えるケースも存在します。高額商材やサブスクリプションモデルを展開している企業は特に、自社の決済承認率がどの水準にあるのかを把握し、改善に取り組むことが重要です。
なお、同社は、KPIの一つとして「決済承認率に対する認知度の向上」を掲げています。同社では、今回の診断で得られた知見に加えて、独自の決済ノウハウをもとに、より精度の高い決済承認率の改善支援を続けることで、EC業界全体の健全な成長と安心・安全なオンライン取引環境の実現に貢献していくとしています。

会社概要
会社名:株式会社YTGATE
代表者:代表取締役社長 高橋祐太郎
所在地:東京都中央区新富1-8-2 Grandir Ginza East 5F
設立:2023年10月2日
事業内容:決済関連コンサルティング事業、決済承認率改善支援、決済最適化SaaS事業
同社は「決済を最適化し、世界をつなぐ。」をミッションに掲げ、決済承認率の向上を支援し、国内外のクレジットカード加盟店向けに決済効率化、安全対策、データ可視化などを包括的に提供しています。決済領域の専門家として、最適化された決済インフラを構築し、国内外のビジネスや生活をスムーズにすることを実現しています。
出典元:株式会社YTGATE












