
「化粧品ビジネスを始めたい」。そんなとき味方になってくれるのが、処方開発、製造までを一手に引き受けてくれる「化粧品OEMメーカー」です。この記事では、数々のブランド立ち上げや商品企画に携わったOEMの立場から、「実際に購入してくださる顧客ターゲットの設定」について解説していきます。
松崎 淳
株式会社天真堂 取締役
2014年に医薬部外品、化粧品、健康食品のOEMを展開する株式会社天真堂に営業としてジョイン。取締役となった現在も、EC通販をメインとする化粧品会社や、スタートアップおよび異業種から参入する企業に対し、商品企画、事業立ち上げ支援など、OEMの枠を超えたサポートを行っている。
陥りがちな「都合の良いターゲット設定」
企画に携わる方なら、「居住地、家族構成、世帯年収、美容にかける月の予算、趣味、嗜好性、好きなSNS、好きな雑誌」など、さまざまな項目からターゲットの人物像を作り上げた経験をお持ちのことと思います。
同時に、頑張って文字にしてみたけれど、何となく腑に落ちない、そんな経験はないでしょうか。
腑に落ちない「何か」の正体は、自社にとって都合の良い設計をしてしまっているから、という可能性が考えられます。
特に、商品を起点に、後からターゲット設定を行う場合、作りたい商品が優先され「買ってくれそうな人物像」を都合よく作り上げてしまうことがあるようです。
多様化する価値観
そもそも現代は「多様な価値観」に満ちています。
「東京に住んでいるから」「5人家族だから」「年収が1,000万円だから」という条件下で、同じような価値観を持っていると仮説を立てること自体に限界があります。
2つめの「腑に落ちない理由」がここにあります。設計者の育ってきた環境や年齢によってバイアスがかかりますし、都合よく画一化しようとすればするほど「こんな絵に描いたような人がいるのだろうか」と疑心暗鬼に陥ってしまいます。
例えば、「30~40代の男性・美容に関心が高いが自分の肌に合う化粧品と出会えていない・ファッションには〇万円/月を使っており、そこから美容代として〇万円の捻出が可能・最近昇進して周囲から外見がどう見られているのか気になってきた…」といったペルソナは、いかにもありそうで、それでいて(現代においては)いかにもなさそうな例です。
推し活マーケットを考えると、多様化時代の解像度が上がります(わたしも40歳を過ぎてから推し活を始めました)。
「推し」の世界では、男性向け、女性向け、大人向け、子ども向けといった大きな枠で捉えるよりも、「個々人が持っている価値観」がファン化の源泉になります。
年収1,000万円の方よりも、年収500万円の方のほうがより多く投資している可能性も否定できませんし、40代の男性と、20代の女性が同じタレントやコンテンツを推している可能性も大いにあります。
もちろん、化粧品という文脈においては、男性と女性で肌の構造が違ったり、年齢によって発現する悩みが異なりますので、ある程度の枠に当てはめることは正解です。
その場合でも、「価値観」という点においては多様化していることを前提に、画一化することが正ではないということを心に留めて臨みましょう。
深く掘り、深く知る
- 40代女性
- 敏感肌向け
- シミやシワが顕在化し始めた
- 夏でも乾燥を繰り返し、化粧のりも悪い
これらは、代表的な悩みの羅列で、もちろんそのままでも成立しますが、数多の商品が存在する化粧品市場において選ばれるためには「浅く広い」と言わざるを得ません。
後発商品でありながら選んでいただくためには、「抱える悩みやニーズの、より深い理解と言語化を踏まえたターゲット設定」が必要になるでしょう。
敏感肌という言葉ひとつとっても、皮膚科に定期的に通わなければならない方もいれば、季節の変わり目にやや化粧品が合わなくなる、という方もいます。
こうした程度の違いは、「成分まで自分で調べ上げ、合う合わないのジャッジを行っている」、または「成分までは詳しく見ずに、SNSで評判が良いものを選択している」といった、購買の意思決定プロセスにも影響します。
今回開発する商品は、「どの敏感肌」のことを指しているのか。
わたしが考えるのは、なるべく「深い悩みやニーズ」の解像度を上げることです。なお、ここまで来ると仮説だけで設計するのは難しいため、N1インタビューを実施して、リアルな声として理解しておくことをお勧めします(N1インタビュー:1人の顧客に深く話を聞くインタビュー手法)。
波紋のように広がっていく
深く狭いは、マーケットが小さいと同義で捉えられることがあり、「それでは目標とする売上が上げられない」とのご指摘もあるでしょう。
ただ、ここで言う深く狭いとは、あくまでも「ターゲット設定」のことであり、市場規模のことではありません。
むしろ大きな市場(多くの方が感じている悩みやニーズ)に参入するときにこそ、ターゲットは狭く深い「ど真ん中」から考えてみてはいかがでしょうか。
「ど真ん中」の方に受け入れられる商品は、それだけ深く考えられている商品です。そして深く考えられた商品は、周辺の消費者からも「信頼できる商品」として選ばれる可能性が高まるため、結果として市場シェアを獲得できるのです。

また、そうした商品は「〇〇と言えばこの商品」といったCEPが醸成されやすく、その後のマーケティングにも良い影響を与えます(CEP:カテゴリーエントリーポイント)。
市場の反応で柔軟に変更する
ここまで述べたことと逆説的ですが、「販売後に市場が想定と別の反応をした場合は、柔軟にターゲットを変更」しましょう。
前述の通り、価値観が多様化している現代において、思いもよらない想定外の反応が得られることがあります。
わたし自身も、女性向け商品とされていたものの、購入者データでは男性の割合が30%程度あったことから、リブランディングをご提案して購入層が飛躍的に広がった事例などを経験しています。
ブランドの考えに大きく反することは別にして、自社にとって、そして消費者にとってポジティブな想定外は、チャンスと捉えて戦略変更の検討をお勧めしています。
ぜひご相談ください
いかがだったでしょうか。
株式会社天真堂では、医薬部外品やオリジナル化粧品を1,000個から製造可能です(商品内容により異なります)。
また、スキンケア、ヘアケア、オーラルケアなど、多くのカテゴリにおいて開発実績がございます。
OEM経験はもちろんのこと、ご要望に応じて、年間数百社からご相談をいただくEC通販に精通した特別なスタッフが対応いたします。
本記事にある「ターゲット設定」や、「ゼロからの化粧品事業立ち上げ」など、ぜひお気軽にご相談ください。
お問い合わせ先
https://www.tenshindo.ne.jp/contact
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