
「化粧品ビジネスを始めたい」。そんなとき味方になってくれるのが、処方開発、製造までを一手に引き受けてくれる「化粧品OEMメーカー」です。この記事では、数々のブランド立ち上げや商品企画に携わったOEMの立場から、「ブレない商品開発」について解説していきます。
松崎 淳
株式会社天真堂 取締役
2014年に医薬部外品、化粧品、健康食品のOEMを展開する株式会社天真堂に営業としてジョイン。取締役となった現在も、EC通販をメインとする化粧品会社や、スタートアップおよび異業種から参入する企業に対し、商品企画、事業立ち上げ支援など、OEMの枠を超えたサポートを行っている。
この記事の目次
なぜ商品開発は「ブレるのか」
さまざまな商品(およびサービス)の開発を行う際、時間とともにコロコロと方針が変わってしまい、「そもそも何を作るのが正解か」わからなくなってしまった経験はないでしょうか。
化粧品も例外ではなく、「ブレ」が発生することが往々にしてあります。それは、何を目指すべきかという指針が曖昧で、時間とともにチーム内で意見が分かれたり、あるいは積極的に発言する人の主張に引っ張られてしまい、意思統一が図れていない状況で起こってしまうのです。
チームで共有する事業計画はあるか
今回の化粧品ビジネス立ち上げにおいて、チームで共有できる事業計画はあるでしょうか。AIに「事業計画とは」と聞いたところ、次のような回答が得られました。
事業計画とは
事業計画(ビジネスプラン)とは、企業や組織が事業の目標を達成するために作成する、具体的な行動計画や戦略、そしてそれを実現するためのプロセスや財務見込みを示した公式な文書またはステートメントのことです。
簡単に言えば、「これから何を、どのように、どれくらいの期間で達成し、その結果どうなるのか」を明確にしたロードマップです。
主な目的と役割
- 目標の明確化と共有:経営陣や従業員が、事業の方向性や目標、達成までの道のりを共通認識として持つための指針となります。
- 資金調達:金融機関からの融資や投資家からの出資を受ける際に、事業の実現性、収益性、将来性を説明するための重要な資料となります。
- 事業の検証と整理:創業や新規事業の立ち上げにあたり、頭の中にあるアイデアを具体的な計画に落とし込むことで、実現可能性や課題を客観的に評価できます。
以上から、この事業計画を実現するための条件を備えたプロダクトこそが「開発すべき化粧品」ということになります。
シンプルかつ具体的に「指針」を言語化する
「では、詳細な事業計画を、全員が同じ理解度で一言一句暗記し、それを前提にして化粧品を開発するのが正解ですね!」
たしかにそれができれば理想かもしれませんが、実際に実行するのは非常に難易度が高いと考えられます。
そこで、いくつかの大事なポイントを、シンプルかつ具体的に言語化し、それを指針としてみてはいかがでしょうか。

① 定量目標:〇年で〇億、営業利益〇%を実現できること
② 定性目標:その商品を言葉で表現したとき、消費者が共感できるか
③ 定性目標:悩みとその解決策に対し、使用感、成分、技術で再現できているか
化粧品を企画、そしてOEMを通じて開発する際に、これらを「指針」としてトレースし、実現できるプロダクトになっているかどうかを評価軸とする方法です。
指針を分解し、要素を言語化する
① 定量目標:〇年で〇億、営業利益〇%を実現できること
これは文字通りの数値目標になります。事業計画書の中では、市場規模、獲得すべきシェア、競合の存在と分析、それに対して4P(Product、Price、Place、Promotion)を設計することで、数値の実現可能性が示されているかと思います。
さらに、狙ったカテゴリ、チャネル毎に、想定CPA(顧客獲得単価)やLTV(顧客生涯価値)を設定したうえで、商品の特徴として「〇〇があるからCPA〇〇円が実現する」「〇〇があるからリピートされ、LTVが〇〇円になる」といった具合に要素分解できていると、商品評価をより適切に行うことが可能となります。
② 定性目標:その商品を言葉で表現した時、消費者が共感できるか
その商品のキャッチコピー、もしくは商品紹介文です。顧客(消費者)、友人、家族から「あなたが販売しているのは、どんな商品なの?」と聞かれたときに、チームメンバーが同じ言葉で紹介でき、「ぜひ買ってみたい」と答えてもらえる状態を目指します。
実際の想定顧客にアンケートを取る、N1インタビューを行うのも有効な手段です。
③ 定性目標:悩みとその解決策に対し、使用感、成分、技術で再現できているか
②の表現には、〇〇(想定顧客)の〇〇な悩みを、〇〇をもって解決できる、〇〇な商品、といった要素が表現されているはずです。
③では、それらを実現する、あるいはその実現を期待してもらえるスペックを備えているかを言語化し、評価ポイントとします。
単に「使用後のべたつきを軽減したい」とオーダーするのではなく、「〇〇(想定顧客)が〇〇な悩みを持っている場合、べたつくことでより悪化してしまうのではないかという不安を感じてしまう可能性がある。その不安を抱かせないためにも、サンプルのべたつきを〇〇(参考品との比較や、それに類する具体的表現)程度まで軽減してほしい」、といった具合です。
これにより、チームメンバーの好み、あるいは意見の強い人の方針に寄ってしまうことなく、あくまでも消費者目線で改善要求を行うことができます。
以前の記事でもご紹介した通り、化粧品の評価は非常に主観的、かつ抽象的になりがちです。一方で、①②③があれば誰でも同じように評価を行うことができるため、ブレることなく「売れる商品」を開発できる可能性が飛躍的に高まるでしょう。
ぜひご相談ください
いかがだったでしょうか。
株式会社天真堂では、医薬部外品やオリジナル化粧品を1,000個から製造可能です。(商品内容により異なります。)
また、スキンケア、ヘアケア、オーラルケアなど、多くのカテゴリにおいて開発実績がございます。
OEM経験はもちろんのこと、ご要望に応じて、年間数百社からご相談をいただくEC通販に精通した特別なスタッフが対応いたします。
本記事にある「ブレない商品開発」や、「ゼロからの化粧品事業立ち上げ」など、ぜひお気軽にご相談ください。
お問い合わせ先
https://www.tenshindo.ne.jp/contact
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