
SNS広告や動画プロモーションが現代のマーケティングの主流となっている中でも、街頭で配布されるチラシやポスティングされたチラシが消費者の購買行動や来店を促すケースは依然として少なくないことが明らかになっています。
このたび実施された調査では、全国の男女300名を対象として、「消費者が手に取るチラシ」と「見ることなく捨ててしまうチラシ」を分ける要素について詳細なアンケートが行われました。
本記事では、人々が「つい見てしまう」「取っておきたい」と感じるチラシの共通点や、逆に「すぐに捨てられてしまう」デザインの特徴について、具体的な調査データとともにご紹介します。
【調査概要】
調査対象:300名の男女
年齢層:20代~60代
調査方法:インターネットアンケート調査
実施期間:2025年10月9日~2025年10月10日
この記事の目次
調査対象者の属性:性別・年齢分布
【 選択肢 】
▼性別
・男性
・女性
▼年齢
・20代
・30代
・40代
・50代
・60代以降

| あなたの性別を教えてください。 | 人数 | 割合 |
| 男性 | 122 | 40.67% |
| 女性 | 178 | 59.33% |
| 300 | 100.00% |

| あなたの年齢層を教えてください。 | 人数 | 割合 |
| 10代 | 0 | 0.00% |
| 20代 | 42 | 14.00% |
| 30代 | 109 | 36.33% |
| 40代 | 99 | 33.00% |
| 50代 | 37 | 12.33% |
| 60代以降 | 13 | 4.33% |
| 300 | 100.00% |
この調査では全国の男女300名を対象として、効果的なチラシの特徴についてアンケート調査が実施されたとのことです。回答者の性別は女性が59.33%、男性が40.67%となっています。年齢層は30代と40代が中心で、全体の約70%を占めていることがわかります。
チラシの効果:購買・来店行動への影響
【 選択肢 】
・はい
・いいえ
56.0%と過半数がチラシを見て行動に至った経験を持つ

| これまでに、チラシがきっかけで商品を購入したり、お店やサービスを利用したりした経験はありますか? | 人数 | 割合 |
| はい | 168 | 56.00% |
| いいえ | 132 | 44.00% |
| 300 | 100.00% |
調査結果によると、チラシをきっかけに実際の購入や来店、サービス利用といった具体的な行動に移った経験がある人は56.0%にのぼることが明らかになりました。これは半数以上の人がチラシを見て何らかのアクションを起こした経験を持っていることを示しています。
このデータから、デジタルマーケティングが主流となっている現代においても、チラシは依然として「行動を促すメディア」として有効に機能していると考えられます。
スマートフォンやSNSでは情報が流れ去りやすい一方で、チラシは物理的に手元に残り、繰り返し目に触れる機会があるという特性があります。この「物理的な接触」が、消費者の購買行動や来店といった具体的なアクションにつながる重要な要素となっているようです。
効果的なデザイン、印象的なコピー、わかりやすい情報設計を行うことで、紙媒体ならではの「時間差による反応」を引き出せる可能性が高まると言えるでしょう。
魅力的なチラシの特徴分析
【 選択肢 】
・キャッチコピーが印象的だった
・色使いやデザインがきれいだった
・情報が整理されていて読みやすかった
・お得な特典やクーポンがあった
・自分の興味と関係していた
・紙の質感・形が特徴的だった
・その他
「お得感」や「関心への一致」が魅力を感じる最大の要素

| そのチラシのデザイン・内容について、特にどのような点に魅力を感じましたか? | 人数 | 割合 |
| キャッチコピーが印象的だった | 13 | 4.25% |
| 色使いやデザインがきれいだった | 35 | 11.44% |
| 情報が整理されていて読みやすかった | 35 | 11.44% |
| お得な特典やクーポンがあった | 130 | 42.48% |
| 自分の興味と関係していた | 85 | 27.78% |
| 紙の質感・形が特徴的だった | 5 | 1.63% |
| その他 | 3 | 0.98% |
チラシを保管したり、その内容に注目したりする要因を調査した結果、「お得な特典やクーポンがあった」(42.48%)と「自分の興味と関係していた」(27.78%)が突出して多いことがわかりました。この2つの項目を合わせると、全体の7割以上を占めています。
この結果から、消費者がチラシを手に取り、読み、実際の行動に移すかどうかは、主に次の2つの実利的な要素に基づいていることが明らかになりました。
| 項目 | 詳細 |
| 直接的な金銭的メリット | 値引きや特典・限定クーポンなど、明確なお得感がある |
| 自分に関係があるか | ライフスタイルや興味と"自分ごと化"できる内容である |
これらの結果から、効果的なチラシ制作には単に「デザインを美しくする」だけでなく、「誰に対して、どのような価値を伝えるか」という戦略的な設計力も重要であることがわかります。
マーケティングの観点からデザインを捉え、閲覧者の関心やニーズに合わせながら、具体的なメリットを明確に提示できるかどうかが、消費者の行動を促す重要な鍵となっているようです。
デザインと読みやすさが同率で重要な「魅力の土台」
チラシを保管したり、内容に注目したりした理由として、「色使いやデザインがきれいだった」と「情報が整理されていて読みやすかった」がいずれも11.44%で同率という結果になりました。
「お得感」や「関心との一致」に次いで、これら2つの要素は合計で約23%を占めており、無視できない重要な要素であることがわかります。
これらのデザインやレイアウト要素は、チラシの「魅力を支える土台」として機能しているようです。どれほど優れた内容や特典があっても、読みにくい配置や雑然とした印象のチラシでは、情報が十分に伝わる前に捨てられてしまう可能性が高まります。
つまり、効果的なチラシ制作においては「目を引く」だけでなく、「最後まで読ませる構成設計」が不可欠です。デザインは単なる見た目の装飾ではなく、情報を効果的かつ魅力的に伝えるための重要な設計技術であることが、今回の調査結果からも示されています。
「すぐ捨ててしまう」チラシの特徴分析
【 選択肢 】
・文字が多すぎて読む気にならない
・デザインが安っぽい・古くさい
・何の広告かすぐ分からない
・自分に関係がない内容だった
・写真やビジュアルが弱い
・ありきたりな内容だった
・その他
「関心不一致」が60.33%と最大の離脱要因

| 「すぐ捨ててしまう」チラシにはどんな特徴がありますか? | 人数 | 割合 |
| 文字が多すぎて読む気にならない | 46 | 15.33% |
| デザインが安っぽい・古くさい | 22 | 7.33% |
| 何の広告かすぐ分からない | 26 | 8.67% |
| 自分に関係がない内容だった | 181 | 60.33% |
| 写真やビジュアルが弱い | 3 | 1.00% |
| ありきたりな内容だった | 19 | 6.33% |
| その他 | 3 | 1.00% |
| 300 | 100.00% |
すぐに捨ててしまうチラシの特徴として最も多かった回答は「自分に関係がない内容だった」(60.33%)でした。これは、チラシが物理的には受け取られているものの、内容的には「届いていない」状態に陥っていることを示しています。
この結果から、チラシ制作において「ターゲティング設計の精度」が反応率を大きく左右する最も重要なポイントであることがわかります。「誰に、何を、どのように伝えるか」という基本設計が曖昧なままでは、デザインや特典がどれほど工夫されていても、具体的な行動にはつながりにくいといえます。
特にポスティングの場合は配布対象を細かく絞り込むことが難しいため、「地域や世代、生活シーンに合わせた訴求軸の見直し」や「共感を生み出すコピーライティング」の重要性がより一層高まると考えられます。
「情報過多・視認性不足」が次点の課題
すぐに捨てられてしまうチラシの特徴として、「文字が多すぎて読む気にならない」(15.33%)と「何の広告かすぐ分からない」(8.67%)も上位に挙げられました。
この2項目を合わせると約4人に1人(24%)が「情報整理の悪さ」を問題視していることになります。情報を詰め込みすぎたり、視線誘導が整理されていなかったりすると、たとえ内容がターゲットに合致していても、十分に読まれる前に離脱されてしまう可能性が高まるようです。
効果的なチラシに必要なのは情報量の多さではなく「伝達設計」の質であり、受け手が瞬時に「何の広告か」を理解できることが重要です。視線の流れ、情報の階層構造、余白のバランスといったビジュアルコミュニケーションの設計こそが、反応を生み出すチラシとそうでないチラシを分ける重要な要素だといえるでしょう。
調査結果のまとめ
今回の調査から明らかになったのは、「手に取られるチラシ」と「捨てられるチラシ」を分ける要因が、単純なデザインの美しさではなく、消費者の行動心理をどれだけ理解し、チラシ設計に反映できているかという点です。
人々はチラシを目にした瞬間に「自分の生活に関係があるか」「今の自分に必要な情報か」を直感的に判断しています。たとえデザインが洗練されていても、その瞬間に関心を捉えられなければ、内容が読まれることなく手放されてしまうことがわかります。
一方で、美味しそうな商品写真、見やすいレイアウト、整理された情報構成といった要素は、受け手の理解を助け、購買や来店といった行動を自然に後押しする「導線」として機能しているようです。
この調査結果は、販促物におけるデザインの役割が単なる「見た目の美しさ」ではなく、「人の心を動かし、具体的な行動につなげる仕組みをつくること」にあることを示しています。
チラシ制作においては、ターゲット設定の明確化、関心に合わせた内容設計、情報の整理と視認性の向上、具体的なメリットの提示など、総合的な視点からのアプローチが効果的だといえるでしょう。
出典元:全国チラシ効果調査2025













