株式会社ecloreでは、同社が運営するプラットフォーム「ウェルマ」において、マーケティング担当者にアンケート調査を実施し、最新のマーケティング動向を把握する取り組みを行っています。その最新レポートとして、「可能性を感じるSNS」、「注力しているマーケティングチャネル」、「予算が増えた場合に投資したい施策」についての調査結果が発表されました。

調査の背景

マーケティング環境は急激に変貌し続けています。SNSのアルゴリズムは数カ月ごとに刷新され、新たなプラットフォームが次々と登場し、AI技術の進化により広告やクリエイティブも大きく様変わりしています。

このような状況下では、昨年効果的だった施策が今年も同様に通用するとは限りません。成功した技術やアプローチをそのまま再利用するだけでは、早々に競争力を失う危険性が高いです。

今回の調査では、「可能性を感じるSNS」、「注力しているマーケティングチャネル」、「予算が増えた場合に投資したい施策」の3点についてマーケターの声を分析し、今後1~2年間の展望を考察する中で、企業やマーケターが最も重要な取り組みは何かを探ります。

マーケターが注目するSNSの可能性とその理由

アンケートによると、「マーケターが現在、期待しているSNS」はYouTubeが最も多く支持を集めました(37%)。続いて、X(旧Twitter)(35%)、Instagram(29%)、TikTok(21%)、Threads(17%)という順になっています。

この結果から、短尺動画系SNSや動画コンテンツが依然として高い関心を集めていることが伺えます。対照的に、新興のSNSであるThreadsやBtoBに向くLinkedIn、コミュニティ運営に適したLINEオープンチャットなど、「自社のターゲット層に合った新しいSNSを模索する」流れも見受けられます。

ポイント①:動画系SNSが注目される理由

(1)YouTube(37%)

今回最も支持されたYouTubeは、ロング動画とショート動画(YouTubeショート)の広範な展開が魅力で、動画コンテンツによる“視覚と聴覚”を活用した高い訴求が特徴です。

  • YouTubeショートの登場により、短尺動画のユーザー層へのアプローチがより強化される
  • 検索プラットフォームとしても機能するためSEO効果が期待できる

(2)TikTok(21%) / Instagram(29%)

InstagramやTikTokといった短尺動画プラットフォームは、トレンドを意識した迅速な拡散が可能で、多くのマーケターに注目されています。

  • ハッシュタグチャレンジやリールを活用した参加型コンテンツ作成が容易
  • インフルエンサーとのコラボレーションにより、瞬時に広がる認知拡大が期待できる
  • 特に若年層や女性ユーザーへのリーチが強い

ポイント➁:X(旧Twitter)やThreadsへの期待

(1)X(旧Twitter)(35%)

依然として多くの支持を集めるX(旧Twitter)は、リアルタイム性と拡散力に魅力を感じるマーケターが多いようです。

  • 時事ニュースを迅速に捕らえ、短文で即座に情報発信が可能
  • ユーザー参加型キャンペーンハッシュタグを活用した企画が容易に運営できる

(2)Threads(17%)

Meta社が提供する新たなテキストコミュニケーションSNSとして、多くの注目を集めています。

  • Instagramアカウントと連携しているため、ユーザーの移行がスムーズに行える
  • テキスト主体のコミュニケーションでありながらビジュアル要素との親和性も期待できる
  • ユーザー数や使用スタイルがまだ定まっていないため、先行者利益を狙う動きが見られる

ポイント③:BtoBで存在感を強めるLinkedInと活性化するLINEオープンチャット

(1)LinkedIn(8%)

BtoBマーケティングの場として日本国内でも存在感を持ち始めているLinkedInですが、導入企業が少ないため、競合の少ないブルーオーシャンとしての活用が進んでいるのが特徴です。

  • リード獲得やHRブランディングにおいて注目されています
  • 専門的な情報発信や業界トレンド紹介に適し、高品質なリーチが期待されます

(2)LINEオープンチャット(9%)

日本国内でのLINEユーザー基盤を活かし、コミュニティ運営の可能性を感じているマーケターも多数存在します。

  • よりクローズドな環境で濃厚なコミュニケーションやファン化が推進しやすくなります
  • 広告による大規模アプローチではなく、コミュニティマーケティングの一環として音声化することに活用しています

ポイント④:今後の動向『短尺動画、インフルエンサー、コミュニティの統合』

今回の調査結果から明らかになったのは、直感的に情報を得やすく、ユーザーの興味を迅速に捉え、拡散力を高められるプラットフォームが圧倒的に支持されているという事実です。短尺動画やライブ配信など、視覚的で瞬発的な訴求が得意なSNSに加え、テキスト重視のXやThreadsにも一定のニーズが存在しています。

さらに、BtoB向けにはLinkedInのような専門性や信頼性を重視したSNSが徐々に増している様子が伺えます

(1)クリエイティブ強化とインフルエンサーとの連携が鍵

  • 短尺動画を活用する際は、視聴者を最初の数秒で退屈させずに引き込む力が求められます。そのため、クリエイティブやストーリーテリングの質が一層重要になってきます。
  • インフルエンサーとのコラボレーションが、より有機的な拡散やファンコミュニティの形成を狙う上で必須のアプローチになりつつあります。

(2)今後注目される施策の具体例

  • 事例1:YouTubeショートとロング動画の連携
    商品紹介をショート動画で行い、興味を引いたユーザーがロング動画でさらなるコンテンツを体験するという二段階の戦略。
  • 事例2:TikTokとInstagramリールの同時配信
    各プラットフォームに応じて調整を加えつつ、コストを抑えながら複数SNSに展開可能です。これにより、幅広いユーザー層にアプローチできます。
  • 事例4:LinkedInでのBtoBリード獲得の強化
    業界特化型のコンテンツを継続的に発信し、リード獲得からMAツールでのナーチャリングへとつなげることで、さらなる成果を期待します。

マーケターが注目するSNSについてのまとめ

短尺動画系SNSや新興プラットフォームは特に変化が早い分野であり、企業アカウントの運用次第では、急速な拡散やコミュニティ形成が見込めることから多くのマーケターが注目を続けるでしょう。

現在注目しているマーケティングチャネルの最新トレンド

アンケート結果から、「マーケターが現在、最も注力しているマーケティングチャネル」はYouTubeがトップで、38%がこの選択肢を挙げました。次いでX(旧Twitter)が32%、Instagramが26%、LINE(公式アカウントも含む)が21%という結果となりました。

それ以外では、TikTok(16%)、Google(リスティング・SEO含む)(15%)、Facebook(8%)、メールマーケティング(6%)、オウンドメディア(自社ブログ等)(4%)が続きました。

この結果から、SNSプラットフォームを中心としたデジタルチャネルへの注力が依然として強いことがわかります。また、一方でリスティング、SEO、メール、オウンドメディアなどのいわゆる“従来型手法”にも一定の支持が見られ、目的に応じて複数チャネルを使い分けている状況がうかがえます

ポイント①:コンテンツマーケティングやコミュニティ運営の重要視について

YouTubeやLINE公式アカウントへの注力度が比較的高いことから、コンテンツマーケティングやコミュニティ運営の重要性が浮き彫りになっています。

(1)YouTube:

  • ブランドや商品に関するロング動画による詳細な解説や、ライブ配信を通じたユーザー参加型企画が多くの企業にとって重要になっています。
  • 短尺動画(YouTubeショート)との組み合わせを通じて“検索による流入とSNS拡散を狙う試み”も増加中です。

(2)LINE(公式アカウント含む):

  • クローズドな環境だからこそ生まれる顧客との双方向コミュニケーションや、友達登録によるセグメント配信を活用する企業が増えています。
  • LINEオープンチャットに続き、公式アカウントを含めた“コミュニティマーケティング”の実践例も増加しています。

このような点から、「SNS広告」を軸にしつつも、独自のコンテンツを発信しファンコミュニティを構築することで、長期的な顧客関係の構築を重視している企業が多数存在することが示されています。

ポイント➁:チャネル選定時の留意点

(1)Cookieレス時代の対応策

ブラウザやOSのプライバシー保護の強化により、従来のCookieベースのトラッキングが制限され、広告ターゲティングや効果測定が困難になっています。SNSや検索広告だけに依存すると、データ取得の精度が低下し、リターゲティングが難しくなる危険性があります。このため、今後は以下の対策が求められます。

  • ファーストパーティデータを用いて顧客理解を深め、施策の最適化を図る
  • メールマーケティングやLINE公式アカウントを使用し、直接的コミュニケーションの基盤を整備
  • オウンドメディア上に会員登録や会員限定コンテンツを設置し、自社でデータを蓄積して接点を持続していく

(2)広告費用の上昇とROI最適化

特に人気のあるYouTubeやX、Instagramでは、広告出稿の増加により広告費用が高騰しています。限られた予算を持つ中で成果を最大限に引き上げるためにはROI重視のチャネル選定が不可欠です。

  • 継続的なA/Bテストを通じて、CVR(コンバージョン率)やCPA(取得単価)の検証を定期的に実施する
  • 大規模な投資前に、小規模なキャンペーンでテストし、成果が上がった場合には拡大していくという段階的アプローチを取る
  • クリエイティブの質を高め、広告効果を最大化する

(3)チャネル間の連携の重要性

本調査結果では、100名中66名の過半数以上が複数の選択肢を持ち、多くの企業や担当者は複数のチャネルを組み合わせてマーケティングを行っていることが示されています。

一例として、「SNS広告でユーザーを取得し、自社Webサイトやオウンドメディアで詳細を提供し、メールやLINEでナーチャリングする」という流れが標準化しつつあります。

  • SNS × オウンドメディア × MAツール:SNS広告で広範囲な認知を獲得し、オウンドメディアで興味を引き出し、MA(マーケティングオートメーション)ツールで行動をスコアリングし、適宜メール配信やLINE通知を行う
  • ソーシャルリスニングにより顧客のリアルな声を収集し、商品・サービスの開発やクリエイティブの改善に活かす

このようにしたチャネル間のデータ連携を実現し、一貫した施策を設計することが、Cookieレス時代においても持続可能な成果を生む要因です

マーケターが注目するマーケティングチャネルについてのまとめ

アンケートで、YouTubeやX(旧Twitter)、InstagramといったSNSに多くの支持が寄せられる一方、Google(リスティングやSEOを含む)、メールマーケティング、オウンドメディアに対する取り組みも見受けられました。

さらに、注目しているチャネルの調査結果では、過半数の回答者が複数のチャネルを選択しており、これは多くのマーケターが「単一チャネルだけで全てを賄うのは難しい」と考え、特性や顧客層に応じた使い分けをしていることを示しています。

  • Cookieレス時代に向けたデータの活用や広告コストの高騰への対応方法
  • コミュニティマーケティングコンテンツマーケティングを通じて長期的なファン基盤を築く
  • チャネル間の連携を前提にした施策設計を行う

こうした観点から自社のマーケティングチャネルを選納し、目的に適した配分をすることが今後ますます重要になってくるでしょう

出典元: 株式会社eclore プレスリリース

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