
全国290の自治体からの声を集めた「ふるさと納税実態調査」の結果が、一般社団法人自治体DX推進協議会より発表され、レポートが無料で配布されています。この調査では、特に産地偽装などの不正防止に重要な返礼品の品質管理体制が脆弱であることが指摘されています。
産地偽装リスクを高める品質管理体制の不備
調査によると、返礼品の品質チェックに関するガイドラインが「存在しない」と回答した自治体はなんと62.2%に上っています。これは、明確な品質管理基準が整備されていないことを示しています。また、品質チェック体制を「体制を設けていない」と回答した自治体も41.0%に達しました。
現在、特産品において産地偽装の問題が報道されており、ふるさと納税制度の信頼性に影響を与える事例が見受けられます。このような産地偽装を事前に防ぐためには、品質管理体制の構築が急務となっています。

品質管理の現状と取り組み
一部の自治体では、産地偽装防止を含む品質管理のために、自治体職員による定期的な現地確認(22.8%)や提供事業者による自主検査のレポート義務(17.9%)など、具体的な品質管理方法を導入しています。また、寄附者からのフィードバック(15.9%)や第三者機関による品質検査(7.9%)を行っている自治体も見られます。
最近、総務省は返礼品の適正な運用を求めて指定基準の見直しを行っており、調査に参加した約7割の自治体が規制の必要性を認識しているにもかかわらず、より柔軟な運用や明確な基準を求める声も多く上がっています。
自治体の課題と今後の展望
このレポートでは、ふるさと納税の寄附額を上昇させるための施策として、新しい返礼品の開発(81.7%)が最も支持を集め、その後にポータルサイトの充実(49.7%)、マーケティング・プロモーションの強化(44.8%)が続いています。
さらに、Amazonのふるさと納税ポータルサイトへの対応状況に関する調査では、約半数(48.6%)の自治体が「すでに出品の準備を進めている」と回答したものの、情報不足や運用ノウハウの不足が課題として指摘されています。
自治体DX推進協議会は、ルール改正を通じて産地偽装などの不正防止のためのガイドラインの整備、新しいプラットフォームへの対応支援の強化、リピーター獲得に向けた取り組みの体系化を目指しています。
一般社団法人自治体DX推進協議会(GDX)は、自治体のデジタルトランスフォーメーションを推進し、地域社会の持続可能な発展を目指す団体です。各自治体との協働を通じて、デジタル技術を活用した地域課題の解決やイノベーションの創出を支援しています。
出典元:一般社団法人自治体DX推進協議会 プレスリリース