フュージョンとネオマーケティングが実施した「浮気されるブランド」調査の結果

フュージョン株式会社(北海道札幌市、代表取締役:佐々木卓也)と、生活者を起点としたマーケティング支援に取り組む株式会社ネオマーケティング(東京都渋谷区)は、2025年2月12日(水)から2月13日(木)の2日間、全国の18歳以上の男女を対象に「浮気されてしまうブランド」というテーマでインターネットリサーチを実施しました。

<調査の背景>

従来愛用していたブランドから離れ、他のブランドへと乗り換える「ブランドスイッチ」は、特に市場競争が激化する中で重要な課題となっています。一度獲得した顧客を維持することは、売上の保持だけにとどまらず、ブランド信頼性や成長に直結するため、企業にとって無視できない問題です。

本調査では、消費者がブランドを継続利用する理由や、他のブランドに「浮気」する要因を分析しました。また、ブランドの対応が「大切にされている」と感じられる度合いやサポート体制への満足度を調査し、企業が顧客の離反を防ぐ施策を見出しました。

今後のマーケティング活動の参考資料として、ぜひご活用ください。

【調査概要】

調査方法:株式会社ネオマーケティングが提供するWEBアンケートシステムを用いたインターネット調査

対象:全国の18歳以上の男女

有効回答数:1,000名

調査実施日:2025年2月12日(水)〜2025年2月13日(木)

「浮気されてしまうブランドに関する実態把握調査」主な質問と回答

◆自身で選んで購入・契約している商品の今後の継続意向
「キャッシュレス決済」が95.2%でトップに立ち、続いて「クレジットカード」が93.0%で2位という結果となりました。一方、「サプリメント(プロテイン含む)」や「スキンケア」、「自動車」といった有形商品の継続意向は相対的に低い傾向が見られました。

◆ブランドスイッチしたい理由
サプリメントやスキンケアにおいては、「ブランドへの飽き」がスイッチの理由として顕著に見られます。特にこれらの商品の効果は現れるまで時間がかかるため、「なんとなく効いているように思う」といった不確かな感覚に陥りやすいです。

メーカーは効果を実感しやすくする使用方法の提案や新成分の導入、処方の見直しを定期的に行うことで、「変化を感じる環境」を構築し、ブランドスイッチの抑制が可能です。

調査の冒頭で、自身で選定し購入または契約している商品について、今後の継続意向に関する質問を行いました。以下は「今後も変わらず同じブランドを購入・契約したい」と回答した比率をもとにしたランキングです。

■自身で選んで購入・契約している商品の今後の継続意向

「キャッシュレス決済」が95.2%で首位となり、続いて2位には「クレジットカード」が93.0%で入っています。

この調査では、「サプリメント(プロテイン含む)」、「スキンケア」、「自動車」といった有形商品の継続希望は比較的低い結果となりました。

前述の調査項目【自身で選んで購入・契約している商品の今後の継続意向】において、各商品カテゴリーに対し「他のブランドを選びたい」と回答した方々からその理由を伺いました。以下は「その他」を除いた上位5つの理由をランキングにしたものです。

■今後ブランドスイッチしたい理由

上記の調査項目【自身で選んで購入・契約している商品の今後の継続意向】において、上位2位の「キャッシュレス決済」と「クレジットカード」の理由は、「他のブランドがポイント制度や割引などで魅力を感じないから」「他ブランドのプロモーションに影響を受けたから」「自身のライフスタイルが変わったから」といったことが上位に挙げられ、その中でも特に「お得感」の価値基準が強く影響しています。つまり、他のブランドがより魅力的なキャンペーンを展開すれば、消費者は簡単にブランドを切り替える傾向にあることが示唆されています。

特に「動画ストリーミングサービス」においては、他ブランドのプロモーションが離反に対して敏感に影響を及ぼすことが確認されています。「効果が薄い」との意見が多く、これがトップ理由となっています。この特徴から、視聴が終わったり、関心のあるコンテンツが配信終了するタイミングで継続を判断することが容易になります。ちょうどその時に他社が魅力的な作品を独占配信したり割引キャンペーンを実施した場合、ブランドスイッチの可能性は高まるでしょう。

一方で、「サプリメント(プロテイン含む)」や「スキンケア」においては、「飽き」が他ブランドに切り替わる要因として強く顕著に見られました。

これら商品は効果が現れるまでに時間がかかり、曖昧な実感を持ちながら利用されるケースが多いことから、「新しい製品を試してみたい」という欲求が生じ、それがブランドスイッチを引き起こすと考えられます。

メーカー側にとっては、効果がすぐに実感できる使用法の周知や新成分の投入、製品の改良、さらに「変化が感じられる仕組み」の構築が、ブランドスイッチを抑えるための鍵となるでしょう。

続いて、各商品カテゴリーにおける「継続購入・契約の理由」についてお尋ねしました。こちらは「その他」を除いた理由の上位5つをランキングで示します。

■今後もブランドを継続購入・契約したい理由

9つのカテゴリーの中で、7つのカテゴリーには「ライフスタイルに合っている」が上位2位にランクインしました。

自身の消費傾向や生活リズム、家族構成、価値観にマッチした商品やサービスは、継続される傾向が強いことが伺えます。

ブランド側としては、「冗長な機能を排除したシンプルな商品(サービス)」といったライフスタイルを意識したブランド戦略を構築し、通勤や家庭の時間に合わせたパーソナライズドプランの提供を進めることで、継続率を高められる可能性があります。

さらに「サプリメント(プロテイン含む)」や「スキンケア」については、「品質の高さ」と「手に入れやすさ」が継続理由の上位2つに位置していました。

これら製品は定期的に購入が発生し、ファッションやコスメに比べて日常的に使用されるため、品質の良さに加えて「手間をかけずに速やかに入手できること」が重視されることが窺えます。

次に、各商品カテゴリーごとの「購入・契約者特典」の活用状況をお尋ねしました。

(特典例:ポイント制度、誕生月プレゼント、会員専用商品、先行販売、新商品の割引クーポンなど)

■購入・契約者特典の活用状況

特典を提供しているブランドは多く、ユーザーの活用率が75.3%という高い数字を記録しているのが「クレジットカード」でした。「キャッシュレス決済」は、69.2%と比較的高い割合で2位に位置しています。

「クレジットカード」と「キャッシュレス決済」は、前述の調査項目【自身で選んで購入・契約している商品の今後の継続意向】でもPINの上位2位に選ばれていました。特典の存在がサービスの継続に重要な影響を与えることが示唆されています。

続いて、各商品カテゴリーごとに「購入・契約者特典」に関する満足度をお尋ねしました。

(特典例:ポイント制度、誕生月プレゼント、会員専用商品、先行販売、新商品の割引クーポンなど)

■購入・契約者特典の満足度

前述の調査項目【購入・契約者特典の活用状況】において、「通信キャリア」が特典利用の活用率50.6%を記録し、「クレジットカード」や「キャッシュレス決済」に次ぐ数字でしたが、満足度は77.3%(※)で8番手に下落しました。

特典を感じているにもかかわらず、満足度が低いのは、特典の「付加価値」を実感しにくいことが一因かもしれません。

クレジットカードやキャッシュレス決済は金銭的なメリット(ポイント還元やキャッシュバック)が直感的に分かりやすく、消費者が「得をしている」と感じやすいのです。

また、自動車やスマートフォンの特典は高額支出に伴いやすく、得られるメリットが大きく印象に残りやすい傾向があります。

対して、通信キャリアの特典は「契約のオプション」として分類されることが多く、消費者に対して明確な価値を提示できていない可能性があります。

通信料が即座に減額される施策や、長期契約者向けの優待特典、限定イベントへの自動招待など「使うたびにお得さを実感」できる仕組みが求められ、特典の「分かりやすさ」を意識することが、顧客満足度への向上が期待されます。

※「満足している」「やや満足している」の合算

続いて、ブランドからの対応によって「大切にされている」と感じる要素について教えてもらいました。以下は「その他」を除いた上位5つをランキング形式で示します。

■「大切にされている」と感じる、ブランドの対応

9つのカテゴリー中において、6つのカテゴリーには「記念日や特別な日の祝い」が上位2位に選ばれています。

バースデーメールや記念日割引は多くのブランドが実施するコミュニケーション手法で、ブランドに対するロイヤルティ向上に一定の効果があると考えられます。

一方、「動画ストリーミングサービス」、「通信キャリア」、「クレジットカード」といった無形商材に関しては、「困った時の迅速な対応」が上位に位置しています。

有形商材は購入後すぐに満足度が決まりやすいのに対し、無形商材は利用を継続することが前提となり、満足度が確立されるのはその中においてです。ユーザーは「利用するのが当たり前」と受け入れ、不具合が起こった時にストレスを感じやすくなるため、迅速なサポート対応が特に求められます。

多くのブランドが「ポイント付与」や「割引クーポン」といった施策を実施していますが、これらは業界のスタンダードであり差別化要因にはなりづらいです。それに対し、「トラブルにどう対処してくれるか」はブランド間で差が出やすく、記憶にも残る要因です。

このような背景から、「大切にされている」と感じる要因は迅速なサポート対応に集中したと考えられます。

ユーザーに合わせた解決策を提示する「個別最適化サポート」の導入や、特に役に立つFAQの実施、専門オペレーターの対応強化が望まれます。

各商品カテゴリーにおける「購入・契約後のサポート」への満足度についても伺いました。

■購入・契約後のサポートへの満足度

クレジットカードやキャッシュレス決済に関しては、「決済不可」や「不正利用の指摘」、「海外利用不可」といった重大なトラブルが生じる可能性があるため、満足度は「クレジットカード」で89.1%(※)、「キャッシュレス決済」で88.0%(※)と高い数値が見られます。

対して「動画ストリーミングサービス」は、トラブル発生時の影響が比較的軽いにもかかわらず88.1%(※)と高い満足度を記録しています。

いくつかのサービスでは24時間対応の電話・チャットサポートを提供しており、その迅速な対応が評価されている可能性があります。

「やや満足している」との回答が61.4%だった「スキンケア」では満足度の質が低いことが際立ちます。スキンケア商品の効果は個々の肌質により異なるため、「成功体験」を築くことが難しいです。商品品質が優れている場合でも、各人に合った適切な利用方法や体験には試行錯誤が求められるため、評価は分かれることがしばしばあります。

このことから、全ての肌タイプに対して安定した評価を得るためには、他の商品に比べて詳細なサポートが必要となります。

各肌タイプに対する使用法ガイドや他商品の使用ガイドを充実させ、また「肌質診断+継続的カウンセリング」を実施したり、試用期間を設けたりして返品や交換の柔軟性を高めることで、「個々の肌質に合った(パーソナライズされた)サポート体験」を提供し、ポジティブな効果を得る体験を増加させることが期待されるでしょう。

また、この設問と【自身で選んで購入・契約している商品の今後の継続意向】との相関を見たところ、相関係数は0.545に達しました。

0.545という数字は完全な因果関係を示すものではありませんが、「関係性がある」ことを示すには十分なデータであり、サポートの質がブランドの継続率向上に寄与している証拠となります。

※「サポートに満足している」「サポートにやや満足している」の合算

出典元:株式会社ネオマーケティング

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