CCCMKホールディングス株式会社(東京都渋谷区、代表取締役社長 兼 CEO:髙橋誉則)は、同社の傘下にあたる「CCCマーケティング総合研究所」(以下「CCCマーケティング総研」)が2024年7月の「産業動向レポート」および「産業天気予報」を発表したことをお知らせします。

このレポートは、CCCMKHDが提供する家計簿アプリ「レシーカ」の約5万人のユーザーから得たレシートデータと、CCCマーケティング総合研究所が全国の主要企業に対して実施したヒアリング調査を基にしています。特に「食」に関する業態に焦点をあて、独自の視点から分析がなされています。

デリバリーの進展が競争を加速させる

今年も猛暑の影響が多くのリテイル業界に顕著に表れています。従来は、暑さが到来することで内食の需要が増えるとされていましたが、最近の傾向として、調理を避ける傾向が見られ、多くの人が外食を選ぶようになっています。そのため、中食も調理の手間を省く選択肢として安定した推移を見せています。内食・中食・外食の市場シェアにおいては、もはや圧倒的に内食が優位となる状況ではなくなっています。さらに、猛暑日時にはデリバリーの利用が増える傾向があるものの、最近では著しい成長は見受けられません。

デリバリー市場は「Uber Eats」や「出前館」などのインフラの整備により、コロナ禍で急激に成長しましたが、アフターコロナの時代に入ると利用パターンの変化が見られます。コロナ以前からコロナ禍にかけてのデリバリー市場の主な顧客層はファミリーで、寿司やピザといったシェア型メニューが中心でした。需要のピークはひなまつりやこどもの日などのイベントデーに集中し、「ハレ」の利用として見られていました。一方で、コロナ禍では個人利用が急増し、「Uber Eats」などのサービスが急速に影響力を持つようになりました。多くの店舗が営業を続ける中で、デリバリーへの移行が生存戦略として鍵となり、メニューの選択肢が大幅に多様化しました。この流れの中で特に成長を遂げているのがアジアン料理で、現在は本格的なインドカレーやタイ料理、ベトナム料理、シンガポール料理などがデリバリー市場の重要な要素を占めるように発展しています。

デリバリーサービスのインフラ整備は外食企業がすべき戦略にも大きな変化をもたらしています。以前は企業が自社でデリバリー要員を雇用していましたが、現在は多くの企業がアウトソーシングを選ぶようになり、内部対応を続ける企業の割合は大きく減少しています。また、デリバリーの需要拡大に成功している企業は、ファミリー層中心の従来のメニュー構成にとらわれず、一人利用を意識したメニューを提供する企業が増えてきました。さらに、日常的な利用に特化したメニューを提供することで業績が向上している企業が少なくなく、デリバリー業態の成功モデルが大きく変わりつつあるのです。

デリバリー市場の変動に伴い、他の業態においてもデリバリーサービスが進化しています。コンビニエンスストア市場では、豊富な商品ラインナップを一度に届ける利点を活かし、デリバリー需要の獲得において有利に働いています。一方で、広範な店舗ネットワークが逆にデリバリー需要を妨げる要因ともなっていましたが、デリバリーサービスの導入により24時間営業の強みが徐々に発揮されつつあります。さらに、デリバリーフードの中心的役割を担うピザ業態が店内での調理を開始するなど、顧客を引き寄せる努力が強化されています。一方で、日本独自の市場を拡大してきたデリバリー業界は、今後大きな変革期を迎えていくと考えられています。

2024年7月の「産業天気予報」

2024年7月の「産業天気予報」

CCCマーケティング総合研究所について

名称:CCCマーケティング総合研究所(略称:CCCマーケティング総研)

設立:2020年7月21日

所長:新橋実

当研究所は、生活者の消費データやインサイトに加え、社会環境や経済状況を考慮し、2020年に設立されました。生活者のみなさまの「ちょっといいな」を実現するための活動を行っています。私たちは『生活者の皆さまと共に歩み、共に考えるシンクタンク』として、生活者の意識をつかみ、その声をもとに「データ」×「クリエイティブ」×「コンサルティング」により、皆さまの未来創造に寄与します。

出典元: CCCマーケティング総合研究所

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