EC物流代行サービス「ウルロジ」を展開するディーエムソリューションズ株式会社(本社:東京都武蔵野市、代表取締役社長:花矢卓司)は、全国の20〜70代の男女を対象に、EC事業を運営する担当者や責任者1,000名を対象に「EC運営におけるコストの実態調査」を実施した結果を発表しました。

この調査では、1,000名のEC運営者に対して、①システム運用費②物流費用③広告・マーケティング費用④商品原価という4つのコスト実態を、業界別や平均顧客単価の観点から分析しました。特に今回のレポートでは、これら4つのコストの中から物流費に特化して解説しています。
この記事の目次
■全体の平均顧客単価は3000〜5000円、エンタメグッズとアパレルは高単価の傾向
調査の結果、1,000名のEC事業者に「現在運用している自社ECサイトやECモールの平均顧客単価はどのくらいか」と尋ねたところ、約25.6%の事業者が3000〜5000円を選択しました。また、1,001円〜3,000円の層が16.6%、5,001円〜7,000円の層が13.2%という結果も見受けられました。特に、3000〜5000円の範囲が中心となっています。

この結果から、EC市場では3000円〜5000円の顧客単価が主流であることが分かりました。これは、EC市場が多様な商品カテゴリで構成されており、日用品から高価格帯の家電まで幅広く商品が展開されていることを反映しています。
商材カテゴリ別の分析では、エンタメグッズやアパレルは平均顧客単価が5000円以上の事業者が7割以上を占める高単価の傾向が見られました。エンタメグッズには限定商品やコレクターアイテムなど、魅力的な商品が多く、アパレルはブランド力やデザインによって高い価格でも需要が見込まれることが要因です。

したがって、EC事業者は自社の商品特性を理解し、適切な価格設定を行うことが求められます。高単価の商材については、ブランド戦略やカスタマーエクスペリエンスの向上を図り、低単価品では価格競争に打ち勝つための戦略が重要です。また、顧客満足度の向上と販売戦略を並行して進めることが大切です。
■売上に対する物流費用の比率は21〜30%が最多
次に、「EC事業の売上の何%が物流費用にあたるか?」という質問に対して、21〜30%と回答した事業者が最も多く22.4%でした。これはEC事業において物流費用が売上と密接に関連していることを示しています。売上が増えると物流費用も増加するため、コスト管理が肝要です。

物流費用の削減には、倉庫の自動化や配送ルートの最適化、共同配送の活用など、さまざまなアプローチが考えられます。業務を外部に委託することで、コスト削減だけでなく業務の効率化や品質向上も期待できます。
■コストに対する商材カテゴリ・平均顧客単価別の分析結果
上記の結果を商材カテゴリと平均顧客単価別に見ると、エンタメグッズやアパレルなどのカテゴリーでは、売上に占める物流費用が30%以上となる事業者が半数以上を占めることが分かりました。対照的に、食品や飲料は、物流費用の比率が10%以下の事業者が最も多く、他のカテゴリと比較して物流費用が低い傾向にあります。

顧客満足度を高めるため、エンタメグッズやアパレルでは丁寧な梱包や迅速な配送サービスが重要な要因となっています。また、アパレルは返品率が高く、返品に伴う物流コストが増加する傾向があります。アウトドア用品は大型商品や重量のあるものが多く、配送コストが高くなることが懸念されています。
逆に、食品・飲料は単価が低く、軽量なため、配送コストを抑えることが可能です。食品・飲料を扱う事業者は独自の物流システムや外部物流業者との提携を通じて、これらのコストを最適化していると考えられます。
平均顧客単価別の分析では、顧客単価が20,001円〜50,000円の高単価の商品を扱う事業者は、物流費用の比率も高まる傾向があります。高価格の商品を扱う店舗は、顧客満足度を向上させるために物流分野にも多くの投資をしていることが推察されます。

高額商材は、配送中の破損や紛失のリスクが高まります。そのため、より安全で信頼性のある配送サービスが求められます。また、高単価商品を購入する顧客は、配送スピードや梱包の精度など、物流品質に対する要求が高いことも特徴です。
■EC運用における各コストへのEC事業者の意識
EC運営にかかる各コストに対する印象を尋ねた結果、物流費用や商品原価については、50%以上の事業者が「高くなっている」と感じていることがわかりました。また、システム運用費や広告・マーケティング費用においても、4割以上の事業者がコスト上昇を実感しています。どの項目においても「安くなっている」と回答した事業者は10%未満という結果でした。

出典元:ディーエムソリューションズ株式会社