
2024年10月の企業倒産件数に関する調査が株式会社帝国データバンクより発表され、法的整理による倒産件数が925件に達し、前年同月の790件と比較して17.1%の増加を見せました。この結果は、企業倒産が30カ月連続で前年同月を上回ったことを示しています。2024年の中で最も多い件数は5月に記録された1016件であり、10月も2013年以降で900件を超える結果となりました。
◆ 概況・主要ポイント
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倒産件数は925件(前年同月790件、17.1%増)となり、30カ月連続で前年同月を上回りました。また、2024年では5月(1016件)に次いで、10月としては2013年10月以降の900件超えです。
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負債総額は1755億6800万円(前年同月3055億8400万円、42.5%減)で、3カ月連続で前年同月を下回りましたが、2024年で2番目に多く、船井電機株式会社が469億6400万円で負債額トップとなっています。


◆ 業種別と地域別の動向
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業種別では、7業種中6業種が前年同月を上回りました。特に『サービス業』(前年同月187件→237件、26.7%増)が最も多く、次いで『建設業』(同162件→201件、24.1%増)です。建設業は資材価格の高止まりや人手不足の影響を受けて2013年10月以来の200件超えを記録しました。
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地域別に見ると、9地域中8地域が前年同月を上回りました。特に『関東』(前年同月302件→317件、5.0%増)が目立ち、「千葉」の増加が全体を引き上げました。最も増加率が高かったのは『東北』(同39件→66件、69.2%増)で、5カ月ぶりに60%超の増加率を記録しました。2024年の累計では、24府県が2023年通年の件数を上回っています。
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「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は前年同月比で増加し、75件が発生しました。
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「人手不足による倒産」は、年間件数が287件となり、2023年の260件を上回って過去最多になりました。
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「後継者難による倒産」は63件が発生し、過去最多を記録しました。
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「物価高倒産」は91件、年間件数として795件を記録し、過去最多を更新しました。
集計期間:2024年10月1日~2024年10月31日
発表日:2024年11月11日
集計対象:負債1000万円以上の法的整理による倒産
集計機関:株式会社帝国データバンク
◆ 業界特性と今後の見通し
業種別では『サービス業』が最も多く、『建設業』は人手不足や資材高騰の影響を受け、2013年以来の件数を記録しています。特に飲食業や広告・情報サービス業では前年同月を大幅に上回る結果でした。

主な倒産原因として「販売不振」が752件を占めており、不況型倒産は763件に達し、30カ月連続で前年同月を上回っています。また、「放漫経営」や「経営者の病気、死亡」なども増加し、業界の厳しさが見受けられます。

◆ 影響力のある企業倒産
船井電機が10月24日に破産申し立てを行いました。同社の負債は約469億6482万円に達し、国内外の貿易先にも影響が広がる懸念があります。
同社は近年の経営多角化にもかかわらず厳しい経営環境に直面し、「準自己破産」として記録されています。この倒産が進行する場合、関連企業への影響が拡大するおそれがあります。
これらのデータは経済に与える影響が大きいため、注意深く見守る必要があります。企業倒産の動向は、物価、賃金、雇用環境などさまざまな要因が絡んでいるため、予測は容易ではありません。
◆ 物価上昇の影響
物価上昇が続く中、企業は価格転嫁に苦しむ可能性が高く、業種や企業によっては厳しい操業を強いられるため、倒産リスクが高まると考えられます。このような状況を踏まえ、大規模な金融支援が必要となるケースも増加するでしょう。
2024年1月から10月の累計倒産件数は8219件に達し、今後の推移次第では11年ぶりの1万件台が現実味を帯びてきています。
出典元:株式会社帝国データバンク