コストコ、2024年度第4四半期決算を発表:オンライン事業は好調も客単価は減少

2024年9月26日に、コストコ・ホールセール(Costco Wholesale Corporation、以下コストコ)は、2024年度第4四半期および通年の決算を発表しました。第4四半期(16週間)における純売上高は782億ドルで、前年同期(17週間)の774億ドルから1.0%増加しています。前年同期が1週間長かったことを考慮し、調整後の売上成長率は7.3%と好調な結果を示しました。

オンライン事業は好調も客単価は減少

オンライン事業は好調も客単価は減少

第4四半期における比較売上高(既存店売上高)は、前年同期比で5.4%増加し、米国では5.3%、カナダでは5.5%、その他の国際地域では5.7%の増加を記録。さらに、コストコのオンライン事業は好調で、eコマースの比較売上高は18.9%増加し、調整後では19.5%の増加となっています。

特筆すべきは、オンラインでの成長がコストコの売上全体に貢献している点です。消費者が店舗に足を運ぶだけでなく、ウェブサイトやアプリを通じて商品の購入が急速に広がっており、このデジタルシフトが今後のさらなる成長を支える重要な要素となっています。

一方で、客足が6.4%増加したものの、客単価は0.9%の減少となっており、これは消費者がより安価な商品を選ぶ傾向があることを反映しています。特に、カナダやその他の国際地域での客単価の減少が顕著で、カナダでは2.1%、その他国際地域では2.2%の減少が見られました。

会員基盤は引き続き堅調、成長の原動力に

会員基盤は引き続き堅調、成長の原動力に

会員収益は第4四半期で6.5%増加し、為替の影響を除いた場合、7.4%の成長を記録しました。世界的な会員更新率は90.5%と高水準を維持しており、特に米国とカナダにおける更新率は92.9%に達しています。

2024年度末時点で、有料会員数は7,620万人、カード保有者は1億3,680万人と、それぞれ前年同期比で7.3%および7.0%増加しました。さらに、エグゼクティブ会員数は3,540万人となり、売上全体の73.5%を占めています​。このエグゼクティブ会員の高い割合は、コストコの販売戦略における重要な要素であり、付加価値の高いサービスを提供することで、高い顧客ロイヤルティを確保しているのです。

また、コストコは会員向けに独自の商品ラインを展開し、KS(Kirkland Signature)ブランドなど、高品質でコストパフォーマンスに優れた商品を提供することで、顧客の満足度を向上させています。この戦略により、リピーターの増加や新規会員の獲得が期待されるでしょう。

新店舗展開とデジタル強化の進展、さらなる成長の余地

コストコは2024年度第4四半期において、米国、カナダ、その他国際市場で合計14店舗の倉庫を新たに開設。中国の南京と韓国のチョンナでは、新しい店舗をオープンしました。2025年度末までに全世界で916店舗に拡大する計画を立てています。

デジタル面でも、モバイルアプリのダウンロード数が29%増加、サイトのトラフィックが8%増加するなど、eコマースの成長が続いています。新たな検索機能の強化や、米国倉庫の在庫検索機能などが追加され、顧客体験の向上が図られています。

今後の展望:オンライン事業と会員基盤を強化しつつ、新たな成長機会を

コストコは、これまでの成功を基に、さらなる成長を目指しています。デジタル戦略の強化により、オンラインショッピングの利便性を高め、店舗とデジタルの両軸で顧客体験を向上させる方針です。特に、新規店舗のオープンや国際展開が加速する中で、地域ごとのニーズに応じた戦略を展開し、ローカル市場での地位をさらに強固にしていくことが期待されています。

また、会員制度を活用し、顧客との長期的な関係を構築することが、今後の競争優位性を確保する鍵となります。高い更新率とリピーターの増加に支えられ、コストコは今後も安定した収益を確保し続けるでしょう。さらに、KSブランドをはじめとする独自の商品展開により、コストコは顧客に対して他社にはない価値を提供し続けることが可能です。

2024年度は、全体で純売上高2,496億ドルを達成し、前年から5.0%の増加を見せました。今後もコストコは、倉庫の拡大とデジタル戦略を軸に、さらなる成長を遂げることが予想されます。

あわせて読みたい

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ