
この記事の目次
YouTube ショッピングとは?
YouTube ショッピングとは、クリエイターがYouTube上で商品や公式ブランドグッズを紹介し、視聴者が購入できる機能のことをいいます。通常の動画に限らず、ライブ配信の動画内に商品のタグ付けをしてライブコマースを実演することも可能です。なお、ショート動画内で紹介した商品を販売する機能は2023年5月から日本でも対応開始となっています。

2021年2月にYouTube Official Blog上で告知があり、2022年8月頃に日本でYouTube ショッピングの利用を始めるクリエイターが現れました。多くのファンを持つ動画クリエイターにとっては、オリジナルグッズの販売や物販を行う企業からの広告収入につながり、新たな収益化の仕組みとなることが期待されます。
また、ECで物販を行う企業は、顧客ターゲットとなるファンを多数持つ動画クリエイターに宣伝を依頼し、新規顧客の獲得ができるほか、自社のYouTubeアカウントでライブコマースを行い、詳細な商品情報を伝えることもできるでしょう。
YouTube ショッピングを利用できる条件
YouTube ショッピングは、誰でも利用できるわけではなく、一定の条件を満たす必要があります。オリジナル商品なのか、他社のブランド商品を紹介するのかによって、資格要件は異なります。
ただし、2023年6月現在、自社以外のブランドの商品の紹介ができる国に、日本は指定されていません。今後、対象エリアが拡大する可能性はありますが、現状はオリジナル商品の販売のみが可能となっています。
オリジナル商品を紹介するための資格要件
- YouTube パートナープログラムを利用可能な国や地域に拠点を置き、チャンネルの収益化が承認されている
- チャンネル登録者数が1,000人を超えている。または公式アーティストチャンネルである
- チャンネルの対象視聴者が子ども向けに設定されておらず、子ども向けに設定された動画の数が多くない
- チャンネル収益化ポリシーに違反する動画の数が多くない
- ヘイトスピーチに関するコミュニティ ガイドラインの違反警告を受けていない
他のブランドの商品を紹介するための資格要件
- チャンネルの収益化が承認されている
- ブラジル、インド、英国、または米国を拠点にしている
- チャンネル登録者数が20,000人を超えている
- チャンネルが音楽チャンネル、公式アーティストチャンネルではない、または音楽パートナーに関連付けられていない。音楽パートナーには、音楽レーベル、音楽配信会社、VEVOが含まれます
- チャンネルの対象視聴者が子ども向けに設定されておらず、子ども向けに設定された動画の数が多くない
- チャンネル収益化ポリシーに違反する動画の数が多くない
YouTube ショッピングの機能
YouTube ショッピングでは次の機能が利用できます。
チャンネルのストア
チャンネルのホーム画面には、「動画」や「再生リスト」などのタブがあり、公開中の動画を一覧で確認できます。YouTube ショッピングを利用すると、このタブに「ストア」が加わり、販売中の商品を確認できるようになります。
動画の終了画面に商品を表示
動画の終了画面上に、カード型の商品情報を表示することができます。カード型の商品情報はクリック可能で、商品画像や商品名、価格、販売元の情報が記載されます。クリック後は連携したストアの商品ページに遷移可能です。
動画とライブ配信での商品のタグ付け
動画やライブ配信の画面上に、商品のタグを設置することができます。このタグをクリックすると、画面右側に商品カードが表示される仕組みです。
チャットでの商品の固定表示
動画の下部に表示される概要欄付近には、商品情報を固定配置することができます。こちらもクリック可能で、商品画像や商品名、価格、販売元の情報を記載できます。動画の閲覧中にいつでも確認でき、購入につながりやすい配置になっています。
ライブコマースのメリット
ここでライブコマースのメリットを整理しておきましょう。
ライブ配信のプレーヤーイメージ


商品の詳細を伝えやすい
ライブコマースや動画コマースでは、実際の商品を手にとって使っているところを見せられるため、大きさや質感などを、写真よりも正確に伝えることができます。また、使い方がイメージしづらい商品であっても、順を追って説明できるため、利用イメージが湧きやすいのがメリットといえます。
その場で疑問や不安を解消できる
ライブコマースであれば、視聴者からチャットで質問を受け付け、その場で回答することができます。店舗での接客販売をオンライン上で行うイメージで考えると良いでしょう。また、店頭での接客は一対一が基本ですが、ライブコマースの場合は視聴人数に制約を設けず、数千人に同時に接客を行うというようなことが実現するのも魅力といえます。
YouTube ショッピングと連携できるECプラットフォーム
YouTube ショッピングには、YouTube内で決済できる機能が実装されておらず、別のプラットフォーム上で作成したストアと連携させて利用します。YouTube ショッピングと連携できるECプラットフォームは、2023年6月時点でShopifyとSUZURI、Spreadshop、Springの4つ。2024年5月にはBASE、7月にfutureshop、9月にはmakeshop byGMOと着実に連携可能なプラットフォームが増えています。今回はその中でも日本での利用数が多い、ShopifyとSUZURI、BASEについて解説します。
Shopify(ショッピファイ)
Shopifyは、Shopify Inc.が提供するECプラットフォームです。世界175ヶ国以上で、100万以上の店舗に利用されています。Shopifyは、多彩なデザインのテンプレートや充実した決済手段をベースに、マーケティングや商品管理に関するさまざまな機能を備えているのが魅力です。YouTube ショッピングと連携すると、ShopifyストアからYouTubeに自動的に同期され、商品の名前、画像、価格、在庫状況が常に最新の状態に保たれます。
なお、ShopifyでYouTube ショッピングを始める手順は次の通りです。
- Shopifyアプリストアから、Googleチャネルをインストールする
- YouTubeショッピングセクションで、YouTubeアカウントを接続する
- YouTubeショッピングで取り上げる商品を選択する
- [収益化] > [ショッピング]から動画に商品を追加する
SUZURI(スズリ)
SUZURIは、GMOペパボ株式会社が提供するオリジナルグッズ・アイテムの作成・販売が行えるプラットフォームです。販売点数1,910万点以上で、60万人ものクリエイターが登録しています。画像を登録するだけで、商品の販売を開始でき、注文があった場合に、1点から制作するため、在庫を持たずに販売できるのが特徴です。
SUZURIでYouTube ショッピングを始める手順は次の通りです。
- YouTube StudioでSUZURIと連携する
- 「ステータス」項目から表示させたいグッズを選択する
BASE(ベイス)
BASEはBASE株式会社が提供するショップ開設数が200万を超えるネットショップ作成サービスです。ショップ開設数が多いことはさることながら、多くのインフルエンサーに活用されているサービスでもあり、連携によりBASEを活用する事業者の流通増加が見込めることでしょう。
BASEでYouTube ショッピングを始める手順は次の通りです。
- 申請フォームから申し込みを行う
まとめ
サービス提供が始まったばかりのYouTube ショッピングについてご紹介しました。現状、日本では、動画クリエイターがオリジナルグッズを販売するという使い方に限定されていますが、世界中で利用されているYouTubeでライブコマースができるようになると、ECの利用シーンはまた大きく広がることになります。
他のブランドの商品紹介は日本では未対応ですが、今後対応国の拡大が期待されます。動向をウォッチして、販路拡大に活用してみると良いでしょう。
合わせて読みたい