【化粧品EC】NARS・ローラ メルシエ・モロッカンオイルの成功事例から学ぶ販売戦略
セミナーの概要

株式会社コスメ・コムが運営する化粧品特化型ECプラットフォーム「@cosme SHOPPING」主催のセミナーに参加しました。資生堂ジャパン株式会社の鈴木さんに「NARS」「ローラ メルシエ」、モロッカンオイル・ジャパン株式会社の清水さんには「モロッカンオイル」の成功事例や戦略について紹介いただきました。@cosme SHOPPINGでの成功事例をもとに、化粧品EC全般に共通して考えられる点をまとめていきます。

【ゲストスピーカー】

資生堂ジャパン株式会社
鈴木 直弥さん
NARS・LAURA MERCIERのリテーラーECを担当

モロッカンオイル・ジャパン株式会社
シニアマーケティングマネージャー
清水 怜衣さん

【モデレーター】

株式会社コスメ・コム 代表取締役社長
本橋 未来さん

NARSが大きく売上を伸ばした施策

@cosme SHOPPINGでは2008年から10年以上「NARS」を取り扱っています。その中で2019年、2020年と段階的に大きく売上を伸ばしており、その成功の秘訣について鈴木さんに語っていただきました。

社内を巻き込んだコンテンツ作成と情報発信

@cosmeにブランドオフィシャルというマーケティング支援サービスがあります。ブランドオフィシャルには複数機能がありますが、ユーザーコミュニケーションの観点で@cosme内のブランドトップのカスタマイズ機能を利用して、ブランドから公式で情報を発信していくことが大事だと鈴木さんは話します。

社内を巻き込んだコンテンツ作成と情報発信
@cosme  NARSブランドトップページ

EC担当者のみで情報を発信すると、その担当者が持っている情報だけの発信になってしまい、多様化するお客様のニーズに答えることが難しいです。「NARS」では、現場に立っている美容部員さんの意見やお客様の声を社内でディスカッションした上でコンテンツを作成し、情報発信をしています。社内全体の知見を活かすことで、顧客のニーズを捉えた情報発信をしていきやすくなる環境を作っていけると鈴木さんは話します。

コンテンツは新商品の情報以外に、どうやって使うのが良いかテクニックを公開したり、スタイリストからの小技を紹介したりと、コロナ禍において店頭へ行きづらくなっている顧客のニーズに答えられるよう工夫されているそうです。こういった情報は百貨店がないエリアのお客様にも関心を持ってもらえるという気づきがあったと言います。

復刻品の限定販売で新規ユーザーを獲得

2020年6月に発売とともに即完売してしまった商品を数量限定で復刻販売しました。「NARS」を利用していたファンにとって非常に喜ばしいニュースだったことがSNS上の反響から分かったそうです。

復刻品と口コミ
復刻品と口コミ

SNSの反響から復刻品の販売によって、既存ユーザーの活性化が行われるであろうと予測していましが、実際に購入したのは新規のユーザーが多かったと鈴木さんは話します。

「復刻品」や「数量限定」といった購買衝動を刺激される文言は、ファンにとって見逃せないタイミングである一方、そのブランドを購入したことのないユーザーの関心を惹き、購買へと導くことができるとわかったのです。

ミニサイズのキットから現品購入への引き上げ

新規のお客さまに購入いただく上では、一般的に販売されている現品サイズだけでなく、ミニサイズを作り、販売することも重要だと鈴木さんは言います。

2020年に販売したミニサイズの4点キットは非常に良い売れ行きを見せました。@cosme SHOPPING内でのランキング掲載を始めとし、実店舗や自社ECサイトを含めて全体的に良い売れ行きだったのです。そして、キットを購入し、ブランドの商品を体験したユーザーがその後現品購入してくださる、ブランドに戻ってきてくださることに繋がっています。「NARS」以外にも、「LAURA MERCIER」から発売されたミニサイズの商品も同様に好評でした。

ミニサイズであれば、お試し感覚で利用できる点はもちろんですが、最近の女性は小さいかばんを利用しているため、機能面としての需要があるそうです。

NARS ミニサイズ4点キット
NARS ミニサイズ4点キット

ECからサロンへと顧客を引き上げるモロッカンオイルの戦略

「モロッカンオイル」は、美容室やエステのような場所でないと購入できないサロン専売品と言われるブランドです。もともとヘアスタイリストを介して広がった歴史があります。しかし、こちらのブランドは2017年から@cosme SHOPPINGで販売を始めています。清水さんに、その理由を語っていただきました。

サロン専売品でありながらECへ参入したきっかけ

基本的にはサロンでの販売を目的としていることは変わりません。@cosme SHOPPINGを始めたのは、ユーザーとの接点を増やし、サロンへの販売につながるきっかけを作るためだったと清水さんは言います。

従来主力となっていたヘアケア商品は、サロンへの引き上げを狙うため、現品よりも小さいサイズのみを販売しています。また、ヘアケア以外のボディケアのラインを展開するチャネルとしてECへ参入を進めたそうです。

口コミで生まれる好循環サイクル

「モロッカンオイル トリートメント」はアットコスメ アウトバストリートメントランキングで62週連続(セミナー開催時)ランキング1位を獲得し、他の追随を許さない商品力を持っています。

ランキング1位の「モロッカンオイル トリートメント」
ランキング1位の「モロッカンオイル トリートメント」

継続的にランキング1位を取得することで、口コミを月間平均100件は継続的に獲得できています。口コミが増えていくことで、商品やブランドの認知が広がり、それがサロンへの売上還元になる良いサイクルが作れているのです。

こういった好循環サイクルはモロッカンオイルに限った話ではありません。@cosme以外にもInstagramやTwitterなどSNS上で口コミが広がることは、小売業を伸ばしていくために必要不可欠と言えるでしょう。商品を手にして満足した消費者が口コミを残すことで、まだその商品を知らない消費者へと情報が届きます。口コミを繰り返し見かけているうちに、気になり始め、自分から調べるようになるのです。

クロスセルを狙うセット商品作成

セット商品を作成する際は、この主力商品である「モロッカンオイル トリートメント」と組み合わせることが多いと言います。たとえば、3,520円の「モロッカンオイル トリートメント」に1,430円を追加すれば、新商品とブランドロゴが入ったトートバッグが手に入るというのはブランドのファンであれば、ついつい手を出してしまうのではないでしょうか。

主力の商品と組み合わせることで日常的に利用しているユーザーが、リピートする際にプラスアルファの価格で新商品を試せる流れを作れるのは商品力が合ってこそなせることと言えるでしょう。

さいごに:成功している化粧品ECの共通点

今回のセミナーを拝聴し、共通していた点として、アパレルだけでなく化粧品であってもサイズ展開を行うこと、ユーザーに飽きられないセット商品の販売を行っていくことが挙げられます。

家で利用するための現品サイズや、持ち運びに便利なミニサイズのように、シチュエーションに応じた使い分けがユーザーの心を掴んでいるのではないでしょうか。また、ミニサイズだとお試しで手に取りやすいといった利点もあります。化粧品において新しい容器を作成するのは、コスト面など課題が出てくることがあるため、気軽に挑戦できる施策ではないですが、有名企業の成功事例を考えると挑戦する価値はあるかもしれません。

セット商品の販売はある程度SKUがないと難しいと思うかもしれません。しかし、新商品の販売時に既存の商品と組み合わせを行ったり、季節やギフトのタイミングに合わせてパッケージを変更したりと、商品自体を大きく変えることなく買い物をしてくれるファンに楽しんでもらえることはできるかと思います。

@cosme SHOPPINGでは化粧品の販売において欠かせない「価値実感→クチコミシェア→さらなる出会いの創出」というエコサイクルを実現できます。

化粧品を取り扱っている事業者の方は@cosmeが提供するサービスを利用することで売上を伸ばせるかもしれません。一度サービスをご覧になってみてはいかがでしょうか。

@cosmeをはじめとしたアイスタイルのサービスに関する資料はこちら

https://business.cosme.net/material-archived

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