
サイト内検索の重要性
商品数が多いネットショップを運営している場合、サイト内検索は商品とユーザーを繋ぐ重要なポイントになります。特に欲しい商品が明確になっているユーザーであれば詳しいワードを入れて検索を行うことでしょう。その際、例えば表記のゆらぎによって検索結果に何も表示されない状態になった場合、ユーザーは残念な気持ちになります。NTTレゾナント株式会社の調査によると、8割弱のユーザーが3度までは検索を試すことがわかっていますが、そこまでに商品にたどり着けなければ離脱してしまうでしょう。
自社サイトで活用している検索エンジンの仕様上、確認できない場合があるかもしれませんが、0件ヒット(0商品ヒット)の検索履歴はユーザーに購入したいという気持ちが隠された大切なヒントになります。購入の意志があるユーザーによって検索された結果に何も表示させずに離脱させるのは非常にもったいないことと言えるでしょう。検索エンジンによって実装できる機能に制限はあるものの0件ヒットの状態でどのようなコミュニケーションをユーザーと取っていくかを考えるきっかけとしてこちらの記事を活用いただければと思います。
参考:自社ECサイトでの商品の探し方に関する調査
https://pr.goo.ne.jp/goo/2020/25883/
0件ヒットになるとどうなるか
ユーザーの行動として前述の調査により3度までは再検索を行うことが多いでしょう。自社サイトへ流入したユーザーが目的に合った商品と出会えなかった場合、他のサイトへと行ってしまう可能性が非常に高いです。
商品ジャンルによっては特定の商品を購入する予定ではなく、カテゴリが決まっている場合や何かを探しにサイトに訪れた場合など、決まった商品を求めたわけではないユーザーが一定数存在します。ポイントが溜まっているから、ボーナスが入ったから、お出かけ用に素敵な服が欲しいから、理由は様々ですが少なくともモール型ECサイトではなく独自ドメインのネットショップを選んで訪問しているユーザーですので、他社サイトに流すのは間違いなく機会損失と言えるでしょう。
50社の事例を徹底分析
では、具体的に0件ヒットの検索ページへどのような要素を入れていくのが良いか、日本ネット経済新聞によるネット通販売上ランキング2020からTOP50のサイトを1サイトずつチェックしていきます。
調査した対象企業に関してはどのような項目が組み込まれているかをエクセルにリスト化し、各企業の0件ヒットページのキャプチャをおつけします。日々のサイト運営や自社サイトの施策立案に活用していただければ幸いです。
良い施策をピックアップ
まず、第一に0件ヒットにならないことが最も重要です。今回調査していく中で上位の企業ほど0件ヒットが出づらく、0件ヒットの場合の対策をしっかりと行っていることがわかりました。特にAmazonが0件ヒット出さないという維持を感じるほどになかなか0件ヒットを表示できませんでした。
最も多かった要素としては商品のレコメンド表示です。「あなたにオススメの商品」といった形でスライダー内に複数商品が表示されるケースが多かったです。他に多かった要素では、カテゴリ一覧を表示する「カテゴリから探す」や検索方法やミスがないかを伝えるメッセージが出る「検索のヒント」、検索結果に検索バーを表示し改めて検索を促す「再検索」などが挙げられます。具体的な企業毎の施策について言及していきます。
アスクルやモノタロウ、ミスミなどBtoB向けの企業では、形態素解析により検索ワードに近いワードの検索結果を表示させる動きを取っており類似した商品が出やすい設計になっていました。
▼アスクルの事例

▼モノタロウの事例

また、BtoBならではの施策として、アスクルの検索結果にはサポートデスクの電話番号が表示されており、商品検索のサポートをするサービスとなっています。BtoBであれば1会員あたりのLTVが非常に高く、他のサイトで購入することが少ないため、痒いところに手が届く商品サポートを電話対応できるのかもしれません。
▼アスクルの事例

ヨドバシ.comやロハコ、アスクルに設置されていた「商品をリクエストする」は総合通販であればユーザーの要望をダイレクトに受けられるため、検索ボリュームと照らし合わせれば、仕入れの商品の選定に非常に役立つ要素と言えるでしょう。また、商品リクエストをしたユーザーに対してすぐに返答を行えばユーザーの満足度を高められ外部サイトへの流出を防ぐ可能性が高まります。
▼ヨドバシ.comの事例

▼ロハコの事例

カタログ通販を実施しているベルメゾンでは検索で商品がヒットしない場合、注文番号から注文を行える仕組みを用意しています。自社の主戦場に合わせて、ユーザーがどういった機能を求めているのか想定しながらネットショップを構築している良い例かと思います。
▼ベルメゾンの事例

自社で利用しているサイト内検索の仕様上0件ヒットの際の表示をいじれないケースもあるでしょう。その場合は、検索結果ページネーション下の共通部分のコンテンツを厚くするのはいかがでしょうか?読み込みが重くなる可能性が高いためSEO面で影響が出る可能性はありますが、0件ヒットのときのみならずユーザーの回遊数が向上し売上に貢献できる施策であると考えます。
ニトリネットでは0件ヒットに対する施策を特に行っておりませんが、共通部分のコンテンツを多く持たせています。コンテンツとしても部屋タイプや部屋のコーディネートなど家具の専門店らしいカテゴライズをしていて、目に止まった際にふとクリックしてしまうような内容です。例えばファッションやコスメであればデートや冠婚葬祭など、食品であればホームパーティーや誕生日会など、季節と利用シチュエーションに合わせたコンテンツを入れられればユーザーの興味を引きやすくなるのではないかと感じます。
▼ニトリネットの事例

事例集のリストとキャプチャのダウンロード
調査内容をこちらからダウンロードいただけます。
エクセルのリストでは
- 会社名
- ショップ名
- ショップURL
- ショップジャンル
- 0件ヒット時のコンテンツ構成
についてまとめています。
また、リストに記載の企業の0件ヒット時のスクリーンショットをフォルダ内にまとめておりますので、施策検討の際にご活用いただければと思います。
また、今回記事内で取り上げている施策についてはPC画面をメインで利用しましたが、基本的にどのサイトもPCとSP両方とも同じ構成になっていることが多いです。レスポンシブデザインであれば作業は少なく済むかと思いますが、そうではない場合、アクセス量が多いデバイスから対応していくのが良いでしょう。
キャプチャについてはPCとSPどちらも添付しております。
最後に
今回0件ヒットについてフォーカスして記事を作成しましたがいかがでしたか?上位50社に限定して調査をしたため、まだまだ面白い取り組みをしている企業は多く存在します。是非、自社でベンチマークしている企業や同じジャンルのネット通販企業をチェックしてみると新しい気づきがあるかもしれませんね。
サイト内検索はユーザーが能動的にアクションした結果をテキストで情報収集できる場であるため、ECサイトにおいて非常に価値のある場です。日頃からどのキーワードがどれくらい検索されていて、特に規模の大きいサイトであればDoD、WoW、MoMなど時間軸をもってワードの伸長率や0件ヒットのボリュームなど、毎日チェックすることをおすすめします。
合わせて読みたい