帝国データバンク、2026年7月の企業倒産件数は1037件で17年ぶり2カ月連続1000件超え

株式会社帝国データバンクが、2026年7月における企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理を対象)の集計・分析結果を発表しました。


主要ポイント

今回の調査で明らかになった主要ポイントは以下の通りです。

倒産件数は1037件(前年同月956件、8.5%増)を記録し、2カ月連続で前年同月を上回る結果となりました。前月の1028件と比較して9件増加し、2026年の最多件数を更新しています。なお、2カ月連続で1000件を上回るのは、リーマン・ショックの影響が残る2009年(11-12月)以来、およそ17年ぶりの事態となります。

負債総額は2341億1800万円(前年同月1664億7300万円、40.6%増)となり、5カ月連続で前年同月を上回り、今年最大の数値を記録しました。単月の負債額が2000億円を超えるのは2025年12月以来7カ月ぶりのことです。負債額の最大は、クレジットカード売上代金の早期決済代行サービスを手がけていた株式会社全東信の1151億6400万円で、全体のおよそ5割を占めました。

業種別では、主要7業種中5業種で前年同月を上回りました。『サービス業』(前年同月263件→261件、0.8%減)が最も多く、次いで『小売業』(同184件→234件、27.2%増)、『建設業』(同181件→207件、14.4%増)が200件を超える結果となっています。

地域別では、9地域中7地域で前年同月を上回りました。『九州』(前年同月99件→115件、16.2%増)は2000年以降で2番目に多い件数となりました。増減率では、『東北』(同40件→63件、57.5%増)が最も高く、全県で前年同月を上回り、7月としては2000年以降で2番目に多い件数となっています。

「物価高倒産」は121件判明し、過去最多を更新しました。

「人手不足倒産」は30件判明し、3カ月ぶりに前年同月を下回りました。

「後継者難倒産」は52件判明し、2カ月連続で前年同月を上回っています。

「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は63件判明し、うち『小売業』が16件で最も多い結果となりました。

調査期間は2026年7月1日から2026年7月31日まで、発表日は2026年8月10日、集計対象は負債1000万円以上の法的整理による倒産です。

主要7業種中5業種で前年を上回る 『小売業』が234件で2000年以降最多

業種別の詳細をみると、主要7業種中5業種で前年同月を上回る結果となりました。『サービス業』(前年同月263件→261件、0.8%減)が最も多く、『小売業』(同184件→234件、27.2%増)、『建設業』(同181件→207件、14.4%増)が200件を超えて続いています。『小売業』は前年同月から大幅に増加し、2000年以降で最も多い件数を記録しました。

業種を細かくみると、飲食関連産業の増加が目立つ傾向にあります。『小売業』では、「飲食料品小売」(前年同月24件→43件)や「飲食店」(同74件→93件)などが全体を押し上げ、『卸売業』では、野菜卸売などの「飲食料品卸売」(同21件→33件)が大幅に増加しました。『建設業』では電気工事や管工事などの「設備工事」(同31件→45件)が大きく増加しています。


「販売不振」は840件、7月としては2000年以降2番目に多い件数

主因別の分析では、「販売不振」が840件(前年同月778件、8.0%増)で最も多く、7月としては2000年以降で2番目に多い件数となりました。「売掛金回収難」(前年同月10件→3件、70.0%減)は9カ月ぶりに前年同月を下回っています。その他、「業界不振」(同2件→3件、50.0%増)などを含めた『不況型倒産』は847件(同791件、7.1%増)となり、2カ月連続で前年同月を上回りました。

「放漫経営」(前年同月11件→27件、145.5%増)は前年同月から大幅に増加しています。「経営者の病気、死亡」(同35件→33件、5.7%減)は、5カ月連続で30件を上回りました。一方、「その他の経営計画の失敗」(同20件→14件、30.0%減)は、4カ月ぶりに前年同月を下回る結果となっています。

※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を『不況型倒産』として集計されています。


『清算型』倒産は1003件、15年ぶりに1000件を超える

態様別の分析では、『清算型』倒産は1003件(前年同月914件、9.7%増)となり、東日本大震災が発生した2011年3月(1004件)以来、約15年ぶりに1000件を超えました。『再生型』倒産は34件(同42件、19.0%減)で、5カ月ぶりに前年同月を下回っています。

『清算型』では、「破産」が951件(前年同月890件、6.9%増)となり2カ月連続で前年同月を上回りました。「特別清算」は52件(同24件、116.7%増)で、2006年1月(56件)に次いで2000年以降で2番目に多く、件数を押し上げる要因となっています。

『再生型』では、「民事再生法」が34件(前年同月41件、17.1%減)となり、個人が27件、法人は7件でした。「会社更生法」は4カ月ぶりに発生しませんでした。


負債「5000万円未満」が655件、2カ月連続で過去最多を更新

負債額を規模別にみると、「5000万円未満」が655件(前年同月552件、18.7%増)と2000年以降で最も多く、2カ月連続で最多を更新しました。「10億円以上50億円未満」は17件(同21件、19.0%減)で、5カ月ぶりに前年同月を下回っています。

資本金を規模別にみると、『個人+1000万円未満』の倒産が726件(前年同月684件、6.1%増)となり2000年以降で2番目に多く、全体の70.0%を占めました。


業歴「15年以上20年未満」が141件、15年ぶりに140件台の高水準に

業歴別の分析では、「30年以上」が339件(前年同月318件、6.6%増)で最多となりました。このうち老舗企業(業歴100年以上)の倒産は20件(同12件、66.7%増)発生しています。「20年未満」は141件(同98件、43.9%増)と2011年3月(140件)以来15年ぶりに140件台となりました。

業歴10年未満の『新興企業』〈「3年未満」(前年同月52件→31件、40.4%減)、「5年未満」(同58件→64件、10.3%増)、「10年未満」(同175件→177件、1.1%増)〉は272件(前年同月285件、4.6%減)となり、2カ月ぶりに前年同月を下回りました。内訳を業種別にみると、「サービス業」(同100件→86件、14.0%減)が最も多く、「小売業」(同63件→71件、12.7%増)、「建設業」(同55件→48件、12.7%減)が続いています。


9地域中7地域で前年を上回る 『九州』は2000年以降で2番目に多い件数

地域別の分析では、9地域中7地域で前年同月を上回りました。『九州』(前年同月99件→115件、16.2%増)は2000年以降で2番目に多い件数を記録しています。特に「福岡」(同53件→62件)と「鹿児島」(同8件→14件)が2000年以降で最多となり、地域全体を押し上げる結果となりました。一方、『北陸』(同41件→37件、9.8%減)は7カ月ぶりに前年同月を下回っています。

増減率でみると、『東北』(前年同月40件→63件、57.5%増)が最も高く、全県で前年同月を上回り、7月としては2000年以降で2番目に多い件数となりました。次いで、『四国』(同14件→22件、57.1%増)が高く、7カ月連続で前年同月を上回っています。

47都道府県中27都道府県が前年同月を上回る結果となりました。


今後の見通し

2カ月連続の1000件超え

2026年7月の全国企業倒産は1037件となりました。前年同月(956件)に比べると81件(8.5%増)多く、2カ月連続で1000件を上回るなど、倒産の増加傾向が顕著となっています。業種別でみると、「サービス業」「小売業」「建設業」がそれぞれ200件を超えました。とりわけ「小売業」は、前年同月に比べると50件多く、増加件数・増加率ともに最も大きい結果となっています。

負債総額は2341億1800万円(前年同月1664億7300万円、40.6%増)となり、5カ月連続で前年同月を上回りました。負債額トップは、クレジットカード決済代行を手がけていた株式会社全東信(大阪、負債1151億6400万円、破産)で、今年に入って最大の規模です。

相次ぐ不適切な会計処理の発覚

株式会社全東信を巡っては、経済産業省が中小企業向けの資金繰り支援として特別相談窓口を設置し、外食産業の業界団体や決済システム事業者などもサポートする動きがみられるなど、同社のサービス利用者への影響が懸念されています。また、60以上の金融機関が融資を行っていたことで、金融庁が地銀および信用金庫などの与信の審査体制について調査する方針にあることが報じられました。同社は架空の預金や債権、加盟店に対する未払立替精算金の未計上、「営業権」の過大計上など、長年にわたる大規模な粉飾の疑いが指摘されたことも衝撃をもって受け止められています。

決算の「粉飾」は同社に限らず、負債10億円以上の中~大規模クラスの倒産で断続的に発生しています。今年1月から6月の負債上位20社のうち、約半数がコンプライアンス違反関連の倒産となり、7月に発生した木造建築工事のアエラホーム株式会社(東京、負債43億円、民事再生法)においても未成工事支出金の架空計上が明らかになるなど、不適切な会計処理が発覚しました。

年後半も倒産の高止まりが続く可能性

7月28日、熊本県で最大震度7の揺れが観測され、甚大な被害が発生しました。同震災で震度5強以上の強い揺れを観測した熊本県内・25市区町村に本社を置く企業は1万8257社、支店・工場などの拠点は1万1356社に及ぶことが判明しています。熊本県は半導体受託製造のTSMCをはじめ、自動車産業、エレクトロニクス産業が集積し、調査結果が示すように県外からの進出拠点も多い状況です。大手企業を中心として、既に復旧に向けた動きも報じられていますが、サプライチェーンへの波及とその影響が注視されます。

7月の物価高倒産は121件と過去最多を更新するなか、いまだ終結をみない緊迫化する中東情勢や原油価格の上昇も懸念材料となっています。「中東情勢悪化倒産」は7月末までの累計で12件にとどまっているものの、月を追うごとに増加傾向(5月=1件、6月=4件、7月=7件)にあり、今後の推移に注目が集まります。また、物価上昇が進むなかで消費者の節約志向の高まりも想定され、小売や消費者向けサービスを展開する企業にとって厳しい事業環境が続くことが予想されます。

国内景気はAI・半導体関連需要が牽引し、政府による成長投資も大手企業を中心にプラス材料となっていますが、業績の改善に至らない中小企業には、そうした恩恵が及ばず、規模間格差は拡がっています。企業倒産は年後半に向けて高止まりの状態が続く可能性が高いと考えられます。

出典元:株式会社帝国データバンク

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