EC担当者の81.6%がデータ整備に追われ施策を断念、株式会社シナブルが業務リソースに関する調査結果を発表

株式会社シナブル(本社:東京都豊島区、代表取締役社長:小林裕紀)が、EC事業を展開する企業において自社ECサイトへのツール導入や顧客データ分析、CRMを含むマーケティング施策の企画・実行に携わっている担当者・責任者を対象として、「EC・D2C事業者における顧客データ分析と業務リソース」に関する調査を実施しました。

自社ECサイトのデータ管理や分析は毎日の重要な業務となっていますが、施策を開始する前の「バラバラなデータの突合や整形」に膨大な時間を費やし、煩わしさを感じた経験を持つ方は少なくありません。

「データの加工ルール」が複雑で手作業が多かったり、エンジニアに集計を依頼した際の待ち時間が発生したりすることで、せっかくの斬新な企画やマーケティングのアイデアが実現できないまま後回しになってしまう、非効率的な状況が生まれてしまうケースも存在します。

それでは、実際にこうしたデータの前処理(ノンコア業務)によってリソースを圧迫され、ストレスを感じているEC担当者は、どの程度存在するのでしょうか。

また、本来注力すべき「顧客対応」や「施策の企画立案」を諦めてしまう具体的な要因や、現場の担当者が求める理想的なデータ統合の環境とは、どのようなものなのでしょうか。

本調査の主な結果

  • EC担当者の81.6%が、データ整備などのノンコア業務を理由に本来実施したかった施策・顧客対応を諦めた経験があります
  • 約7割(68.8%)が業務時間の4割以上を「データの前処理(突合・整形・クレンジング)」に費やしています
  • データ抽出を依頼してから入手までに1日以上かかるケースが8割超。即日入手は17.3%にとどまります
  • 諦めた施策の1位は「UI/UXの改善・ページ作り」(51.5%)、2位は「パーソナライズされた情報発信」(45.0%)です
  • 41.9%がMA・CRMツールの見直し・リプレイスを検討。ツールに最も期待する機能は「ノーコード・シンプルな管理画面」(43.7%)です

EC管理ツールが使いづらいと感じる理由は『ツールの管理画面や操作が複雑で分かりにくい』が最多

はじめに、「自社ECに導入している以下の各ツールについて、現在の『活用状況』」について尋ねたところ、以下のような回答になりました。

いずれのツールにおいても『導入済み・ある程度活用できている』という回答が4割台を占め、ボリュームゾーンとなっています。

一方で『導入済み・十分に活用できている』と回答した方は、自社ECカートシステムが最多となる反面、CDP・データ統合ツールやMAツールでは割合が低下しており、導入自体は進んでいるものの、高度なデータ処理を伴うツールほど、本来の機能を十分に活用しきれていない傾向が示唆されました。

では、導入したツールを十分に活用しきれない背景には、どのような要因があるのでしょうか。

「自社ECに導入しているツール活用における課題」について尋ねたところ、『ツールの管理画面や操作が複雑で分かりにくい(37.0%)』と回答した方が最も多く、『専門知識やノウハウがなく、心理的なハードルが高い(35.6%)』『データの突合や前処理(データのクレンジングなど)に時間がかかる(34.7%)』『ツールのサポート体制(マニュアル、担当者の対応、初期導入支援など)が良くない・不十分と感じる(34.7%)』と続きました。

「操作性」や「知識不足」といった属人的・心理的なハードルが課題の上位に挙げられました。

また、「データの前処理にかかる時間」や「サポート体制の不十分さ」も近い水準で挙げられており、ツール自体の難解さに加え、運用を軌道に乗せるまでのプロセスそのものが大きな課題となっている状況がうかがえます。

3割以上の方が『業務時間の6~8割がデータ処理で消える』と回答。機会損失はどのような場面で生まれているのか

「自社ECの管理・運用業務のうち、『データの前処理(突合、整形、クレンジングなど)』に費やしている業務時間の割合」について尋ねたところ、『6割~8割未満(34.9%)』と回答した方が最も多く、『4割~6割未満(33.9%)』と続きました。

全体の約7割(68.8%)の方が、業務時間の4割以上をデータの前処理に費やしていることが示されました。

「8割以上」と回答した方も含めると、データ活用の準備段階に多くの工数を奪われ、本来注力すべき業務に取り組む時間が圧迫されていることが示唆されました。

膨大な時間を要するデータの前処理ですが、現場では具体的にどのような手法で行われているのでしょうか。

「前設問のデータの前処理は、主にどのような手法・ツールで行っているか」と尋ねたところ、『自社エンジニアが組んだ専用のプログラム(39.9%)』と回答した方が最も多く、『表計算ソフト(関数やマクロ、VLOOKUPなど)を用いた手作業(39.7%)』『カートシステムや各モールの管理画面から都度CSVをエクスポートし、手動で統合(37.8%)』と続きました。

「エンジニア作成の専用プログラム」を利用する企業が多い一方で、「表計算ソフトでの手作業」や「手動でのCSV統合」といった、人的リソースに大きく依存するアナログな手法も高い割合を占めています。

こうしたデータ統合のシステム化の遅れが、前処理に多くの時間を要する状況に影響している可能性がうかがえます。

では、データ処理を他部署や外部に依存している場合、スピード感にも影響が出ているのでしょうか。

「顧客データの集計や抽出を、他部署のエンジニアや外部のベンダー(システム会社)に依頼してから、データが手元に届くまでの平均時間」について尋ねたところ、『翌日(1日程度)(35.5%)』と回答した方が最も多く、『2~3日(29.5%)』『即時(当日中)(17.3%)』と続きました。

即日でデータを入手できている割合は2割未満にとどまっており、大半のケースでデータ確認までに1日以上のタイムラグが生じています。

外部や他部署にデータの抽出を依頼するフローそのものが、迅速な施策実行の妨げになっていると考えられます。

「本当は実施したかった『企画・マーケティング施策・顧客対応』を、データ整備や分析などのノンコア業務(前処理)に追われたことが原因で、諦めた経験はあるか」と尋ねたところ、8割以上の方が『頻繁にある(21.4%)』『たまにある(60.2%)』と回答しました。

データ活用のための準備作業が足かせとなり、結果として企画や顧客対応といった本来のコア業務が実行できていないという課題が浮き彫りになっています。

前設問で『頻繁にある』『たまにある』と回答した方に、「ノンコア業務に追われて、結果的に諦めてしまった施策や対応」について尋ねたところ、『サイトをより見やすく、買い物をしやすくするための「UI/UXの改善・ページ作り」(51.5%)』と回答した方が最も多く、『お客様ごとにパーソナライズされた「お役立ち情報・メルマガの提供」(45.0%)』『利用者に喜んで頂ける「限定クーポン」や「イベント・キャンペーン」の企画(32.6%)』と続きました。

諦めてしまった施策として、「サイトの改善」や「パーソナライズされた情報発信」など、顧客への直接的なアプローチが上位に並んでいます。

データ統合や準備にかかる手間が足かせとなり、本来優先して取り組むべきサイト運用やキャンペーン企画といった施策が後回しになっているようです。

データ処理の時間が浮いたら『既存顧客のロイヤリティ向上(CRM施策・ファン化施策)の設計』に使いたい。理想的なECツールの機能とは

では、もしデータ処理の負担から解放された場合、担当者は本来どのような業務に時間を使いたいと考えているのでしょうか。

「もしもデータ処理の時間がシステム化によって削減されたら、どのような業務に時間を費やしたいか」と尋ねたところ、『既存顧客のロイヤリティ向上(CRM施策・ファン化施策)の設計(50.3%)』と回答した方が最も多く、『顧客対応(カスタマーサクセス・サポート)の強化(50.0%)』『新規プロモーション・キャンペーンの企画立案(29.3%)』と続きました。

「新規獲得に向けた施策」よりも、「既存顧客との関係向上」や「サポート強化」に時間を割きたいという意向が表れています。

データ処理の自動化による業務効率化は、企業が顧客と向き合う時間を創出し、既存顧客向けの施策実行を推進するための重要なステップになることが示唆されました。

こうした課題を解決するために、現場ではどのようなアプローチが模索されているのでしょうか。

「自社ECの管理・運用において、改善(効率化・データ活用)のために検討している施策」について尋ねたところ、『現在のMA・CRMツールの見直し・リプレイス(乗り換え)(41.9%)』と回答した方が最も多く、『外部ベンダー(コンサルティング、運用代行など)の活用(38.8%)』『データの自動統合・クレンジングツールの導入(CDPやiPaaSなど)(30.7%)』と続きました。

4割以上の方が「既存ツールの見直し」を検討しているほか、「外部ベンダーの活用」や「自動化ツール」の導入が上位に挙がっています。

現在のシステム環境からの脱却を図り、データ運用体制を改善しようとする企業の意向が明らかになりました。

最後に、「今後、MA・CRMツールに期待する(あれば嬉しい)機能」について尋ねたところ、『専門知識がなくても直感的に操作できる「ノーコード・シンプルな管理画面」(43.7%)』と回答した方が最も多く、『自社ECの状況に合わせた施策を提案・自動設定してくれる「AIアシスタント・自動生成機能」(39.6%)』『複数システム(カート、モールなど)との「ノーコードでの自動データ連携機能」(31.6%)』と続きました。

専門知識を必要としない「操作の容易さ」や、実務をサポートする「自動化機能」へのニーズが高いことが分かります。

今後のツール活用では、現場の担当者が手軽に運用できるシステム環境に加え、施策の提案やデータ連携を自動で行ってくれる「AIアシスタント」のような機能が重視されていると考えられます。

まとめ。誰もが直感的に扱えるデータ環境の構築が、EC事業における顧客向け施策を後押しする

今回の調査から、EC・D2C事業者におけるマーケティングツールの活用実態と、現場の担当者が抱える運用上の課題が明らかになりました。

各種ツールの導入が進んでいるものの、「ある程度の活用」にとどまっている企業が多く、特に高度なデータ処理を伴うシステムほど、本来の機能を十分に引き出しきれていない現状がうかがえます。

その障壁となっているのが、複雑な操作性や専門知識の不足と「データの前処理」に要する時間です。実際に約7割の担当者が業務時間の4割以上をデータの突合や整形に費やしており、表計算ソフトなど手作業での処理に依存する割合も高い傾向にあります。データの抽出を外部に依頼することで生じるタイムラグも含め、迅速な施策展開の妨げになっている可能性が考えられます。

データ処理に追われることで、8割以上の担当者が「UI/UXの改善」や「パーソナライズされたメルマガ配信」といった本来のコア業務を諦めた経験を持っています。データ活用のための準備作業が足かせとなり、顧客へ直接アプローチする施策が後回しになっている状況は、企業にとって見過ごせない課題です。

ノンコア業務が削減された場合、約半数以上の担当者が「既存顧客のロイヤリティ向上」や「サポート体制の強化」に注力したいと回答しており、既存顧客との関係構築を重視する現場の意向がうかがえます。

現在、4割以上の企業が既存ツールの見直しを検討しており、今後求められるのは、専門知識がなくても直感的に操作できる「ノーコードの管理画面」や、施策を自動提案する「AIアシスタント機能」など、現場主導で完結できるシステム環境です。データの統合から実行までをスムーズに行える体制を整え、担当者が本来の企画や顧客対応に時間を割けるようにすることが、今後のEC運用において重要な鍵になると考えられます。

調査概要

調査概要:「EC・D2C事業者における顧客データ分析と業務リソース」に関する調査
調査期間:2026年7月1日(水)~2026年7月3日(金)
調査方法:PRIZMAによるインターネット調査
調査人数:1006人
調査対象:調査回答時にEC(Eコマース)事業を展開する企業に勤務し、自社ECサイトへのツール導入と、顧客データ分析やCRMを含むマーケティング施策の企画・実行に携わっている担当者・責任者と回答したモニター
調査元:株式会社シナブル
モニター提供元:PRIZMAリサーチ

出典元:株式会社シナブル プレスリリース

できる Amazon Pay ~もはや常識の決済サービス。導入メリットを徹底解説!~きちんと身に付く、使い方広がる入門書(2026 年改訂版)