
株式会社マクロミルが運営するMacromill News事務局は、世の中の話題やトレンドをテーマに、アンケート調査結果および購買履歴データの分析を実施し、ニュースレターとして配信しています。
近年、惣菜市場においては、ライフスタイルの変化や高齢化社会の進展といった背景から、消費者のニーズが多様化している状況が見られます。とりわけシニア世代では「調理定年」という概念が関心を集めているとのことです。これは「仕事に定年があるように、調理にも定年があってもよいのではないか。惣菜や外食などを積極的に活用し、毎日の自炊の負担から解放されよう」という考え方で、評論家である樋口恵子氏が提唱したものです。2021年頃から数多くのメディアで取り上げられ、特に女性を中心に大きな共感と支持を得ています。
今回のレターでは、2018年から2025年にかけての消費者購買履歴データQPR™を活用して惣菜市場の動向を分析するとともに、シニア世代における「調理定年」の傾向が実際のデータとして現れているのか、惣菜の購買行動から検証しています。
なお、今回のレターにおける「惣菜」とは、主にスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで販売されているチルドのパッケージ惣菜や、ホットスナックなどの商品を指しています。
この記事の目次
調査結果のポイント
1. 惣菜市場規模は7年間で15%増加。「サラダ」「洋惣菜」カテゴリが成長し、「煮豆」「中華惣菜」カテゴリは縮小傾向
市場規模を示す同社独自の指標である「100人あたり購入金額」を確認すると、惣菜市場は2018年から2025年までの7年間において15%の増加を記録しました。この成長の背景には、市場小売価格の上昇(平均金額18%増)や需要の拡大が大きく影響していると推測されます。
カテゴリごとに購入率や購入回数を分析すると、「サラダ」や「洋惣菜」のカテゴリがスコアを伸ばしている一方で、「煮豆」や「中華惣菜」については低下が確認されており、市場内での「二極化」が明確になっています。
【図表2】惣菜市場、カテゴリ別の各指標変化(2018年と2025年の比較)
2. 性年代別の購入金額シェアでは、シニア層が半数を占めて市場全体を牽引。男性の「サラダ」惣菜シェアが高く、健康志向から手軽さが支持される
2025年の惣菜市場について、性年代別の購入金額シェア(構成比)を見ていきます。
惣菜市場全体、さらに「洋惣菜」を除く全カテゴリにおいて、60~79歳の男女が半数を占めており、シニア層が市場全体を牽引する構造であることがわかります。
一方で、カテゴリごとに見ると購入層に特徴的な違いが確認できます。女性の購入金額シェアが高い惣菜市場において、「サラダ」のカテゴリのみは男性のシェアが半数に達しており、健康志向の高まりの中で手軽に摂取できるサラダ惣菜が支持を集めています。また、「煮豆」については60〜70代の男女のシェアが70%(男性25.6%、女性44.5%)に達するなど、シニア層への偏りが顕著となっています。
【図表3】惣菜市場、性年代別の金額構成比(2025年、カテゴリ別)
3. 70代後半の惣菜購入が7年間で3割強増加、高齢になるほど購入額も増加。惣菜による「調理定年」が実態として進行
ここでは、惣菜市場を牽引しているシニア層の購買動向をより詳しく分析しています。
75~79歳の購入金額は、7年前と比較して男性が36.6%増、女性が38.5%増と、いずれも大幅な増加となりました。また、2018年時点では70代前半と後半を境に購入金額が減少する傾向が見られましたが、2025年になると高齢になるほど購入額が増加する傾向へと変化しています。
これらの分析結果から、シニア層における価値観の変化が読み取れ、惣菜を生活に取り入れることによる「調理定年」の傾向が実態として現れている結果となりました。
【図表4】惣菜市場規模、性年代別の変化(2018年と2025年の比較)
調査概要
今回の分析には、以下のデータと条件が使用されています。
データソースはマクロミル消費者購買履歴データQPR™となります。QPR™は、全国3.5万人のモニタから毎日の買い物履歴を収集し、購入理由やシーン、購入者の属性や価値観などをアンケートによって追跡できる消費者パネルデータです。POS(販売時点情報管理)データでは把握できない、実際の購買履歴データに基づいた購入者像の理解や、購買トレンドの分析が可能となっています。
分析対象は全国15~79歳の男女3万5000人、対象カテゴリはJICFS「食品」、集計期間は2018年1月1日~2025年12月31日となっています。
出典元:株式会社マクロミル











