
株式会社DGビジネステクノロジー(DGBT、デジタルガレージグループ、本社:東京都渋谷区、代表取締役 兼 社長執行役員:清水 和徳)が、国内のEC売上高上位100社が運営するECサイトを対象に、サイト内検索UIを独自調査した『大手ECサイト100社のサイト内検索調査2026』を発表しました。
本調査の結果、高度な処理能力を備えた検索エンジンが広く普及した現在においても、依然として解消されていない"運用の壁"の存在が、データによって明らかになりました。
この記事の目次
調査実施の背景
ECサイトにおいてサイト内検索を活用するユーザーは、購入希望の商品が比較的明確であり、購買意欲が高い層と考えられます。そのため、検索のタイミングで適切に商品へ誘導できるかどうかが、コンバージョン率に大きな影響を与えます。自社ECサイトの検索機能がユーザーの期待に応えているかを確認し、継続的に改善を重ねることは、売上に直結する極めて重要な施策となっています。
DGBTは、2010年からEC向けサイト内検索サービス「NaviPlusサーチ」を提供しており、これまでに350サイトを超えるECサイトの検索改善をサポートしてきました。その支援活動を通じて、多くのECサイトが検索機能を十分に活用できておらず、パフォーマンス向上の余地が大きいことが判明しています。
このような課題意識を背景に、各ECサイトにおける検索機能の実態を可視化し、改善の参考資料として活用してもらうことを目的として、2015年からEC売上高上位企業を対象としたサイト内検索の実態調査を継続実施しています。本調査は今回で7回目の実施となります。調査項目はEC業界の動向や技術の進化に応じて見直しが行われ、現在は5軸・25項目の評価体系が採用されています。なお、本調査は実際のユーザー体験に即した精度を確保するため、すべてスタッフによる目視で実施されています。
調査結果のサマリー
本調査から明らかになった主なポイントは以下の3点です。
1.「表記ゆれ対応」は3年間で倍以上に向上―高精度な検索エンジンの活用は"当たり前"の段階へ
2.ECサイトの3分の2以上が同義語対応が不十分―"運用の壁"は業界全体の課題
3.0件ヒット時の「おもてなし」不足がユーザー離脱の決定打に―半数のサイトが再検索の案内すら提示せず
調査結果の詳細トピックス
「表記ゆれ対応」は3年間で倍以上に向上―高精度な検索エンジンの活用は"当たり前"の段階へ
ひらがな・カタカナ、全角・半角といった入力の揺れを自動で吸収する「表記ゆれ対応」は、2023年の33%から2026年には78%へと大幅に向上しました。この背景には、高度な処理性能を持つサイト内検索エンジンの普及があり、キーワードの表面的な不一致によって検索結果が表示されないという初歩的な課題は、多くのECサイトで解決されつつあります。

ECサイトの3分の2以上が同義語対応が不十分―"運用の壁"は業界全体の課題
「スマホ」と「スマートフォン」、「靴下」と「ソックス」など、意味は同一でも言葉が異なる「同義語」への対応スコアはわずか32%で、3分の2以上のサイトが十分に対応できていない状況が明らかになりました。約半数のサイトでは同義語に全く対応できておらず、検索するワードによって表示される商品が異なるなど、ユーザーが目的の商品にたどり着けない可能性があることが判明しています。
同義語対応には辞書登録や類義語設定といった継続的な運用が必要となります。しかし、商品の入れ替わりやトレンドの変化に手動で追従し続けることには限界があります。「サイト内検索エンジンを導入したのに、期待したほど成果が出ない」という声の背景には、この同義語登録における運用の壁が存在しているケースが多いと推測されます。

0件ヒット時の「おもてなし」不足がユーザー離脱の決定打に―半数のサイトが再検索の案内すら提示せず
検索精度の課題と並行して明らかになったのが、検索結果が0件だった際の対応です。「何も見つかりませんでした」や「検索結果:0件」と表示するのみで、キーワード候補の提示やレコメンドなど、ユーザーに次の行動を促す案内をしていないサイトが47サイト(50%)に達しました。
検索精度を高めたとしても、在庫切れや入力ミスによって0件になるケースは避けられません。その瞬間にユーザーへの「接客」を放棄することは、離脱と機会損失に直結します。購買意欲の高いユーザーが検索という行動を起こした瞬間こそ、次の一手を示す設計が重要です。関連キーワードの提示や類似商品のレコメンド、カテゴリ検索のUIなど、ユーザーに次のアクションを促す仕組みを用意し、検索体験を向上させることが求められます。

2026年の展望:AI・LLM活用が"運用の壁"を解決する
表記ゆれ対応は3年間で倍以上に改善し、高機能な検索エンジンの普及によってキーワードの表面的な不一致はほぼ解消されつつあります。しかし本調査では、同義語対応のスコアがわずか32%にとどまり、0件ヒット時に適切な案内ができていないサイトも50%に上るなど、依然として改善の余地が大きいことが明らかになりました。特に、同義語対応の低さは、従来の手動による辞書登録や類義語設定が限界を迎えていることを示唆しています。
この「運用の壁」を解決する存在として、AIやLLM(大規模言語モデル)を検索エンジンに組み合わせた活用が本格化しています。キーワードの「文字」を機械的に照合するだけでなく、AIがユーザーの「検索意図や文脈」を推論して補正することで、個別の辞書登録に依存しすぎない柔軟な検索体験が実現しつつあります。また、類義語登録などのメンテナンスをAIが担うことで、事業者の運用負荷の削減も期待されています。
検索は単なる「商品の抽出機能」ではなく、ユーザーを目的の商品へ導く「接客機能」です。サイト内検索エンジンを導入するだけでなく、商品特性やユーザー属性に合わせた独自の検索体験を構築し、継続的にアップデートしていくことが求められます。最先端のAI技術を活用してユーザーの「探すストレス」とEC事業者の「運用のストレス」をいかに解消していくか――その取り組みこそが、ECサイトの競争力を左右する鍵となります。
調査概要
調査主体:株式会社DGビジネステクノロジー
調査期間:2026年1月15日〜3月25日
調査対象:ネット通販売上高上位100サイト(日本ネット経済新聞「ネット通販売上高ランキングTOP520」2025年度版より)
調査方法:上位100社のECサイト(スマートフォン版)を目視で確認し、下記5つの指標・合計25項目に対しスコア化して評価
調査項目:キーワード検索/カテゴリ検索/検索結果表示/検索精度/検索速度
※調査対象は国内EC売上高上位100社のうち、会員登録が必要な6サイトを除く94サイトを調査しています。
出典元:株式会社DGビジネステクノロジー












