AI時代の新購買行動モデル「AICAS」発表、生成AI利用者の62.5%が商品選定に活用

株式会社日経BPは2026年4月15日、同社が運営するマーケティング専門メディア「日経クロストレンド」が策定した、人工知能時代における新しい消費者購買行動モデル「AICAS」を公表しました。同社の代表取締役社長CEOである井口哲也氏が本社を置く東京都港区から発表しています。

今回提唱された購買行動モデルは、インターネット時代において長期間にわたり広く利用されてきた電通グループ提唱の「AISAS」をさらに発展させたもので、生成AI時代における消費者の行動様式に適合した新たなフレームワークとなっています。

生成AIが購買意思決定プロセスそのものを変革

「ChatGPT」や「Gemini」に代表される対話型生成AIサービスは、生活者における日々の情報収集活動や、商品・サービスの選択プロセスにおいて、今や欠かすことのできない存在へと成長しています。

マクロミルのモニター会員1万人を対象に実施された事前スクリーニング調査の結果によると、現在生成AIを利用している人の割合は48.3%に達しており、生成AIは幅広い年齢層において日常的に使用される実用的なツールとして定着しつつあることが判明しました。

さらに注目すべき点として、生成AI利用者4830人のうち、62.5%もの人々が商品・サービスに関する情報収集や選定作業に生成AIを活用していることが明らかとなっています。生成AIは単に情報を提供するだけのツールではなく、推奨候補の提示から比較検討、絞り込みに至るまでを対話形式でサポートするコンシェルジュのような役割を果たし、購買意思決定において中心的なポジションを占めるようになっています。

新購買行動モデル「AICAS」の構成要素

日経クロストレンドは、今回実施した調査結果をベースとして、次の5つのステップで構成される新しい消費者購買行動モデル「AICAS」を提示しています。

ステップ

意味

内容

A

Ask(相談・質問)

何を買うか決まっていない状態で、生成AIにおすすめや提案を求める起点

I

Interest(興味)

生成AIが提示する3~4つの候補の中から、興味を抱いた商品・サービスに注目する

C

Confirm, Check(確認)

生成AIの推奨を他媒体(検索エンジン、口コミサイト、公式サイトなど)で確認する

A

Action(購買)

確認・納得を経て購買に至る

S

Share(共有)

レビューや口コミとして情報を発信し、その情報が消費者のみならず生成AIの推奨材料にもなる

従来の購買行動モデルである「AIDMA」や「AISAS」がAttention(注目)を起点としていたのとは対照的に、「AICAS」ではAsk(相談・質問)を起点としている点が大きな特徴です。消費者は情報過多の環境下において選択肢が多すぎることによる「選べない」というストレスを抱えており、生成AIに対して「おすすめを教えて」という形で相談や質問を投げかけることから購買行動を開始するようになったとされています。

調査結果が明らかにする生成AI活用の実態

買い物時における商品・サービス選定に生成AIを活用している515人を対象とした調査では、次のような結果が得られています。

  • 生成AIによる推奨・提案を「参考にする」と答えた人の割合は66.2%

  • 「生成AIの提案通りに購入することが多かった」と答えた人の割合は44.6%

  • 生成AIによる推奨・提案への満足度は71.5%

これらの結果から、生成AIが購買時における有力なアドバイザーとしての地位を確立しつつあることが確認されました。

ただし、消費者はAIによる推奨を無批判に受け入れているわけではありません。

  • 提案を受けた後に他媒体でも調査を行った人の割合は約9割に達しています(内訳は検索エンジン57.0%、比較・口コミサイト32.9%、SNS30.3%など)

消費者は生成AIからの推奨をそのまま鵜呑みにするのではなく、「確認(Confirm, Check)」というプロセスを経た上で購買行動に移ることが判明しました。この確認行動こそが「AICAS」モデルにおける中核的なステップとなっています。

また、「普段自分では選ばないような商品も選択肢に上がるようになった」と回答した人が24.7%に上っており、生成AIを介した商品・サービスとの予期しない出会いが新たな購買機会を創出する側面も明らかになりました。

AI検索最適化が重要なマーケティング課題として浮上

「AICAS」が示すように、今後の購買行動においては、生成AIによる推奨候補に含まれることが商品やブランドの認知度向上や選択につながる重要な要素となります。生成AIの提案候補として取り上げられることは企業にとって重要なマーケティング課題となっており、AI検索最適化(AIO)へのニーズは今後ますます高まっていくと予測されています。

調査概要

調査名は「買い物における生成AIの利用実態調査」で、調査期間は2026年2月3日から5日までの3日間です。調査方法はマクロミルモニター会員を対象としたインターネット調査により実施されました。

有効回答者数については、スクリーニング調査では20代から50代の1万人(男性5046人、女性4954人、年代別では20代1993人、30代2299人、40代2990人、50代2718人)、本調査では20代から50代の515人(男性360人、女性155人、年代別では20代99人、30代123人、40代165人、50代128人)となっています。

出典元:株式会社日経BP

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