
学習塾「花まる学習会」などを手がける花まるグループ(株式会社こうゆう、本社:埼玉県さいたま市、代表:高濱正伸)が運営する「花まる教育研究所」は、保護者268名に対して「子どもと生成AIの関わりに関する意識調査」を実施しました。
調査の結果、子どもに生成AIを使わせることについて親の5割以上(54.3%)が前向きな姿勢を示す一方で、約半数(55.1%)が使わせ方について悩みを抱えていることが分かりました。活用への期待と不安の狭間で揺れる保護者の実態が浮き彫りとなっています。
さらに、使わせるかどうか判断できない保護者は3割(32.8%)に達しており、家庭内で十分に話し合えていない割合は9割弱(88.7%)と、明確な判断基準が共有されていない状況が明らかになっています。
子どもが生成AIを利用することへの不安要素としては、「AI依存」(66.4%)、「思考力低下」(63.4%)、「誤情報リスク」(54.7%)が上位に挙げられています。
なお、保護者自身による生成AI利用は83.0%に達しており、日常的に広く普及している一方で、子どもへの活用については判断に迷いが生じている状況がうかがえます。
主な調査結果
1.親の8割以上が生成AIを利用、日常的な活用が進む
2.子どもの生成AI利用に5割(54.3%)が積極的、一方で迷う声3割(30.9%)
3.約半数(55.1%)の親が使わせ方に悩みあり
4.不安理由のトップ3は「AI依存」(66.4%)、「思考力低下」(63.4%)、「誤情報リスク」(54.7%)
5.9割弱(88.7%)が家庭内で話し合えていない実態
6.子どもの生成AI利用を把握している親は3割(26.0%)に止まる。家庭ごとに差があり、対応にばらつき
7.子どもの生成AI利用や距離感について迷う親多数、社会的ルール整備が課題(自由記述)
詳細
保護者の8割以上が生成AIを利用、日常的な活用が進む
保護者自身の生成AI利用状況について尋ねたところ、「よく使っている」(40.0%)と「たまに使っている」(43.0%)を合計すると83.0%に達し、8割以上の保護者が何らかの形で生成AIを活用していることが判明しました。「聞いたことはあるが使ったことはない」(9.1%)、「使ったことはないが興味はある」(7.5%)といった層も含めると、生成AIの認知と関心はほぼ全体に広がっており、日常生活への浸透が着実に進んでいる状況がうかがえます。
さらに、生成AIの利用シーンについては、「日常の調べもの」(59.2%)、「仕事の効率化」(51.3%)が上位を占めており、「日常での文章作成」(35.1%)、「仕事の悩み相談」(28.3%)と続いています。一方で「子育て・教育に関する場面」での活用は20.0%にとどまっており、家庭内で子どもへの活用はまだ限定的であることがうかがえます。用途の広がりには個人差があり、家庭ごとの活用状況にばらつきがある実態が見えてきました。
子どもの生成AI利用に5割(54.3%)が積極的、一方で迷う声3割(30.9%)
一方で、子どもに生成AIを使わせることについての考え方を尋ねたところ、「積極的に使わせたい」(18.1%)と「どちらかといえば使わせてもよい」(36.2%)を合計すると54.3%と一定の前向きな姿勢が見られるものの、「まだ判断できない・考え中」(30.9%)、「どちらかといえば使わせたくない」(10.9%)、「使わせたくない」(3.8%)と、4割以上が慎重な姿勢を示しており、判断に迷う保護者が多いことが明らかになりました。
約半数(55.1%)の親が使わせ方に悩みあり
子どもと生成AIとのかかわり方について悩みや迷いがあるかを尋ねたところ、「ある」(55.1%)と回答した保護者が過半数に達し、「ない」(44.9%)を上回る結果となりました。約2人に1人以上が、子どもへの生成AIの関わらせ方について何らかの葛藤や不安を抱えていることが分かります。
不安理由のトップ3は「AI依存」(66.4%)、「思考力低下」(63.4%)、「誤情報リスク」(54.7%)
子どもが生成AIを使う上での不安について尋ねたところ、「AIに頼りすぎてしまうこと」(66.4%)が最も多く、次いで「自分で考える力が育たなくなること」(63.4%)、「間違った情報を信じてしまうこと」(54.7%)が上位に挙がりました。
そのほかにも、「勉強や宿題をAI任せにしてしまうこと」(35.1%)、「人とのかかわりやコミュニケーションが減りそうなこと」(24.2%)、「使い方やルールをどう教えればいいかわからないこと」(22.6%)といった懸念が続き、利便性への期待と同時に、依存や思考力低下、情報リテラシーへの不安が広く共有されていることが明らかとなりました。
9割弱(88.7%)が家庭内で話し合えていない実態
子どもの生成AI利用について夫婦(パートナー)間での話し合い状況を尋ねたところ、「すでに具体的に話し合ったことがある」は11.3%にとどまり、残りの約9割弱(88.7%)は、深く話し合えていない、もしくはまったく話し合えていない実態が明らかになりました。内訳としては、「少し話題にしたことはあるが、深くは話し合っていない」(27.9%)、「話し合いたいと思っているが、まだできていない」(17.0%)を合わせると44.9%に達しました。また、「話し合っていない/考えたことがなかった」(40.4%)が最多となっています。
子どもの生成AI利用を把握している親は3割(26.0%)に止まる。家庭ごとに差があり、対応にばらつき
子どもの生成AI利用状況については、「すでに使っている(親も把握している)」(26.0%)に加え、「使っていると思うが、詳しくはわからない」(17.0%)を合わせると43.0%となり、一定数の子どもが生成AIに触れている実態が見られました。
一方で、「使ったことはないと思う」(50.9%)、「わからない/把握していない」(6.0%)も存在しており、家庭によって利用状況の把握や認識に差があることがうかがえます。
子どもの生成AI利用や距離感について迷う親多数、社会的ルール整備が課題(自由記述)
自由記述では以下のような声が寄せられています。
「AIはもう避けては通れないが、まず子供たちの中に豊かな言葉を持ち、その言葉で考える力を育てたい」
「答えを出すのに悩む時間がなくなると、脳の働きや精神性が弱くなるのではないかと不安」
「上手く使いこなせていない大人も多い中、子供が利用し、自分の手や足で調べる前にこんな便利なものがあるんだと、楽な方へ進んでしまうことを非常に危険だと感じてしまいます」
「親自身が生成AIの活用方法がよくわかっていないので、子どもが生成AIを利用する事に批判的になってしまう」
「これからの時代にAI活用は不可避とは思いますが、学業が本業の子どもたちがAIと共存していくにはどうすればよいのかについてはいつも悩んでおります」
花まる教育研究所 所長 高濱 正伸氏による考察
ここ数年、教育現場や保護者の方々との対話の中で、生成AIの存在が急速に日常へ入り込んできていることを強く実感していますとのことです。今回の調査でも、保護者の約8割以上がすでに何らかの形で生成AIを利用しているという結果が出ており、大人にとっては「便利なツール」として受け入れられ始めている状況がうかがえます。一方で、その利便性を実感しているからこそ、「子どもにどこまで使わせてよいのか」という判断に迷う声が多いのも特徴的です。
実際の現場でも子どもが生成AIに触れているケースは確実に増えていますが、その関わり方は家庭によって大きく異なります。積極的に活用している家庭がある一方で、ほとんど使わせていない家庭もあり、さらに「使っているかどうかもよくわからない」という声も少なくありません。こうしたばらつきは、技術そのものの問題というよりも「どう向き合えばよいか」という社会的な共通認識がまだ十分に形成されていないことの表れだと考えられています。
また、今回の調査では、夫婦やパートナー間でこのテーマについて十分に話し合われていない実態も明らかになりました。子どもの教育に関わる重要なテーマであるにもかかわらず、日々の忙しさの中で後回しになりやすく、結果として各家庭の中で方針が曖昧なまま進んでいるケースも多いのではないかと指摘されています。
さらに注目すべきは、半数以上の保護者が子どもの生成AI利用について悩みや迷いを抱えている点です。不安の内容として、「AIに頼りすぎてしまうこと」や「自分で考える力が育たなくなること」、「誤った情報を信じてしまうこと」といった声が多く挙がっており、利便性の裏側にあるリスクを直感的に感じ取っている様子がうかがえます。これは裏を返せば、保護者が子どもの思考力や主体性を非常に大切にしている証でもあると言えるでしょう。
本来、テクノロジーは子どもの成長を支えるための道具であり、それ自体が良い・悪いと単純に判断できるものではありません。大切なのは、「使うか使わないか」ではなく、「どう使うか」という視点です。そのためにも、家庭だけで抱え込むのではなく、学校や社会全体でルールや価値観を共有しながら、子どもたちが主体的に考え、使いこなしていける環境を整えていくことが、これからの教育において重要になっていくと考えられています。
調査概要
調査実施日:2026年2月15日〜3月8日
調査対象:花まる学習会主催高濱正伸講演会(東京都、茨城県、兵庫県)に参加した保護者
有効回答数:268名
調査方法:インターネット調査
花まる教育研究所について
花まる教育研究所は、花まるグループが30年以上にわたり培ってきた教育実践の知見をもとに、教育・子育てを取り巻く社会課題を調査・研究し、発信していくことを目的として設立されました。現場の実態に根ざした情報発信を通じて、これからの教育や子育てのヒントを提示しています。
所長には花まる学習会代表の高濱 正伸氏、研究員には数理思考教育の第一人者であり、栄光学園中学校・高等学校で20年以上にわたり思考力教育を実践してきた井本 陽久氏や、精神科医・医学博士である蟹江 絢子氏らが就任しています。
所長 高濱 正伸 プロフィール
1959年熊本県人吉市生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年「花まる学習会」を設立、会員数は23年目で20,000人を超えています。
花まる学習会代表、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。算数オリンピック作問委員。武蔵野美術大学客員教授。環太平洋大学(IPU)客員教授。日本棋院顧問。ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー。
出典元:花まるグループ(株式会社こうゆう)













