帝国データバンク、2025年度企業倒産件数1万425件で4年連続増加・2年連続1万件超と発表

株式会社帝国データバンクは、2025年度における企業倒産件数(負債額1000万円以上の法的整理を対象)に関する集計・分析結果を公表しました。

調査結果

概要と主要なポイント

2025年度における倒産件数は1万425件となり、前年度の1万70件から3.5%増加しました。4年連続で前年度を上回る結果となり、2年連続で年度1万件を超過しています。

負債総額については1兆5537億8100万円で、前年度の2兆2525億7200万円から31.0%減少しました。前年度から大幅に減少し、2年連続で前年度を下回る結果となっています。負債5000万円未満の倒産が比較可能な2000年度以降で最多となるなど、中小零細規模の倒産が顕著に見られました。

業種別では、7業種中5業種が前年度を上回りました。「サービス業」は前年度2638件から2677件へと1.5%増加し、最も多い件数となっています。次いで「小売業」が前年度2109件から2233件へと5.9%増加しました。「サービス業」と「小売業」は、いずれも2000年度以降で最多を更新しています。

地域別では、「東北」のみが前年度572件から545件へと4.7%減少し、前年度を下回りました。それ以外の8地域は過去10年で最多を記録しています。「関東」は前年度3470件から3525件へと1.6%増加し、4年連続で前年度を上回り、全体の33.8%を占めました。増減率では「北陸」が前年度323件から375件へと16.1%増加し、最も高い伸び率を示し、全県で前年度を上回る結果となっています。

「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は625件が判明し、2年連続の減少となりました。「人手不足倒産」は441件が判明し、初めて400件を超え、過去最多を大幅に更新しています。「後継者難倒産」は533件が判明し、2年ぶりに前年度を上回りました。「物価高倒産」は963件が判明し、2年連続で過去最多を更新する結果となっています。

集計期間は2025年4月1日から2026年3月31日まで、発表日は2026年4月8日、集計対象は負債1000万円以上、法的整理による倒産となっています。

次回の発表日(2026年4月報)は5月13日(水)13時30分を予定しているとのことです。

サービス業・小売業が2000年度以降で最多を記録

業種別の詳細を見ると、7業種中5業種が前年度を上回りました。「サービス業」は前年度2638件から2677件へと1.5%増加し、最も多い件数となっています。「小売業」は前年度2109件から2233件へと5.9%増加しました。「サービス業」と「小売業」は、いずれも2000年度以降で最多件数を更新しています。「建設業」は前年度1932件から2041件へと5.6%増加、「不動産業」は前年度296件から309件へと4.4%増加し、過去10年で最多となりました。「運輸・通信業」は前年度458件から457件へと0.2%減少し、前年度から微減となったものの、3年連続で400件を上回る高水準となっています。

業種別の特徴を詳細に見ると、「サービス業」では、医療スタッフの確保難や代表者の高齢化を背景として「医療」が前年度181件から194件へと増加し、2000年度以降で最も多い件数となりました。「小売業」では、物価高や人件費高騰の影響を受け、「飲食店」が前年度901件から924件へと増加し、2000年度以降で最多を記録しています。また「飲食料品小売」は前年度321件から358件へと増加し、2000年度以降で2番目に多い件数となりました。

業種別データ

不況型倒産は8608件、全体の82.5%に

主因別に見ると、「販売不振」が8478件で前年度8261件から2.6%増加し、最も多い件数となっています。2年連続で8000件を上回りました。「売掛金回収難」は前年度49件から62件へと26.5%増加、「業界不振」は前年度59件から51件へと13.6%減少しています。これらを含めた「不況型倒産」の合計は8608件で前年度8389件から2.6%増加し、4年連続で前年度を上回り、全体の82.5%(対前年度0.8ポイント減)を占めました。

「経営者の病気、死亡」は前年度316件から350件へと10.8%増加し、2000年度以降で最多だった前年度をさらに上回り、最多を更新しています。「放漫経営」は前年度162件から194件へと19.8%増加し、4年連続で増加し、過去10年で最多となりました。

主因別データ

清算型は1万115件、全体の97.0%を占める

態様別に見ると、「清算型」倒産の合計は10115件で前年度9804件から3.2%増加しました。全体の97.0%を占め、構成比は3年連続で97.0%台となっています。「再生型」倒産は310件で前年度266件から16.5%増加しています。

「清算型」では、「破産」が9725件で前年度9435件から3.1%増加し、最も多い件数となっています。4年連続で前年度を上回り、全体の93.3%を占めました。「特別清算」は390件で前年度369件から5.7%増加し、2000年度以降で最多を更新しています。

「再生型」では、「会社更生法」が9件で前年度13件から30.8%減少しました。「民事再生法」は301件で前年度253件から19.0%増加し、このうち個人が240件、法人が61件発生しています。

態様別データ

資本金「個人+1000万円未満」が7580件、2000年度以降で最多

負債額を規模別に見ると、「5000万円未満」の倒産が6475件で前年度6122件から5.8%増加し、2000年度以降で最多となり、全体の62.1%を占めました。「5000万円以上1億円未満」は1505件で前年度1465件から2.7%増加し、4年連続で前年度を上回っています。

資本金を規模別に見ると、「個人+1000万円未満」の倒産が7580件で前年度7153件から6.0%増加し、全体の72.7%を占めました。件数、構成比ともに2000年度以降で最多となっています。

規模別データ

業歴「30年以上」が3278件、全体の31.4%を占める

業歴別に見ると、「30年以上」が3278件で前年度3210件から2.1%増加し、最も多く、全体の31.4%を占めました。2年連続で3000件を上回り、過去10年で最多となっています。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は147件で前年度152件から3.3%減少しました。

業歴10年未満の「新興企業」(「3年未満」前年度385件から409件へと6.2%増加、「5年未満」前年度714件から658件へと7.8%減少、「10年未満」前年度2007件から1959件へと2.4%減少)は3026件で前年度3106件から2.6%減少し、4年ぶりに減少したものの3000件を上回る高水準で推移しています。内訳を業種別に見ると、「サービス業」が前年度1035件から1000件へと3.4%減少し最も多く、「小売業」が前年度779件から707件へと9.2%減少、「建設業」が前年度602件から603件へと0.2%増加となっています。

業歴別データ

9地域中8地域が過去10年で最多を記録

地域別に見ると、唯一前年度を下回った「東北」(前年度572件から545件へと4.7%減少)を除く8地域が過去10年で最多となりました。「関東」は前年度3470件から3525件へと1.6%増加し、4年連続で前年度を上回り、全体の33.8%を占めています。「近畿」は前年度2595件から2700件へと4.0%増加し、「兵庫」(前年度544件から618件)の増加が目立ちました。

増減率で見ると、「北陸」が前年度323件から375件へと16.1%増加し、最も高い伸び率となり、全県で前年度を上回っています。特に「新潟」(前年度131件から144件)や「富山」(前年度71件から100件)が増加しています。「四国」は前年度203件から225件へと10.8%増加し、2年連続で200件を超えました。「九州」は前年度872件から916件へと5.0%増加し、2008年度(1066件)に次いで2000年度以降で2番目に多い件数となりました。

都道府県別では、29都道府県が前年度を上回りました。「栃木」(前年度171件から194件)と「新潟」は2000年度以降で最多、「徳島」(前年度49件から71件)は2000年度以降で最多タイとなっています。

地域別データ

注目すべき倒産動向

ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産は625件判明、2年連続の減少

「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は625件で前年度681件から8.2%減少し、判明しました。2年連続で前年度を下回り、前年度に続き減少傾向となっています。業種別では、「小売業」(146件)が最多で、「卸売業」(118件)、「建設業」(113件)が続きました。最も多かった「小売業」では「飲食店」(61件)や「飲食料品小売」(31件)など、食品関連の倒産が目立っています。

ゼロゼロ融資後倒産データ

人手不足倒産は441件判明、初めて400件を超え過去最多を大幅更新

「人手不足倒産」は441件で前年度350件から26.0%増加し、判明しました。年度としては初めて400件を超え、過去最多を大幅に更新しています。業種別では、「サービス業」(114件)が最も多く、「建設業」(112件)、「運輸・通信業」(69件)が続きました。「従業員10人未満」の小規模企業が333件と、全体の約75%を占めています。

人手不足倒産データ

後継者難倒産は533件判明、2年ぶりに前年度を上回る

「後継者難倒産」は533件で前年度507件から5.1%増加し、判明しました。2年ぶりに前年度を上回り、3年連続で500件を超え、高水準で推移しています。業種別では、「建設業」(123件)が最も多く、「サービス業」(97件)、「製造業」(90件)が続きました。2025年度で過去最多となった「経営者の病気・死亡」は、後継者難倒産のうち45.2%を占めています。

後継者難倒産データ

物価高倒産は963件判明、2年連続で過去最多を更新

「物価高倒産」は963件で前年度925件から4.1%増加し、判明しました。2年連続で900件を超え、過去最多を更新しています。業種別では、「建設業」(247件)が最も多く、「小売業」(227件)、「製造業」(177件)が続きました。負債額別に見ると、「1億円以上5億円未満」が368件で最も多く、「5000万円未満」が318件で続いています。

物価高倒産データ

今後の見通し

2025年度の企業倒産、2年連続1万件超え

2025年度の全国企業倒産は1万425件発生し、2024年度(1万70件)に続いて2年連続で1万件を超える結果となりました。小規模倒産が大半を占めており、長引く物価高に加えて、人件費高騰、金利負担増加などコスト上昇分を販売価格に転嫁できず、資金繰りが悪化した中小零細企業の厳しい現状が浮き彫りとなっています。単月ベースで見ても3月は943件となり、足元においても倒産は増勢を続けている状況です。

負債総額は1兆5537億8100万円となり、2年連続で前年度(2兆2525億7200万円)を下回りました。1億円未満の倒産が76.5%を占めたことに加えて、50億円を超える倒産は26件(前年度34件)にとどまったことが要因となっています。負債額最大は12月に発生した株式会社ドローンネット(負債1444億円)でした。50億円以上の倒産はコンプライアンス違反に起因したものが38.1%を占めています。

海外情勢に翻弄された1年

補助金や助成金、コロナ関連融資によって倒産が抑制されていたコロナ禍を経て、倒産件数は4年連続で前年度を上回る結果となりました。その背景にはデフレ脱却に伴う急激な物価高、人件費高騰、円安、金利上昇、コロナ禍での借り入れ負担増加など多方面にわたるコスト上昇要因がありました。

2025年度はそれらの要因に加えて、海外情勢の急激な変化に翻弄された1年となりました。4月に発表されたアメリカ関税政策に伴う大手企業の業績低迷は、サプライチェーン企業の受注環境の悪化を引き起こしています。11月以降は日中関係の悪化により訪日中国人の減少やレアアースの輸出規制などが発生しました。メーカーからサービス・小売業者まで幅広く影響が出ています。さらに今年3月には、米国とイスラエルによるイラン攻撃をきっかけに原油価格が急騰し、供給不安が高まっている状況です。帝国データバンクの3月の景気動向調査では全業界、全地域、全規模が悪化する結果となりました。特に運輸・倉庫業の悪化幅は過去3番目となり、化学品製造業でも大幅な悪化が見られています。

経営安定性、コスト上昇への耐性、価格転嫁の可否で二極化が加速

今年1月には中小事業者の利益保護と取引適正化を目的とした中小受託取引適正化法が施行されました。これにより中小企業の価格転嫁が進む可能性はありますが、帝国データバンクが今年2月に調査した「価格転嫁の実態調査」では価格転嫁率は42.1%にとどまり、目に見える改善には至っていない状況です。また、物価高倒産や人手不足倒産が大きく減少に転じる経済環境にはありません。

今後は原油高騰のあおりを受けて、燃料や化学品だけでなく、プラスチック製品、建材、アパレル資材、飼料など幅広い分野で価格が上昇し、企業の仕入れコストが増加する懸念が広がっています。原油供給量の減少が続けば、幅広い分野で減産や生産中止に陥り、サプライチェーンの断絶のリスクも高まります。手元資金の乏しい企業にとっては調達が困難となり、経営が立ち行かなくなる可能性も出てくるでしょう。同業者間でも、経営基盤の安定性やコスト上昇への対応力、価格転嫁の可否などによって優勝劣敗が明確になり、二極化が進んでいくことは避けられません。夏頃から倒産が急増する懸念があり、2026年度は倒産が増加する可能性が高いとされています。

出典元:株式会社帝国データバンク

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