
日本アイ・ビー・エム株式会社が、IBM Institute for Business Value(IBV)による最新調査「2026年消費者調査『エージェント型コマースを自らの競争力に』」の日本版を発表しています。
生成AI技術は、消費者が「購入」ボタンをクリックする以前の購買体験における初期段階を劇的に変革しています。高度にパーソナライズされた商品提案やインスピレーションの提供を通じて、消費者への影響は実店舗への訪問前やアプリケーションを起動する前の段階から既に開始されています。こうした変革により、ブランドや小売事業者が競い合う領域そのものが、全く新しい次元へと拡張されつつあります。
IBM(NYSE: IBM)Institute for Business Valueが全米小売業協会(NRF)と共同実施したグローバル規模の新調査では、調査に参加した消費者の約4分の3(グローバル全体で72%、日本国内では87%)が引き続き実店舗での買い物を継続している一方、約半数(グローバル全体で45%、日本国内では22%)が買い物に関連する多様な行動においてAIの支援を活用していることが判明しました。消費者は依然として商品を実際に見て触れる体験を求めていますが、近年の消費者傾向として、事前に何を購入するのか、なぜ購入するのかを明確に意識した上で買い物に臨む傾向が顕著になっています。実際のデータとして、約4割(グローバル全体で41%、日本国内では21%)がAIを使用して商品を調査し、3割強(グローバル全体で33%、日本国内では16%)がレビューを確認、約3割(グローバル全体で31%、日本国内では10%)がお得な情報を探索しています。
全米小売業協会(NRF)においてAI及びテクノロジー・ポリシーを担当するシニア・ディレクターのキャロライン・レパート氏は、次のようにコメントしています。「AIは消費者の買い物行動そのものを変革し、購買体験全体における全ての側面に影響を与えています。これらのテクノロジーが消費者の商品発見、比較、選択を主導している現状において、この変化を正しく理解し、適切に対応できる小売事業者こそが、消費者からの信頼や関連性を高め、さらには長期的な顧客ロイヤルティーを獲得する上で優位性を確保するでしょう」
この記事の目次
ブラウジング行動からAIが関与する購買判断へ、消費者の意思決定プロセスの変化
消費者が商品を探索し、比較検討し、購買判断を下す初期段階にまでAIの影響が拡大している中で、主要ブランドや小売事業者には、消費者とどのような方法で、どのような場所で関わるべきかを改めて見直すことが要求されています。
ALDO GroupのCIOであるマチュー・ウール氏は、次のように述べています。「AIによって買い物体験は、単純な『ネット検索』から信頼性の高い『対話型体験』へと大幅に進化を遂げています。消費者にとって、AIアシスタントは今や不可欠な存在となっています。人間のように振る舞い、個人の好みを理解し、中立的かつ最適なアドバイスを提供してくれます。その結果として、購入前の確認手段や意思決定のプロセスが大きく変化しています」
調査に参加した消費者の3分の1以上(グローバル全体で35%、日本国内では40%)が、引き続き待ち時間のない魅力的な実店舗を求めている一方で、AIを活用したソリューションも同等に重要視されています。実際に、回答者の3人に1人がコマースと他のサービスを統合したスーパー・アプリを求めており、約3割がAIパーソナル・ショッパー(グローバル全体で30%、日本国内では16%)やオンデマンドの自律配送機能(グローバル全体で30%、日本国内では24%)と連携するスマート・ホームを希望しています。さらに約3割(グローバル全体で29%、日本国内では21%)がソーシャル・プラットフォーム上で手軽に商品を購入できる体験を求めています。
消費者は、AIを活用したショッピング・アシスタントによる購買判断の支援に徐々に慣れてきています。しかしながら、こうした消費者の期待の高まりは、多くの小売企業の運営モデルが対応可能なスピードを上回っており、「顧客の最終的な選択を導き、裏付けるためのデータは十分に整備されているのか?」という重要な問いを投げかけています。
Louis Vuitton Moët Hennessy社(LVMH)のインサイト(AI及びオムニチャネル)担当責任者であるスタニスラス・ヴィニヨン氏は、次のように述べています。「AIは魔法の杖ではありません。適切なデータがなければ機能することはできません。さらに、ソリューションをテストしなければ、それが本当に機能するのか、どこに価値をもたらすのかを知ることは不可能です」
AI主導型の消費者に先んじるために、ブランドと小売事業者が取るべき戦略的アプローチ
AIが消費者の意思決定のあり方を変革しつつある現状において、ブランドや小売事業者には、変化を見据え、顧客の状況に応じた体験を意図的に設計していくことが必要とされています。特に注目すべき重要なポイントは以下の通りです。
- 将来の意思決定の瞬間を起点に、購買体験を再構築する
消費者がAIを活用して情報収集、比較検討、価値判断を実施する場面を特定し、それらの接点を購買行動へとシームレスに繋がるように設計します - 購買体験の初期段階における不確実性を低減するために、エージェントを活用する
ディール探索、レビューの解釈、パーソナル・ショッピング支援を、単なるサポート業務の負荷軽減に留まらず、消費者の意思決定を後押しする場面に適切に配置します - データ整備とテストを不可欠な前提条件として位置づける
調査対象となった経営層の過半数(54%)が、チャネルやシステム全体にわたる継続的な課題を挙げている中で、製品情報とポリシーの一貫性を確保し、エンドツーエンドで検証することが不可欠であると回答しています - ブランドの独自性をさらに強化する
創造性とブランド本来の表現を維持しながら、AIを活用して関連性を高め、顧客体験における摩擦を軽減します - AI人材の育成と戦略的なパートナーシップへの投資を強化する
経営層の過半数(51%)がAIの専門知識不足を挙げており、AIを責任ある形で効果的に拡大するためには、社内能力の強化と戦略的パートナー連携が不可欠であることを示しています
AIは、あらゆる業界において意思決定の場所、タイミング、方法といったあり方そのものを再構築しています。小売業界においては、AIの影響を受けた消費者行動を理解できるかどうかが、意思決定を主導するブランドと単に需要に応えるだけのブランドとを分ける重要な差別化要因となっています。
調査方法について
AIを活用したショッピング及びエージェント型コマースに向けて、消費者と企業のリーダーがどのような準備を進めているのかを検証するため、IBM Institute for Business Valueは2025年第3四半期に、消費者と業界の経営層を対象とした2つのグローバル調査を実施しました。消費者調査には23カ国から18,000人を超える回答者が参加し、多様な購買行動を代表するデータが収集されています。また、経営層調査では小売、消費財、Eコマース分野の200人のシニア・リーダーからインサイトを収集しました。回答者はエンゲージメントのスタイル、価格感度、AIに関する知識によって分類されました。記述的分析によって主要なパターンを特定するとともに、優先事項の比較や信頼を重視したエンゲージメント戦略を評価するため、検証済みの統計手法が適用されています。
IBM Institute for Business Valueについて
IBM Institute for Business Value(IBV)は、IBMのソート・リーダーシップ・シンクタンクとして、ビジネス・リーダーの意思決定を支援するため、世界規模の調査とパフォーマンス・データ、業界の専門家や学者の専門知識に裏付けられた戦略的洞察を提供しています。
出典元:日本アイ・ビー・エム株式会社プレスリリース












