
株式会社キヤスク(千葉県習志野市、代表取締役社長:前田哲平)は、障害や病気を持つ方向けの衣服お直しサービス「キヤスク」を基盤として、アパレルブランドが顧客に対して商品購入後のお直し先として公式案内できる提携サービスの提供を開始しました。
この取り組みにより、提携するアパレルブランドは、障害や病気により衣服の着脱に困難を抱える顧客に対して、購入後に「キヤスクでのお直し」という選択肢を公式に案内できるようになります。その結果、一般顧客向けと同一の商品ラインナップを幅広い顧客層に提案することが可能となります。
今回の提携第一号として、Sunday Morning Factory株式会社(本社:福岡県福岡市、代表取締役:中村将人)が運営する、オーガニックコットン素材のベビー服・子ども服および出産祝いギフトブランド「Haruulala organic(ハルウララ オーガニック)」が導入しました。障害や病気などで衣服の着脱に困難を抱える方を含め、より多くの方々に自社製品を届けたいというHaruulala organicの理念のもと、本提携が実現したとのことです。
今後は同様の提携をさらに多くのブランドへ拡大することで、アパレル産業の従来の服づくりにおいて見過ごされてきた層にも多様な選択肢を提供し、すべての人が「着たい服」を自由に選択できる社会の実現を目指しているとしています。
この記事の目次
アパレル産業における既存の服づくりの課題
アパレル産業はこれまで「利用者が健常者である」という前提のもとで構築されてきた結果、その前提から外れた人々が存在してきました。障害や病気、加齢など様々な要因で身体に制約を抱える方々の多くは、「着用しにくい」という理由から「着たい服」を選ぶことを断念している実態があります。
その対象者数は国内で少なくとも770万人に達すると推計されており、今後の超高齢化社会の進展を考慮すると、さらに増加すると予想されます。着たい服を着用し、着たい服を選択するという行為は、単なる身支度の範疇を超え、生活の質(QOL)やその人らしさと深く結びついています。これは特別な配慮ではなく、本来誰もが有している当然の権利であると同社は考えているとしています。
一方、アパレル業界にとって、こうしたニーズへの対応は容易ではありません。ニーズに応えるための専用商品を新規開発しようとすると、企画から生産、在庫管理、販売方法まで、多岐にわたる検討や調整が求められます。インクルーシブな対応の重要性を認識していても、「何から着手すべきか不明」「継続可能な形にすることが困難」と感じるブランドは少なくないのが現状です。
※厚生労働省「福祉行政報告例(令和5年度)」、国立研究開発法人産業技術総合研究所「身体障害者手帳所持者数(年齢階級別)令和4年データ」、厚生労働省「令和6年3月分 介護保険事業状況報告(暫定)」をもとに同社が算出しています。
キヤスクがこれまで積み重ねてきた取り組み
キヤスクは2022年3月のサービス開始以降、障害や病気のある方々を対象に、その方が「着たい」と望む既製服を、一人ひとりの身体状態に応じてお直しするサービスを展開してきました。これまでにお直しを実施した衣服の点数は、累計1,800点以上に上ります。
お直しを手がけた衣服の種類は多岐にわたります。手頃な価格帯のブランドから高価格帯のブランドまで、新品から愛着のある中古品まで、アイテムもTシャツ、ブラウス、アウター、ジャケット、インナー、パンツ、スカート、スポーツウェア、学生服、ユニフォーム、着物など幅広く対応してきました。一人ひとりが真に着用したいと思う服を、その人の身体や生活に合わせて着やすくなるようお直しを実施しています。
具体的なお直し内容としては、前開き・肩開き・横開き・後開きへの変更、ボタン留めの面ファスナー化、スラックスのウエストのゴム化、ズボンの前ファスナー開口部の拡張、ジーンズの臀部を柔らかい素材に変更するといった加工を行っています。
実際に利用した顧客からは、「着用可能かどうかを心配せずに服を選べるようになって嬉しい」「病気になる前に着ていた服を再び着られるようになって嬉しい」「みんなと同じ制服を着用できるようになって嬉しい」「着脱が容易になり、安心して日常生活を送れるようになった」といった声が多数寄せられています。リピート率も75%を超えており、単に「着やすくなる」だけでなく、「着たい服を着られるようになる」こと自体が、一人ひとりにとって大きな喜びとなることを実感してきたとのことです。
ブランドとの連携による仕組みの拡大
この仕組みをキヤスクという一企業のサービスに留めるのではなく、様々なブランドと連携して拡大していくことで、「着たい服を着られる喜び」をより多くの人に届けられるのではないか。そのような考えが、今回のアパレルブランドとの連携モデルの開始につながっています。
このモデルの最大の特徴は、アパレルブランドが専用商品を新規開発する必要がなく、既存の商品ラインナップのままで導入できる点にあります。これまで十分に届けることができなかった、障害や病気などで衣服の着脱に困難を抱える顧客に対しても、自社製品を提案しやすくなります。
ブランド側にとってのメリットは以下の通りです。
- 既存の商品構成を変更せずに開始できること
- 新たな在庫リスクを負うことなく導入できること
- 一部の特別企画ではなく、本業の延長線上で運用しやすいこと
これまで「着用できないかもしれない」「着脱が難しいかもしれない」という理由で、そのブランドの服の購入を諦めていた顧客に対しても、購入後の「キヤスクでのお直し」という具体的な選択肢を提示できるようになります。これは、ブランドが既存の商品や販売リソースを活用したまま、より多くの人に自社製品を届けていくための新しい顧客対応の仕組みでもあります。こうした購入後の選択肢を案内できる状態を持つこと自体が、ブランドにとっての価値にもつながります。
Haruulala organicとの提携内容

今回の提携により、Haruulala organicの商品を購入しようとする顧客は、障害や病気などで衣服の着脱に困難がある場合でも、購入後にキヤスクでお直しができることを前提に、商品を選びやすくなります。これまで「着たいけれど、自分には着にくいかもしれない」「プレゼントしたいけど、相手には着にくいかもしれない」と感じて購入をためらっていた顧客が、諦めずにHaruulala organicの商品を選択できるようになります。
Haruulala organicにとっては、専用商品を新規開発することなく、既存の商品ラインナップのままで、これまで十分に届けることができなかった顧客にも自社製品を案内しやすくなります。一般顧客向けと同じ商品ラインナップを、衣服の着脱に困難がある方にも提案できるようになります。
実際のお直し対応については、Haruulala organicが案内する購入後のお直し先として、キヤスクが担当します。Haruulala organicは個別のお直し相談を自社で抱え込む必要がなく、顧客に購入後の具体的な選択肢を案内した後は、キヤスクが受付から相談対応、お直し内容の確認、実際のお直しまでを一貫して担います。
Haruulala organicの商品を購入した顧客は、Haruulala organic公式の案内のもと、通常のキヤスクでのサービスと同じ流れでお直しを受けることができ、料金はHaruulala organicが定める特別料金が適用されます。通常料金との差額はHaruulala organicとキヤスクがそれぞれ負担することで、顧客が利用しやすい形を整えています。
この連携によってHaruulala organicは、障害や病気などで衣服の着脱に困難を抱える方々も含めて、より多くの顧客に自社の服を届けられる可能性を広げていきます。「着たいけれど難しいかもしれない」と感じていた人にも選択肢が生まれることで、Haruulala organicの服を楽しめる人の輪が、これまで以上に広がっていくことを目指しています。
Haruulala organicについて

Haruulala organicは、オーガニックコットンを使用したベビー・こども服と出産ギフトを提供するブランドです。赤ちゃんの肌に優しい素材と可愛らしいデザインを追求し、環境にも配慮した製品づくりを行っています。2017年にバングラデシュの児童労働をなくすために設立され、現地に自社のアパレル工場を建設し、貧困家庭の親たちに安定した雇用を提供することで、子どもたちが働かないで済む環境づくりに取り組んでいます。
また、オーガニックコットンの使用に加え、自社工場の太陽光発電への切り替えや植林による二酸化炭素の回収など、環境負荷を最小限に抑えた生産にも努めています。
Haruulala organic 運営会社について
会社名:Sunday Morning Factory株式会社
設立:2017年3月
代表者:代表取締役社長 中村将人
本社所在地:福岡県福岡市東区多の津4-14-1
事業内容:ベビー服の製造・販売
関係者のコメント
Sunday Morning Factory株式会社 代表取締役 中村将人氏のコメント
「着たい服を着る」それが叶わない方がいるのだということに、恥ずかしながら私は息子の入院をきっかけに気づかされました。お気に入りの服を着るだけで、幸せな気持ちになれる。力が湧いてくる。たかが服、されど服。私たちの服を着たいと思ってくれた子どもたちに、その気持ちを諦めてほしくない。そんな想いから、この度キヤスクさんとご一緒させていただくことになりました。私たち一社でできることは限られていますが、この活動がきっかけとなり、一つでも多くのブランドが加わって選択肢が広がっていく。その最初の一歩になれば幸いです。
キヤスク代表 前田哲平氏のコメント
Haruulala organicさんが第一号としてこの取り組みに踏み出してくださったことに、心から感謝しています。障害や病気などで衣服の着脱に困難を抱える方も含めて、より多くの人にHaruulala organicの服を届けたいという姿勢は、とても誠実で本質的なものだと感じました。これからのアパレルブランドには、「より多くの人に届けたい」という言葉を掲げるだけでなく、Haruulala organicさんのように、実際に誰に届けられていて、誰にまだ届けきれていないのかを問い直し、行動に移していく姿勢がますます重要になると思います。今回の提携が、そうした動きがアパレル業界内に広がっていくきっかけの一つになることを願っています。
今後の展開について
キヤスクは今後、今回のような提携をより多くのブランドへ拡大していくことで、既存の服づくりだけでは届きにくかった人にも、「着たい服」の選択肢を増やしていきたいと考えています。
インクルーシブな対応というと、新たな専用商品を開発することが唯一の方法のように見られがちですが、実際にはそれだけではありません。既存の商品を活用しながら、購入後のお直しという選択肢をブランドが持てるようになることで、より多くの人に服を届けられる可能性があります。
こうした取り組みが一部の先行事例に留まることなく、様々なブランドへ広がっていけば、当たり前にすべての人が「着たい服」を選べる社会に近づいていくとしています。
株式会社キヤスクについて
障害や病気のある人の声を起点に、企業や社会とともに、すべての人が「着たい服」を選べる社会の実装を目指す会社です。当事者へのお直しサービスを通じて蓄積した声や知見をもとに、ブランドのインクルーシブな服づくりやアフターサービスを支援し、身体の不自由な人への視点が、商品設計や服づくりの常識としてアパレル産業に定着することを目指しています。
会社概要
会社名:株式会社キヤスク(株式会社コワードローブから社名変更)
代表者:前田哲平
所在地:千葉県習志野市津田沼1-3-11 昭和第三ビル6階
事業内容
1)障害や病気のある人向けの服のお直しサービス「キヤスク」の企画・運営
2)アパレル産業向け知見実装型クラウド基盤「キヤスクラウド」の開発
3)ブランドの服づくりやアフターサービスの支援「キヤスク to Brands」
4)すべての人が「着たい服」を選べる社会に向けた知見の還元・継承
出典元: 株式会社キヤスク













