
Z世代向けクリエイティブカンパニーであるFiom合同会社が運営するシンクタンク「Z-SOZOKEN(Z世代創造性研究所)」は、全国のZ世代(18歳〜24歳)を対象に実施した「Z世代のノスタルジーマーケティングについての意識調査」の結果を公表しました。
昨今、「平成レトロ」や「Y2K」といった過去のカルチャーがSNSを通じて大きなブームとなり、Z世代の新たな消費傾向として根付いています。
ストレスフルな現代社会において、Z世代にとって「懐かしさ」は単に古いものへの関心ではなく、自らの原点を見つめ直し、心の癒しを得るための大切な要素となっているとのことです。
多くの企業がこの「ノスタルジー」に着目し、復刻商品の販売やレトロ調のプロモーションを行う中、当時のカルチャーへの敬意を欠いた表面的なデザインの模倣は容易に見破られ、かえってブランドへの嘲笑や不信を招く「認識のギャップ」が生じているケースも見受けられるといいます。
このような状況を受け、Z世代の当事者視点による分析で新しいインサイトを発見・探求するZ世代特化の調査研究機関である同研究所は、Z世代が「ノスタルジーマーケティング」にどのような価値を見出し、企業や発信者に何を期待しているのか、その内面的心理を明らかにするため、今回の実態調査を行いました。
多様な背景を持つZ世代当事者である研究員が、アンケート調査を実施し、企業の商品展開や広告に対する彼らの率直な視点や本音を分析しています。
全32ページに及ぶ調査レポートをベースに、Z世代の精神的な満足を求める「懐かしさ消費」の実態が調査されました。
調査結果のサマリー
懐かしさのピークは「2000年代後半」、Z世代の45%が「小学生頃」の思い出に郷愁
Z世代が「懐かしいなぁ」と感じる思い出の時代は、「2000年代後半(小学生頃)」が45%で最も多い結果となりました。続いて「2010年代前半(中学生頃)」(29%)が続き、自身の実際の原体験に基づく時代に最もノスタルジーを感じていることが明らかになりました。
懐かしむ時間は「エネルギーチャージ」、Z世代の52%が過去を振り返り精神的な安らぎを獲得
「懐かしい」と感じる時は、「楽しかった思い出を純粋に楽しみ、エネルギーをチャージする時間」と回答した人が過半数の52%に達しました。また、「今の自分を形作った原点を振り返り、自己確認する時間」(20%)という回答も多く、精神的な回復と自己肯定の場として機能していることがわかります。
懐かしさ消費は「大人買い」の進化形、Z世代の27%が「リベンジ達成感」を目的に購入
懐かしさをきっかけに商品を購入する最大の決め手は、「これを好きだった、知っている自分を再構築したかった(自己肯定感)」(36%)でした。さらに、「当時叶えられなかった所有欲や体験欲を今の自分の力で満たしたかった(リベンジ達成感)」が27%を占め、大人になったからこその消費行動が浮き彫りになりました。
「狙いすぎ」なレトロ広告は逆効果、Z世代の32%が「話題作りが見えて冷める」と回答
広告やSNSで意図的に「レトロなデザイン」が使用されているのを見た際、「面白いし、センスが良いと感じる」層が33%いる一方で、ほぼ同数の32%が「話題作りなのが見えて、少し冷めてしまう」と回答しており、あざとい演出には厳しい目が向けられています。
「中途半端な現代風アレンジ」は即アウト、Z世代の47%が当時のデザインへのリスペクトを重視
企業が「復刻版」商品を販売する際、最も"許せない"と感じることは「当時のデザインや味へのリスペクトがなく、中途半端に現代風にアレンジされていること」(47%)が圧倒的1位となりました。
ノスタルジーマーケティングの実態を深掘り
今回の調査結果から、Z世代の「ノスタルジー消費」のリアルを象徴するデータが抜粋して解説されています。
ノスタルジーの源泉はエンタメ、Z世代の20%が「テレビ番組」、18%が「アニメ・漫画」「音楽」に懐かしさを実感

特に「懐かしさ」を感じるジャンルを尋ねたところ、「テレビ番組」(20%)、「アニメ・漫画」(18%)、「ゲーム」(18%)が上位を占めました。デジタルネイティブでありながら、多感な時期に触れたエンターテインメントコンテンツが、彼らのノスタルジーの源泉となっています。
憧れの「レトロ」より「リアルな体験」、Z世代の57%がタイムスリップするなら「過去の自分」へ

より強く心を惹かれるのは、自分が直接知らない過去への憧れ(レトロ)か、自分が体験したリアルな懐かしさかという問いに対しては、見事に50%ずつ票が割れました。しかし、タイムスリップできるならどちらに行きたいかという問いでは、「懐かしい時代に戻って、もう一度当時を体験したい」(57%)が、「過去の憧れのレトロな時代へ行って当時の空気を味わいたい」(43%)を上回り、自身のリアルな記憶の再体験への欲求がやや強い傾向にあることがわかります。
懐かしさ消費の原動力は「自己肯定感」(36%)、「あの頃の自分」を再構築するための消費行動

懐かしさをきっかけに購入した深層心理として、「これを好きだった、知っている自分を再構築したかった(自己肯定感)」(36%)がトップでした。次いで、「『これ、流行ったよね』と同世代や同じ趣味の仲間との繋がりを感じたかった(共同体感覚)」(29%)、「当時叶えられなかった所有欲や体験欲を今の自分の力で満たしたかった(リベンジ達成感)」(27%)が続きました。子どもの頃にはお小遣いが足りなくて買えなかったものを、自分の稼いだお金で買うという「大人買い」的欲求がZ世代にも強く存在しています。
企業のあざとい「レトロ広告」は諸刃の剣、Z世代の32%が「話題作りが見えて冷める」とシビアな目線

企業が意図的に「レトロなデザイン」を広告で使うことについて、「面白いし、センスが良いと感じる」(33%)という肯定派がいる一方で、「話題作りなのが見えて、少し冷めてしまう」(32%)という冷静な声が拮抗しています。さらに、ノスタルジーマーケティング全体に対するスタンスでも、「企業の気持ちはわかるし、面白いと思うが、少し『狙いすぎ』『あざとい』と感じることもある(共感派)」(13%)、「思い出をビジネスに利用されていると感じ、少し冷めた目で見ている(冷静派)」(31%)と、企業の打算を見抜いている層が少なくありません。
復刻版に求めるのは「完全再現」、Z世代の47%が「中途半端な現代風アレンジ」に強い拒否感

「復刻版」商品で許せないことの1位は「当時のデザインや味へのリスペクトがなく、中途半端に現代風にアレンジされていること」(47%)でした。また、昔のゲームをもう一度プレイするなら「手軽に遊べる『移植版』」(36%)や「フルリメイク」(30%)が人気を集める一方で、音楽に関しては「オリジナルのアーティストによる、当時の空気感がそのまま伝わるオリジナル音源」(37%)が、「現代のアーティストによるカバーやリミックス」(18%)を大きく上回りました。Z世代は、思い出を現代の都合で歪められることを嫌い、当時の空気感に対する強いリスペクトを求めています。
調査概要
調査名は「Z世代のノスタルジーマーケティングについての意識調査」で、調査対象は全国のZ世代(18歳〜24歳)です。調査期間は2025年8月〜9月で、調査方法はインターネットを利用したアンケート調査です。有効回答数はn=218で、調査分析はZ-SOZOKEN(Z世代創造性研究所)(運営:Fiom合同会社)が行いました。
Z-SOZOKEN所長のコメント

竹下洋平氏(たけしたようへい)
Z-SOZOKEN(Z世代創造性研究所)所長、Fiom合同会社CEO
2005年生まれ。2021年10月にFiom合同会社を設立しました。Z世代のクリエイターの創造性を最大化させることをミッションに、Z世代によるZ世代向けのコミュニケーションプロデュース事業、リサーチ&プランニング事業を展開しています。上場企業から大企業、中小企業、ベンチャー、スタートアップ、行政や自治体と幅広い組織の支援実績を持ちます。Z世代の創造性を活かし、Z世代向け広告コミュニケーションの上流設計から制作、運用までワンストップで実行支援しています。
「復刻版で絶対に許せないのは、中途半端な現代風アレンジである(47%)」という結果が明確に物語っているのは、Z世代にとってのノスタルジー消費は、単なる「古いデザインが可愛いから」という表層的なトレンドではないということです。
彼らにとって、子どもの頃に熱中したアニメや音楽、お菓子は、自分自身のアイデンティティを形成する重要な「原点」です。それを、企業の都合で現代風に安易に作り変える行為は、彼らの「思い出への冒涜」とすら捉えられかねません。
また、購買の心理として「自己肯定感」(36%)や「リベンジ達成感」(27%)が強く働いている点も見逃せません。当時、お小遣いでは買えなかった憧れのアイテムを、大人になった自分の力で手に入れることは、社会に出始めた彼らが、過去の自分自身を肯定し、明日を生きるための「エネルギーチャージ」(52%)の儀式なのです。
企業に今求められているのは、単に「エモい」「レトロ」といった言葉を乱発し、流行りのフォーマットに便乗することではありません。彼らの思い出の対象に対して、徹底的な「リスペクト」を払うこと、そして、「あの頃のあなたを大切にしています」という誠実なメッセージをプロダクトや広告を通じて届けることです。上辺だけのノスタルジーは即座に冷笑(32%)されますが、本質的な理解と敬意を持ったブランドだけが、Z世代の熱狂的な支持と信頼を勝ち取る時代へと変化しています。
Z-SOZOKENについて

Z世代の創造性で未来を創る。Z世代特化の次世代型シンクタンク
「Z-SOZOKEN」とはZ世代向けクリエイティブカンパニーFiom合同会社が運営しているZ世代同世代目線による分析で新たなインサイトを発掘、探求するZ世代特化の次世代型シンクタンクです。Z世代の実態や価値観をZ世代当事者たちが様々な観点から把握・分析しています。時代の最先端をゆくZ世代の未知なる文化を解き明かし、時代を切り開く新たな価値観を探求しています。リアルZ世代起点でZ世代に届く共感を軸としたコミュニケーションやプロモーション設計に活用できる実践的なマーケティング情報を提供しています。
Fiom合同会社について

Z世代に特化したZ世代のクリエイティブカンパニー
メンバー全員がZ世代で構成されたZ世代に特化したクリエイティブカンパニーです。Z世代の創造性を基点としたZ世代目線のアプローチを実施しています。Z世代向け広告コミュニケーション領域の上流設計から制作・運用まで実行支援します。時代の最先端をゆくZ世代の感性を活かしたクリエイティブカンパニーです。
社名:Fiom合同会社
設立:2021年10月15日
代表:竹下洋平
出典元:Fiom合同会社












