株式会社電通(本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:佐野傑)は、日本における総広告費および媒体別・業種別広告費を推定した「2025年 日本の広告費」を発表しました。以下、その詳細をお伝えします。

この記事の目次

2025年日本の広告費の全体概要

2025年の総広告費は、年間を通じて8兆623億円(前年比105.1%)となり、2021年からの5年連続での成長を達成し、4年連続で過去最高額を更新しました。企業の良好な業績によるデジタル投資の加速や、大規模イベントの開催などが成長を後押しした形となっています。動画広告やSNS広告が大きく伸びたことにより、「インターネット広告費」が総広告費全体に占める割合は50.2%となり、初めて半数を超えました。一方、マスコミ四媒体広告費は2兆2,980億円(前年比98.4%)とほぼ横ばいの状況でした。

インターネット広告費は4兆459億円(前年比110.8%)となり、前年より3,942億円増加し、1996年の推定開始以来、初めて4兆円を突破しました。SNS上の縦型動画広告やコネクテッドTV(インターネットに接続されたテレビ受像機)などの動画広告需要の高まりが、市場全体の拡大に大きく貢献しています。

プロモーションメディア広告費については、インバウンド需要や大型イベント開催により人流が増加した結果、「屋外広告」や「交通広告」「POP」「イベント・展示・映像ほか」など、人の動きに関連する分野で伸長し、1兆7,184億円(前年比102.0%)と、3年連続のプラス成長となりました。特に「イベント・展示・映像ほか」は4,748億円(同111.2%)と、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)、東京2025世界陸上競技選手権大会(東京2025世界陸上)などの大型イベントが寄与し、二桁成長を記録しました。

日本の総広告費の推移

※2019年に「物販系ECプラットフォーム広告費」と「イベント領域」を追加推定しています(2018年以前の遡及修正は行っていません)。

媒体別広告費

媒体別広告費の概況

「日本の広告費」は、大きく以下の3つのカテゴリーに分類されます。

(1)マスコミ四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア広告費の合計。それぞれの広告費には制作費も含まれています)、(2)インターネット広告費(インターネット広告媒体費、物販系ECプラットフォーム広告費、インターネット広告制作費の合計)、(3)プロモーションメディア広告費(屋外、交通、折込、DM<ダイレクト・メール>、フリーペーパー、POP、イベント・展示・映像ほかの合計)です。

マスコミ四媒体広告費 2兆2,980億円(前年比98.4%)

「新聞広告費」「雑誌広告費」「ラジオ広告費」「テレビメディア広告費」を合わせたマスコミ四媒体広告費は、全体で2兆2,980億円(前年比98.4%)と、ほぼ横ばいの結果となりました。

インターネット広告費 4兆459億円(前年比110.8%)

動画広告を中心に成長し、総広告費に占める構成比は50.2%と初めて過半数に到達しました。「インターネット広告媒体費」は、二桁成長の3兆3,093億円(前年比111.8%)となりました。

マスコミ四媒体由来のデジタル広告費における「テレビメディア関連動画広告費」は、805億円(同123.3%)となり、前年に引き続き高い成長率を示しました。「物販系ECプラットフォーム広告費」は、オンライン通販のさらなる普及もあり、2,444億円(同112.5%)へと増加しました。「インターネット広告制作費」は、動画広告の制作本数の拡大もあり、4,922億円(同104.0%)へと増加しました。

プロモーションメディア広告費 1兆7,184億円(前年比102.0%)

インバウンド需要の拡大に伴い、「屋外広告」「交通広告」「POP」が増加しました。また、大阪・関西万博や東京2025世界陸上などの大型イベントの開催や、大型商業施設、ホテルなどの新装・改装、都市再開発などのプラス要因もあり、「イベント・展示・映像ほか」が二桁成長の4,748億円(前年比111.2%)となるなど、プロモーションメディア全体の成長に寄与しました。

マスコミ四媒体広告費の詳細

新聞広告費 3,136億円(前年比91.8%)

不透明な世界情勢や円安による物価高の影響などを受け、新聞広告出稿は伸び悩みました。第27回参議院議員通常選挙や大阪・関西万博、東京2025世界陸上などの開催は、広告費を押し上げるには至らず、通年では減少する結果となりました。

業種別では、「家電・AV機器」「精密機器・事務用品」「自動車・関連品」などが増加した一方、「食品」は前年比85.3%と前年に続き減少しました。回復傾向にあった「流通・小売業」も同88.7%となりました。

雑誌広告費 1,135億円(前年比96.3%)

紙の出版物推定販売金額は減少し前年比95.9%となり、内訳は書籍が同100.0%、雑誌が同90.0%となりました。電子出版市場は同102.7%と引き続き成長し、紙と電子出版を合わせた出版市場全体は同98.4%となりました(数字出典:出版科学研究所「季刊 出版指標」2026年冬号)。

業種別では、「金融・保険」や「官公庁・団体」など前年を上回る業種もありましたが、雑誌広告費シェアの高い「ファッション・アクセサリー」は前年比97.8%、「化粧品・トイレタリー」は同92.5%となりました。

出版社のコンテンツ制作力やファンベースマーケティングに対する関心が高まったものの、通年では前年比96.3%と減少しました。SNSなどでのデジタル展開は急成長期から一旦安定期に入り、読者イベントや販促ツール制作といったリアル回帰の動きが見られました。

ラジオ広告費 1,153億円(前年比99.2%)

さまざまな音声コンテンツを届ける音声メディアへの関心が引き続き高まっており、デジタルオーディオ広告は増加したものの、地上波ラジオ放送における広告市場は、通年で前年を下回りました。

業種別では、「情報・通信」(前年比125.7%)、「流通・小売業」(同120.0%)などが増加しました。

テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連) 1兆7,556億円(前年比99.7%)

テレビメディア広告費全体では、前年並みとなりました。

地上波テレビは1兆6,333億円(同99.9%)となりました。番組(タイム)広告費は、大阪・関西万博や東京2025世界陸上など大型イベントの開催に伴い好調に推移したものの、パリ2024オリンピック・パラリンピックなどの反動減を抑えるには至らず、通年では減少となりました。

スポット広告費は、消費行動の活性化などに伴い、「流通・小売業」「交通・レジャー」「情報・通信」ほかが好調に推移し、前年を上回りました。

衛星メディア関連は1,223億円(同97.5%)となりました。BS・CSともに、物価高による買い控えなどでテレビ通販市場が影響を受け、横ばいから緩やかな縮小傾向で推移し、前年を下回りました。

インターネット広告費の詳細

インターネット広告媒体費 3兆3,093億円(前年比111.8%)

前年同様、動画広告が堅調で全体を押し上げるとともに、ディスプレイ広告についても復調の兆しが見られました。特に、SNS上に加えて、インターネット回線を通じてコンテンツを提供するOTTサービス上の動画広告の需要の高まりが寄与しました。

マスコミ四媒体由来のデジタル広告費 1,651億円(インターネット広告媒体費の一部、同108.6%)

引き続き好調を維持し、前年を上回りました。

新聞デジタルは191億円(同97.9%)となりました。官公庁・金融・ECサイトやBtoB企業の出稿が目立ちましたが、新聞デジタル以外の動画広告への予算シフトなどの影響もあり、引き続き前年を下回りました。予約型広告は、ターゲティングによるディスプレイ広告や新聞広告に連動した商品、タイアップなどを中心に堅調でしたが、運用型広告は、PV(ページビュー)数の減少や単価低下の影響を大きく受けました。

雑誌デジタルは615億円(同96.5%)となりました。タイアップやオウンドメディア支援などのコンテンツ制作力を活かした領域は、引き続き底堅く推移したものの、運用型広告の単価下落やプラットフォーム側のアルゴリズム変更や、ユーザーのAI検索行動によるPV数の伸び悩みなどが影響し、前年を下回りました。

ラジオデジタルは38億円(同111.8%)となりました。前年に続き、podcast(ポッドキャスト)をはじめとする音声メディアでのデジタル展開が注目され、二桁成長となりました。また、ターゲットに合わせた出稿が可能なデジタルオーディオ広告への新規出稿数が増加しました。

テレビメディアデジタルは807億円(同123.4%)となりました。「テレビメディア関連動画広告」が805億円(同123.3%)と、前年に続き大きく増加しました。無料テレビ番組配信サービスでは、配信数上位を占めるドラマに加え、バラエティの視聴も増え、特に年末の漫才コンクール視聴数は前年比増となるなど、再生数・ユーザー数ともに過去最高を記録しました。スポーツのライブ視聴も定着し、各種大会の視聴数も増加しました。インターネットテレビサービスは、人気のリアリティショーやアニメなどにより、ユーザー数の定着が見られました。

物販系ECプラットフォーム広告費 2,444億円(前年比112.5%)

前年は緩やかな成長にとどまりましたが、2025年は二桁成長となり「再成長の局面」を迎えました。

物価高騰に対して、実質負担を抑える節約(セール、ポイントバックなど)を志向する生活者へのアプローチが増加しました。

インターネット広告制作費 4,922億円(前年比104.0%)

インターネット広告全体の成長に伴い、制作需要も前年に続き拡大しました。

中でも、ブランディングから購買、CRM(顧客関係管理)まで広い領域で動画活用が進み、動画関連が引き続き伸長しました。

プロモーションメディア広告費の詳細

屋外広告 3,042億円(前年比105.3%)

飲料、情報・通信を中心に、多くの業種で屋外広告利用が目立つなど、好調に推移しました。

短期看板は、繁華街に設置の大型ボードを中心に、SNSでの拡散を意識したインパクトのあるOOH展開が数多く見られました。屋外ビジョンは、引き続き渋谷・表参道など都市部繁華街の引き合いが活況でした。

ネットワーク型のデジタルOOH媒体については、広告取引や配信を自動化するプログラマティックDOOH(デジタル屋外広告)が本格普及の段階に入り、小売・流通業の店舗内サイネージなどリテールメディアへの連携も加速しました。

交通広告 1,736億円(前年比108.6%)

インバウンド需要の高まりで全国的に増加し、特に関西圏では、大阪・関西万博の開催に伴い、駅の大型デジタルサイネージが多く新設されるなど、大きく増加しました。

鉄道は、車内ビジョン、中づり、ステッカーなどの車両内の媒体が前年を上回りました。駅媒体は、引き続き大型デジタルサイネージへの出稿需要が高く、大都市を中心に駅のデジタルサイネージ新設の傾向が続いています。

バスは、大都市圏ではバス車体広告やバス停広告のニーズが強かった一方、ローカル圏はバスの車体数の減少で広告出稿も減少傾向でした。

空港は、インバウンド需要の拡大により、デジタルサイネージを中心に前年を上回りました。

タクシーは、AI関連サービスの訴求活性化でBtoB企業による出稿が増加したほか、BtoC企業の出稿も拡大しました。またコンテンツを活用した番組セールスも好調に推移し、大幅な増加となりました。

折込 2,354億円(前年比96.4%)

新聞購読率の減少や人件費、配送コストの高騰に伴う媒体単価の値上げの影響を受け、出稿量が前年を下回りました。

物価高の影響で節約志向が続く中、地域密着型店舗や高齢層向けの商材・サービスを中心に、訴求型広告としての活用が見られたほか、2025年7月の第27回参議院議員通常選挙に伴い出稿が増加しました。

業種別では、通信販売業、会員制個別宅配、旅行・宿泊業などが増加し、リサイクルショップや買い取り業も引き続き好調に推移しました。一方、教育・教養や自動車販売業などは減少しました。

DM(ダイレクト・メール) 2,708億円(前年比94.6%)

2024年10月の郵便料金改定などの影響で発送数や媒体を見直す動きもあり、前年を下回りました。

通販系企業を中心に、単発のキャンペーンタイプDMから、受け手とのコミュニケーションに配慮した商品同梱型のパーソナライズDMへの移行が見られました。

圧着はがきタイプのものから、ターゲットを絞った高付加価値タイプのDMと、QRコード・動画などを利用したオンラインでの完結が可能なデジタルとのハイブリッド運用がさらに進化しました。

通販系企業を筆頭に、高額商品や金融サービス、小売、通信などのDMが多く見られました。

フリーペーパー 1,056億円(前年比80.9%)

デジタル移行などに伴う休刊や廃刊により、減少しました。

冠婚葬祭や住宅・不動産関連の業種は増加傾向にありましたが、求人情報関連は減少しました。制作原価や人件費の高騰で広告単価を上げる動きも見られましたが、出稿件数の減少などが影響しました。

地域経済に密着した生活情報に関するニーズは高く、デジタル施策との連動による企画商品で、新規広告主の獲得を目指す動きも見られました。

※フリーペーパーは、タブロイド判タイプのフリーペーパー・雑誌タイプのフリーマガジン・電話帳の総称です。

POP 1,540億円(前年比103.8%)

実店舗での購買行動の増加で、消費者との直接のコミュニケーション接点となる売り場のPOPが増加しました。特に売り場訴求の要求が高い食品や日用品などは、物価高による価格改定への対応もあり、売り場戦略の強化が進みました。

一方、ECや流通業が持つメディアへの移行や、紙・資材などのコスト増、環境対策なども鑑み、広告主サイドの販促予算が抑制される動きも見られました。

イベント・展示・映像ほか 4,748億円(前年比111.2%)

2025年は大阪・関西万博やJapan Mobility Show 2025、東京2025世界陸上など大型イベントの開催が重なり、二桁成長となりました。

また、大型商業施設、ホテルなどの新装・改装、都市再開発による需要増も大きなプラス要因となりました。

さまざまな企業がリアル体験の有用性を再確認し、イベントや展示により顧客接点を創出する動きが活発化しました。単なる商品展示から、商談の質を高めるためのコミュニティ形成やテクノロジーを駆使した高度な体験設計が重視される場へと役割がシフトしました。

一方、人件費や物流費、材料費などの高騰により、引き続き厳しいビジネス環境にあることは変わりません。

シネアド(シネマ・アドバタイジング)は、邦画の大ヒット作がけん引し、前年を上回りました。

その他の広告関連市場

※「日本の広告費」市場には含まれません

商業印刷市場は1兆7,500億円(前年比99.4%)となりました。デジタル広告の拡大で紙媒体を取り巻く環境は厳しかったものの、原材料費や物流費などの高騰により価格転嫁は進みました。短納期、小ロット、可変データといった需要の増加で、さらにデジタル印刷の導入が加速し、印刷業各社のデジタル対応力の差が受注を左右する局面となっています。

ポスティング市場は1,497億円(前年比101.1%)となりました。地域を限定したポスティングなどは都市圏を中心に伸長しました。リサイクルショップや買い取り業をはじめ、官公庁・自治体の広報関連、飲食・小売業、不動産・住宅設備など、他媒体の補完機能としても幅広い業種で活用されました。人手不足や環境問題などへの対応のため、事業者の再編が進みました。

DM制作関連市場は1,121億円(前年比100.2%)となりました。DM発送数は減少したものの、資材高騰などにより制作周辺領域の関連市場は前年並みとなりました。ウェブ誘導型の低コストDMと、高額商品やBtoB向けのプレミアム型DMの二極化が進んでいます。

業種別広告費について

衛星メディア関連を除くマスコミ四媒体のみの業種別広告費では、「官公庁・団体」「エネルギー・素材・機械」「教育・医療サービス・宗教」「ファッション・アクセサリー」など8業種が増加しました。

出典元:株式会社電通「2025年 日本の広告費」

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ