株式会社帝国データバンクが、2026年3月以降の飲食料品における価格改定の動きと今後の見通しについて詳細な分析を実施しました。
調査結果のポイント
2026年3月における飲食料品の価格改定は、総計684品目に及んだとのことです。
食品カテゴリー別に見ると、切り餅や米飯系の冷凍食品などの「加工食品」が304品目で最多となっています。
価格改定の背景としては、特に原材料をはじめとする物的要因による値上げが大半を占める結果となりました。
価格改定の勢いは落ち着きを見せていますが、円安が長期化すれば再び食料品価格を押し上げる懸念があるとしています。
[注記]
品目数および価格改定は、各企業の発表データに基づいています。また、年内に複数回価格改定を実施した品目については、それぞれを別の品目として計上しています
値上げ率については、発表された時点での最大値を採用しています。なお、価格は据え置きで内容量を減らす「実質的な値上げ」も対象に含まれています
2026年3月の値上げは684品目、3カ月連続で前年比減少
主要食品メーカー195社を対象とした調査によると、家庭向けを中心とする3月の飲食料品価格改定は684品目となり、1回あたりの平均改定率は月平均で14%となりました。単月の価格改定品目数が1,000品目を割り込むのは2025年11月以降で5カ月連続となり、値上げラッシュが本格化した2022年以降では初めての状況です。さらに、前年3月と比較すると1,845品目・73.0%の大幅な減少となり、今年1月から3カ月連続で前年を下回る推移となっています。3カ月連続で前年を下回るのは、2024年8月から10月以来、約1年5カ月ぶりのことです。飲食料品における価格改定の動きは、前年と比較して小康状態が続いています。


2026年3月の価格改定を食品分野別に集計した結果、切り餅や米飯系冷凍食品、パスタ調理品などを中心とする「加工食品」が304品目で最も多い結果となりました。「酒類・飲料」は224品目となり、果汁飲料や緑茶のPET飲料などが対象となっています。「調味料」は72品目で、主にドレッシング類が中心となりました。
2026年における価格改定は、1月から6月までの累計で4,493品目となり、年間平均の改定率は15%に達しました。年間の価格改定予定品目が1万品目を超えていた前年同時期(2025年2月28日時点で10,797品目)と比較すると、2026年2月時点では予定を含めても5,000品目に届かず、前年比で約6割減のペースで推移しています。ただし、菓子類などでは「減量値上げ」が散見されるほか、価格改定する商品を選別する動きも見られます。また、コメの価格高騰を中心として、米菓などコメを原料とする飲食料品では値上げ圧力が根強く残っており、すり身やアフリカ豚熱の影響を受けた豚肉類など、関連する食料品では「原材料高」による影響を受けた価格改定が一部で見られました。ただし、全体としては総じて価格改定の動きが鈍化傾向にあり、単月で1,000品目を超えるのは6月までで4月のみ(2,516品目)にとどまりました。
価格改定の要因を見ると、特に原材料などの物的要因による値上げが大部分を占めています。「原材料高」の影響を受けた価格改定は99.2%となり、集計を開始した2023年以降で最も高い水準となりました。国内だけでなく、海外市況の高騰を受けて価格改定に踏み切った商品が前年と比較して目立つ結果となっています。「包装・資材」は69.8%と約7割まで上昇し、2023年以降で最高水準となったほか、「人件費」に起因する値上げも60.7%と6割を超え、過去4年間で最高水準での推移となりました。一方で、トラックドライバーの時間外労働規制などが要因となった輸送コストの上昇分を価格に反映する「物流費」に起因する値上げは66.5%となり、前年通年の78.6%から大幅に低下しました。電気・ガス代などの「エネルギー」は50.1%、「円安(為替の変動)」は3.3%となり、いずれも前年を下回り、過去4年間で最も低い水準となりました。
2026年の見通し:「値上げラッシュ」一服の傾向も年後半は「円安リスク」再燃の懸念
現在の状況を見ると、豚肉や鶏卵など一部の原材料では供給不足が継続しているものの、「小麦」「食用油」など、幅広い原材料では記録的な不作や在庫不足を要因とする供給ショックによる値上げは落ち着きつつあります。一方で、原油価格高騰に伴う樹脂や紙などの原料コストやエネルギー費の上昇、物流・人件費の上昇を受けた包装資材の値上げや、直接的な人件費の上昇を要因とした価格改定へとシフトしつつあり、飲食料品分野に限って見れば、賃金と物価が持続的に上昇する内生的・粘着的な物価高のトレンドが継続しています。


一方で、3,000品目を超える大規模な値上げラッシュは2025年10月(3,161品目)以降発生しておらず、前年3月(2,529品目)と比べても大幅に減少するなど、飲食料品の価格改定は小康状態で推移しています。食料品の分野によっては、価格改定による消費者の買い控えや低価格のプライベートブランド(PB)への流れなど、購買力の低下を背景とした需要の減退も見られており、コスト増加分を販売価格へ転嫁できる環境が2026年も持続するかが注目されるポイントとなります。
今後の飲食料品における価格改定は、短期的には前年を大幅に下回る小康状態が継続するものと見られています。ただし、与野党で政策の争点となっている「消費税減税」については、消費者の家計負担軽減と購買意欲の拡大が期待できる反面、財政悪化への警戒感から円安圧力も高まることが予想され、年後半にかけて「円安リスク」が価格改定の動きへ反映されるかが焦点となります。現状では「円安」を理由とした価格改定の割合は3%にとどまっていますが、円安の長期化が輸入物価を押し上げ、再び食料品価格の上振れ要因となる可能性も考えられるとしています。
出典元:株式会社帝国データバンク プレスリリース












