
株式会社東京商工リサーチの発表によると、2025年における「休廃業・解散」企業(以下、休廃業企業)は6万7,210件(前年比7.2%増)となり、7万件の大台が目前に迫っていることが明らかになりました。コロナ禍の2021年を底として、4年連続で増加傾向を強めており、過去最多の記録更新は3年連続となっています。
2025年の企業倒産は1万件を超える見込みで、休廃業・解散と合算した市場からの退出企業数は7万7,000件台(前年7万2,701件)に達し、過去最多を更新する見通しとなっています。企業倒産については金融支援や準則型私的整理手続きの拡充、利用促進などにより増加幅は抑制されているものの、休廃業・解散は天井が見えない状況が続いています。
2025年の休廃業企業における代表者年齢を見ると、60代以上が90.6%に到達し、初めて9割の大台を超えました。特筆すべきは80代以上の比率が34.0%となり、初めて30%を超えたことです。後継者不在の中で事業を継続してきた企業の退出が本格的に始まっています。少子高齢化が進行する中で、この傾向を食い止めることは困難であり、代表者が高齢の企業を中心として休廃業・解散は2026年以降も増加する可能性が高いと考えられます。事業承継に向けた施策は推進されていますが、代表者自身が承継を希望していないケースや、支援する側のマンパワー不足の問題もあり、休廃業・解散の件数を抑制するのは難しい状況です。
赤字企業率も5割程度が継続しており、休廃業企業は事業価値の毀損にも直面しています。赤字の累積は法的整理(倒産)に繋がりやすく、業績が停滞し、代表者が高齢の企業への早期のアプローチがこれまで以上に重要性を増しています。
※本調査は、東京商工リサーチ(TSR)が保有する企業データベースから、「休廃業・解散」が判明した企業を抽出したものです。「休廃業・解散」は、倒産(法的整理、私的整理)以外で、事業活動を停止した企業と定義されています。
この記事の目次
業歴別では業歴の浅い企業の比率が上昇
業歴別の構成比を見ると、最多は30年以上40年未満の17.9%(前年19.7%)でした。一方で5年未満は14.4%(同12.3%)となり、前年より2ポイント以上の増加を記録しています。
産業別ではサービス業他が32.7%で最多
10産業のうち農・林・漁・鉱業、製造業を除く8産業で増加が見られました。最多は飲食業や娯楽業などを含むサービス業他の2万1,961件(構成比32.7%、前年比9.2%増)となりました。続いて建設業が1万283件(同15.3%、同9.5%増)、小売業が7,903件(同11.8%、同9.7%増)という結果になっています。
増加率のトップは情報通信業(4,189件)の15.2%でした。
産業を細分化した業種別(中分類)では、ネット通販などの無店舗小売業が408件(前年比56.3%増)、ミニスーパーなどの各種商品小売業が217件(同30.7%増)で顕著な増加を示しています。

損益別では赤字率が高止まり
休廃業、解散の直前期の決算(判明分)が分析されました。
2025年は損益(最終利益)が黒字の企業率は52.8%(前年比1.3ポイント増)、赤字率は47.2%となりました。
2024年には黒字率が過去最低、赤字率が最悪を記録していましたが、2025年は若干の改善が見られました。しかしながら、ほぼ半数が赤字に沈むという厳しい状況が継続しています。
2000年の調査開始以降、黒字率は70%前後を維持していましたが、コロナ禍の2021年に初めて60%を下回り、2022年以降は50%台前半が常態化しています。
賃上げ機運の継続や原材料価格の高騰、金利上昇などを考慮すると、2026年の黒字率は史上初めて50%を下回り、赤字・黒字率が逆転する可能性があります。
※直前期は、休廃業・解散から最大2年業績を遡り、最新期を採用しています。

代表者年齢は80代以上の構成比が過去最高を更新
休廃業企業の代表者の年齢別(判明分)では、70代が最も多く38.6%(前年41.6%)を占めました。次いで80代以上が34.0%(同26.2%)となっています。80代以上が3割を超えたのは今回が初めてです。
60代以上は90.6%(前年87.6%)に達し、初めて90%を突破しました。
一方で、20代以下は0.1%(前年0.1%)、30代は0.4%(同0.5%)にとどまっています。
休廃業企業の代表者の平均年齢は74.9歳(前年72.6歳)、中央値は76歳(同74歳)となりました。
法人格別では株式会社が最多
法人格別では、最多は株式会社の3万5,685件(構成比53.0%)でした。続いて有限会社が1万4,085件(同20.9%)、合同会社が6,135件(同9.1%)となっています。
株式会社は初めて3万5,000件台に到達しました。2015年に1,092件だった合同会社は6,136件(構成比9.1%)に達し、6倍近くに膨張しています。6,000件を超えたのは初めてのことです。
一般社団法人は1,778件(構成比2.6%)でした。
まとめ
2025年の「休廃業・解散」企業は6万7,210件(前年比7.2%増)となり、過去最多を記録しました。企業倒産は1万件超の見込みで、倒産と休廃業・解散を合わせた市場からの「退出企業」は7万7,000件台と過去最多の見込みとなっています。
春闘での賃上げ機運の継続や最低賃金の引き上げ、原材料価格の高騰、円安の常態化、日銀の金利引き上げなど、近年になって企業の外部環境は激変しています。このため、これまでの低金利時代に構築されたビジネスモデルや収益構造では対応できなくなっています。
経営者が高齢であったり業歴の長い企業ほど、大胆な事業変革に踏み切れないまま、事業価値の毀損に陥るケースも少なくありません。事業承継を希望しても買い手が見つからなかったり、候補が現れても資産査定で長年滞留した在庫や売掛の評価替えから実態財務の劣化が表面化することもあります。
休廃業企業のうち、代表者年齢が80代以上の割合が初めて3割を超えました。経営に邁進しながらも、事業承継やマーケットの変化に対応できず市場からの退出が本格化しています。廃業後の生活保障と一体になった社会保障など「円滑な廃業」への取り組みが急務となっています。
一方で、業歴5年未満の休廃業・解散が14.4%に達し、前年比2.1ポイント増加しました。コロナ禍からポストコロナの時期にかけて創業した企業の脱落も顕著になっています。創業支援に向けた取り組みは盛んですが、事業計画や創業後の伴走支援に抜け穴はないかなど、振り返りも重要です。
出典元:株式会社東京商工リサーチ プレスリリース












