【海外ニュース】TikTok Shop、欧州で出店者手数料を引き上げ/ドイツのクリスマス商戦、Amazonが圧倒的存在感/英国消費者、購買プロセスをマーケットプレイスに依存

欧州のEC市場では、プラットフォーム主導の競争が一段と激しさを増しています。TikTok Shopによる手数料改定、ドイツ市場でのAmazonの支配力、英国におけるマーケットプレイス依存の進行など、各国で異なる動きが見られます。本稿では、3つのニュースから欧州ECの現在地を整理します。

TikTok Shop、欧州で出店者手数料を引き上げ

欧州5か国で販売手数料を9%へ統一

TikTokは、欧州で展開する「TikTok Shop」において、出店者向け販売手数料を引き上げる方針を明らかにしました。対象はドイツ、スペイン、フランス、イタリア、アイルランドの5か国で、これまで一律5%だった手数料は、2026年1月8日以降9%に変更されます。この水準は、先行して展開されてきた英国市場と同等であり、導入期を終えたフェーズに入ったことを示す動きといえます。

新規出店者・一部カテゴリーには優遇措置も

手数料引き上げは一律ではなく、特定のサブカテゴリーでは7%に抑えられるほか、2026年1月8日以降に参加する新規出店者については、最初の2か月間に限り4%の優遇手数料が適用されます。

TikTokは本施策について、「コンテンツ主導型ECとして“未来のマーケットプレイス”を構築するための成長戦略の一環」と説明しており、プラットフォーム機能の拡充や体験価値向上への投資を進める姿勢を示しています。

日本の事業者は手数料上昇を前提にした設計が必要か

日本でもTikTok Shopが立ち上がる中、欧州の事例は「初期優遇は長く続かない」ことを示しています。出店コストが上昇した後も販売を継続できるかどうかは、ライブ配信やショート動画を含めたコンテンツ設計力と、外部モールとは異なる運用リソースの確保が鍵となります。単なる販路追加ではなく、マーケティングチャネルとしての位置付けを明確にした上での参入判断が求められそうです。

参照:TikTok Shop raises seller fees in Europe

ドイツのクリスマス商戦、Amazonが圧倒的存在感

ギフト購入者の66%がAmazonを利用

ドイツでは、クリスマスギフト購入におけるオンライン依存が一段と進んでいます。ニュルンベルク市場意思決定研究所(NIM)が約1,000人の消費者を対象に行った調査によると、ギフト購入者の66%がAmazonを利用していることがわかりました。一方、実店舗で購入すると回答したのは全体の3分の1にとどまり、百貨店を利用する人は20%まで低下しています。

情報探索の起点としてのAmazon

Amazonの影響力はオンライン購入にとどまりません。ドイツでは、実店舗で購入する場合であっても、事前にAmazonで商品情報やレビューを確認する行動が一般化しています。つまりAmazonは「購入の場」であると同時に、「情報インフラ」として機能しており、オンラインとオフライン双方の消費行動に影響を及ぼしています。

検索前提の購買行動を意識した情報設計

日本市場でも、Amazonや大手モールが「比較・検討の起点」となる傾向は強まっています。自社ECへの送客を狙う場合でも、モール上の商品情報やレビューが購買判断に与える影響は無視できません。モールは売る場所ではなく“比較される場所”という前提に立ち、情報の網羅性やレビュー管理を含めた設計が重要になります。

参照:Two-thirds of Germans shop for gifts on Amazon

英国消費者、購買プロセスをマーケットプレイスに依存

高額商品でもマーケットプレイスが主戦場に

英国では、マーケットプレイスが購買行動の中心的な役割を担っています。Akeneoが8か国1,800人を対象に実施した調査によると、90ユーロを超える高額商品の購入でも、30%の消費者がマーケットプレイスを利用していました。これは、実店舗やブランド直販サイトを上回る水準です。

商品情報とレビューが信頼の源泉

マーケットプレイスが支持される理由として、商品情報とレビューの質が挙げられます。英国の消費者の52%が「マーケットプレイスの商品情報は非常に優れている」と回答しており、小売事業者の自社サイト(40%)やディスカウントストア(39%)を大きく上回っています。比較、検証、他者評価といった意思決定プロセスが、1つの場で完結している点が強みです。

商品情報は“資産”として管理すべき

調査では、過去12か月で63%の消費者が「情報不足や誤り」を理由に購入を断念したと回答しています。日本でも、商品スペックや説明文を単なる付随情報として扱うのではなく、購買体験そのものを左右する資産として管理・更新していく姿勢が不可欠です。特に生成AIや比較機能が進化する中では、情報の正確性と一貫性が、ブランドの可視性を左右する要素になっていくと考えられます。

参照:UK shoppers rely on online marketplaces

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