
Shopify(ショッピファイ)の日本法人であるShopify Japan株式会社(本社:東京都渋⾕区、カントリーマネージャー:馬場道生)が、最新の大型アップデート「Winter '26 Edition -RenAIssance」を発表しました。
今回で8回目となるEditionアップデートでは、コマース体験全体にAIを統合することを中心に、150以上の機能が新たに追加されています。このアップデートにより、日本を含む世界中の事業者は、より効率的な運営や業務遂行が可能となり、顧客体験の質を高める強力なツールを利用できるようになります。
この記事の目次
Sidekickの大規模アップデート
Winter '26 Editionの主要なアップデートの一つが、ShopifyのAI搭載コマースアシスタント「Sidekick」です。すでにグローバルで1億件以上の事業者との会話に活用されているSidekickが、今回のアップデートでさらにパワーアップし、日常業務をより積極的にサポートする存在へと進化しました。
Sidekickに追加された新機能は以下の通りです。
- パーソナライズされたホーム画面での提案:Sidekickが事業者のダッシュボード上に優先度の高いタスクを表示し、重要な業務に優先的に対応できるようサポートします。
- 管理アプリの生成:事業者は、自然言語で必要な内容を伝えるだけで、コーディング不要で機能的な管理アプリを作成できるようになります。
- 自然言語によるテーマカスタマイズ:複雑な設定メニューを操作せずに、自然言語でテーマ設定を変更することが可能になります。
- プロンプトライブラリ:Sidekickのプロンプトをスキルとして保存、再利用、共有できるようになり、繰り返し作業やチーム内での活用がスムーズになります。
- 自然言語によるShopify Flowの自動化:自然言語での記述だけでShopify Flowの自動化ワークフローを生成できるようになり、業務効率化が図れます。
- AI画像編集:ファイルエディター内で高度なAI画像編集が可能となり、高品質な商品画像をより迅速に作成できるようになります。
これらの機能強化により、Sidekickは事業者のビジネス運営において、より直感的で賢いパートナーになります。
Shopify エージェンティック・ストアフロント:AIとの会話から商品を発見
「Shopify Agentic Storefronts」は、ChatGPT、Perplexity、Microsoft Copilotなどのプラットフォーム上で、事業者の商品をAIとの会話の中に直接表示させることを可能にする新機能です。管理画面で一度設定するだけで、複雑な統合作業やプラットフォームごとのアプリ導入は不要となり、顧客が必要とするタイミングと場所で自然に商品を表示させることができます。
消費者は会話の流れを中断することなく購入でき、事業者側は商品がどのプラットフォームにどのように表示されるかをコントロールできます。成果データは管理画面に直接反映されるため、効果測定も容易です。会話型コマースが広がりつつある現在、Shopify Agentic Storefrontsはこの新しい潮流に対応する重要な機能となっています。
SimGym:AIによるストアフロントシミュレーション
Winter '26 Editionでは、「SimGym」というリサーチプレビューアプリも導入されました。事業者はこのツールを使用して、シミュレーションされた顧客行動に基づいてアイデアの検証やテストを行うことができます。
SimGymは、さまざまな顧客タイプを表現するAIショッパーエージェントを使用して、実際のショッピング体験をシミュレートします。これにより、事業者はテーマのバリエーションを比較したり、ユーザー体験上の潜在的な問題を特定したり、ストアの変更がパフォーマンスに与える影響を事前に確認したりすることが可能になります。
このツールを活用することで、実際のトラフィックが少ない場合でも、新しいビジネスアイデアを迅速に検証できるようになります。なお、SimGymは現在グローバルでリサーチプレビューとして提供されており、日本での提供時期は現時点では未定となっています。
Rollouts:業務フローの中で実験と最適化を実現
「Rollouts」は、実験機能をShopifyプラットフォームに標準搭載し、事業者が自信を持って検証と最適化を行えるようにする機能です。
この機能により、変更のスケジューリング、実験の実施、データに基づく意思決定を日常の業務フローの中でスムーズに行うことが可能になります。実際の顧客データを活用することで、購入体験の改善、コンバージョン率の向上、そしてビジネスの成長を加速させることができます。
越境利益インサイトレポート
Shopifyは新たに「越境利益インサイトレポート」をグローバルで導入します。このレポートにより、関税、税金、配送調整が利益率にどのような影響を与えているかを可視化できるようになり、事業者はより的確な国際価格設定とフルフィルメント戦略を立てることができるようになります。
開発者向けAIネイティブツール
Shopifyは、AIネイティブな開発プラットフォームを拡張し、日本の開発者やパートナーがより迅速かつ柔軟に開発できるよう支援しています。
主な強化点は以下の通りです。
- エンドツーエンドのAIサポート:開発者はAIエージェントを使用して、開発ストアの作成、アプリのスキャフォールディング、GraphQL操作の実行、検証済みコードの生成などを行うことができます。
- 自然言語インターフェース:開発者は自然言語で要件を記述するだけで、実用的で本番環境に適したソリューションを得ることが可能になります。
- MCP UIコンポーネント:商品詳細ブロックやバリエーション選択などの事前構築されたインタラクティブなコマースコンポーネントを活用することで、アプリやストアフロント間で一貫したユーザー体験を実現できます。
- Shopify Catalogへのアクセス:Shopify全体の大規模な商品データをアプリやエージェントに統合し、より優れた検索および発見機能を実装することができます。
これらのツール強化により、日本の開発者は初期設定や保守にかかる工数を削減し、より価値の高い独自のコマース体験開発に集中できるようになります。
なお、Winter '26 Editionで発表された一部の機能はグローバルで展開されているものの、現時点では日本国内での提供が開始されていないものも含まれています。Shopify Japanでは、これらの機能の国内展開について検討を進めており、準備が整い次第、あらためて案内される予定です。
Shopify関係者のコメント
Winter '26 Edition-RenAIssanceについて、Shopify Japan カントリーマネージャーの馬場道生氏は次のように述べています。
「Shopifyは、コマースの未来を見据えて設計されたプラットフォームです。そして今、その未来は、事業者と顧客の双方の体験において、AIによって一段と加速しています。お客様がオンラインや実店舗、ゲーム内、さらにはAIを介した体験など、あらゆる場所で買い物をする時代において、私たちは、事業者の皆様がどこにいても一貫して優れたカスタマージャーニーを提供できるよう支援していきます。今回のEditionを通じて、日本の事業者の皆様が、コマースの可能性をさらに押し広げていかれることを楽しみにしています。」
また、Shopifyのプロダクト担当VPのVanessa Lee氏も次のようにコメントしています。
「今回のエディションで"RenAIssance(ルネAIサンス)"というテーマを選んだのは、進歩、勢い、勇気、新たな始まり、そして可能性の再定義を象徴しているからです。プラットフォーム全体にわたって150以上のアップデートを盛り込むことで、マーチャントや開発者が最新のテクノロジーとAIの進化を最大限に活用できるよう設計しています。これらの多くは、1年前には実現不可能だったものです。今回のEditionは、Shopifyが掲げる『すべての人にとってコマースをより良いものにする』というミッションの実現方法そのものを、あらためて再定義する内容になっています。」
Shopifyを利用する企業からのコメント
アメアスポーツジャパン株式会社 ARC'TERYX eCommerce Managerの須田康平氏は、次のようにコメントしています。
「Sidekick、大変便利に活用させていただいております。主に売上分析や顧客行動の分析に活用しており、データ分析のハードルが大幅に下がり、分析にかける時間やデータ作成の時間を大幅に削減できています。自然言語で質問してそのままレポートの作成までできる仕様は非常に便利で、Sidekick経由で作成したレポートを使用することで、レポート機能自体の理解も深めることができました。今後は施策提案などにも積極的に使用していきたいと考えています。」
株式会社土屋鞄製造所 取締役の沼田雄二朗氏は、次のようにコメントしています。
「Sidekickは、マルチブランドを運営する弊社に分析の民主化をもたらしてくれました。専門的なスキルを持つメンバーに頼らずとも、各ブランドのオペレーター、マーケター、マーチャンダイザー、デザイナーなどが、それぞれの問いに対する答えを自力で得られるようになり、自律性が大きく高まりました。また、Shopifyの新機能についても、Sidekickを通じて理解を深めることができるため、施策の検討から実行までのスピードが大幅に改善しています。これまで高機能なカートシステムの民主化を実現してきたShopifyならではの進化だと感じています。」
Shopifyについて
Shopify(ショッピファイ)は、世界トップクラスのコマースプラットフォームやコマースに不可欠なサービスを提供しています。起業家から中堅中小企業、大手企業まで、あらゆる規模の小売業のコマースの立ち上げからマーケティング、事業拡大、運営までを単一のプラットフォームで実現します。
世界175カ国以上で展開され、「すべての人に、より良いコマース体験を」のミッションのもと、スピード、信頼性、セキュリティを重視した設計のプラットフォームとサービスにより、オンラインや実店舗、あるいはその融合された場所でも、世界中の顧客に寄り添った満足度の高いお買い物体験を実現しています。
国内ではDAISO、生活の木、Allbirds、KANADEMONO、PAUL & JOEなど多くのブランドに利用されています。
出典:Shopify Japan株式会社 プレスリリース











