
株式会社PR TIMES(本社:東京都港区、代表取締役:山口 拓己、東証プライム:3922)は2025年11月28日(金)、同社が運営するプレスリリース配信サービス「PR TIMES」において、2025年1月1日〜2025年10月31日に企業から発表されたプレスリリース総計38万2296件を対象とした分析結果を発表しました。この調査では、データ分析と総括、業界分析と各種ランキングなどが明らかにされています。
この記事の目次
総括|キーワードランキング分析担当より
2025年の企業発表では、「AI」と「万博」に関連するワードが急上昇していることが明らかになりました。特に「AIエージェント」は昨年45件から57倍超の2580件となり、関連する新しいキーワードも次々と登場しています。
また、「外国人材」に関するキーワードが増えるなど、「人手不足」の傾向が引き続き色濃く出ており、「AI活用」に加え、「業務効率化」や「DX推進」が推し進められている様子が急上昇ランキングからもうかがえます。
さらに、「万博」から派生して「大阪」のキーワード発信も増加しており、周辺エリアの企業活動が活発化し発表にも繋がったことがわかりました。

「PR TIMES」では、プレスリリース発表の際に企業が最大10個のキーワードを登録することができるとのことです。2025年1~10月に発表された総計38万2296件のプレスリリースには、46万7010種のキーワードが登録されていました。今回の分析では、件数による順位だけでなく、過去の件数との比較や月別の推移、キーワードごとの詳細な発表内容の分析から、2025年の企業活動の潮流や変遷、流行の兆しがキーワードを通して明らかにされています。
対象期間:2025年1月1日~2025年10月31日
集計対象:PR TIMESプレスリリース38万2296件
発表項目:2025年総合&月別キーワードランキング、注目キーワード、業界別分析 等
発表日:2025年11月28日
発表者:株式会社PR TIMES

「AI」は僅差の年間総合2位、急上昇では上半期に続きAI関連ワードがTOP3

上半期の発表の勢いそのままに、2023年以降の上昇傾向があった「AI」は、急上昇ワードとして前年比1.68倍でランキング1位となりました。急上昇ランキングでは、2位「生成AI」が前年比+3579件(1.63倍)、3位「AIエージェント」が前年比+2535件(57.3倍)と、上半期と同じ並びながらもさらに上昇傾向が強まっています。
「業務効率化」は前年比+2021件で4位となり、5位の「万博」を上回る上昇を見せました。これは13位の「AI活用」や15位の「DX推進」といったキーワードと併用されることも多く、企業の働き方の生産性向上に関連する商品やサービスが多く発表されていることがわかります。
5位の「万博」と6位の「大阪・関西万博」は併用されるケースがほとんどで、パビリオンへの出展や協力など今年を象徴するイベントへの関与を発表する企業が多く見られました。さらに、7位に「大阪」がランクインしており、お土産や飲食店、宿泊施設など周辺の経済へポジティブに影響し、企業活動が活発化していることが発表件数の増加からも読み取れます。
ネクストAI関連ワード「AX」「AIO」…企業発表の傾向は、相談相手からビジネスパートナーへ
日々変化するAIを取り巻く環境を反映するように、企業発表においても件数増加だけでなく新たなキーワードが次々と登場しています。
AI関連のキーワードとして新たに使われ始めたものも多く、AIを活用した開発手法である「AI開発」(2024年:154件→2025年:403件で2.61倍)、SEOとともに重要視され始めている「AIO」(2024年:5件→2025年:165件で33倍)、AIトランスフォーメーションの略称である「AX」(2024年:24件→2025年:191件で7.95倍)など、これまでのビジネスシーンで活用されてきたワードの派生系のようなキーワードの出現も目立っています。そのほかにも「AI面接」「医療AI」「AI創薬」といった多分野での活用を示すキーワードも増加傾向にあるようです。「AI〇〇」「〇〇AI」のようにAIと何かを掛け合わせたワードは、イメージがつきやすく今後も様々な分野で新たなワードが登場していくと考えられます。
また、「生成AI」や「LLM」といった人間の要求を受けて回答する機能を活用するAIよりも、「AIエージェント」や「AI活用」のキーワードが前年比で大きく増加しています。これは、AIの位置づけが対話による相談相手から、ビジネスパートナーとして業務を代行してくれる存在に変化していることをプレスリリース件数から読み取ることができます。


月別キーワードランキング発表|1位は「イベント」と「AI」が占める

月別のランキングでは、総合1位の「イベント」2位の「AI」がほとんどの月で1,2位を占める中、2月の2位には「新商品」がランクインしました。SS(Spring Summer)、AW(Autumn Winter)と呼ばれるシーズン新商品の発表時期である2月、8月、9月は「新商品」が上位に来ていることがわかります。
急上昇ランキングで4位だった「業務効率化」は10月に17位で初のTOP20入りを果たしました。それ以前も1月:25位、2月:32位、3月:29位、4月:24位、5月:24位、6月:21位、7月:21位、8月:22位、9月:22位と、着実に順位を上げてきていたことがわかります。
件数を伸ばすキーワードがある一方で、2022年には総合1位となり企業発表の定番となったと思われた「SDGs」は、今年はTOP20内で唯一前年比で件数減となっており、月別順位も10カ月中5カ月のみが10位以内という結果でした。ただし、安定して上位にランクインしており、大きなブームは去ったものの、引き続き企業発表での活用は継続していることがうかがえます。
また、例年安定して上位にある「プレゼント」と「ギフト」は、いずれも新商品の利用シーンの一つとして提案することを目的に、発売の発表に際して使用されてきました。順位では大きな変化がないように見えますが、件数では興味深い変化が見られます。「プレゼント」が2022年:5091件、2023年:5707件、2024年:4945件、2025年:5452件と上下する一方で、「ギフト」は2022年:3568件、2023年:4047件、2024年:4066件、2025年:4773件と、その差を徐々に縮めるように右肩上がりを続けています。

この2つのワードは、多くのプレスリリースで共通して使われることが多いものの、企業から生活者に向けて商品提供を伴うキャンペーンなどの場合には「プレゼント」のみが使われることが多く見られます(「キャンペーン」のキーワードと併用される件数は「プレゼント」が1689件なのに対し「ギフト」は252件)。これが「プレゼント」の件数が多い理由と考えられます。一方で、「ギフト」は急上昇キーワードでも12位になった「体験」消費商材でも使用されるケースが増えているほか、「クリスマス」や「ホリデーシーズン」、「バレンタイン」「母の日」といった季節イベントの贈り物に関する発表において単独で使用されるケースが見られ、その件数の差を徐々に埋めています。今後は「ギフト」が「プレゼント」以上に一般的に使用されるようになる可能性もあるようです。
また、このような「バレンタイン」「母の日」「クリスマス」といった季節イベントが少ない夏場には、相対的に「プレゼント」「ギフト」に関連する発信件数が少ない傾向が見られました(「プレゼント」1月:16位、2月:15位、3月:17位、4月:12位、5月:17位、6月:19位、7月:27位、8月:25位、9月:23位、10月:18位/「ギフト」1月:19位、2月:20位、3月:25位、4月:16位、5月:20位、6月:28位、7月:43位、8月:31位、9月:24位、10月:22位)。
2025年の上昇キーワード&2026年の注目キーワード
急上昇ランキングで紹介されたキーワード以外の2025年に発信件数が増加したキーワードと、そこから予測される2026年に発信件数増加が見込まれる注目キーワードについても分析されています。PR TIMESによると、2023年に注目キーワードに挙げられた「人手不足」は前年比+500件で急上昇ランキング18位に、2024年に挙げられた「ショートドラマ」は2025年に562件(前年比+393件、3.33倍)と、実際に増加していることから、一年の企業発表の傾向から未来の発表トレンドを予測することが可能だとしています。
上昇キーワード1 「推し活」関連ワード
| キーワード | 2025年件数 | 2024年件数 | 増加数(増加率) |
|---|---|---|---|
| 推し活 | 1337件 | 891件 | 446件(1.5倍) |
| フィギュア | 1293件 | 858件 | 435件(1.51倍) |
| POPUP | 724件 | 443件 | 281件(1.63倍) |
| 香水 | 691件 | 441件 | 250件(1.57倍) |
| ぬいぐるみ | 690件 | 417件 | 273件(1.65倍) |
「推し活」が流行語として広く知られるようになった2021年末以降、企業発表でも使用されるシーンが年々増加しています。2021年:46件、2022年:312件、2023年:618件、2024年:891件と推移しており、その勢いはとどまることなく、新たな行動様式としてより一般的になっていることがうかがえます。2025年も前年比+446件で1.5倍に増加しました。その対象や形式とともに関連するキーワードも広がっており、「フィギュア」や「ぬいぐるみ」に加え、推し活対象をイメージした「香水」なども多く発売され、件数を伸ばしました。関連して「ぬい活」のキーワードも2024年17件から53件と3.12倍に増加しています。
上昇キーワード2 新たな働き手「外国人材」
| キーワード | 2025年件数 | 2024年件数 | 増加数(増加率) |
|---|---|---|---|
| 特定技能 | 608件 | 287件 | 321件(2.12倍) |
| 外国人材 | 341件 | 182件 | 159件(1.87倍) |
| 技能実習 | 248件 | 119件 | 129件(2.08倍) |
| 登録支援機関 | 135件 | 24件 | 111件(5.63倍) |
「特定技能」のキーワードは、在留資格制度が創設された2019年に徐々に登場し始め、2020年には前年比2.41倍の164件と増加したものの、その後は横ばいが続いていました(2019年:68件、2020年:164件、2021年:186件、2022年:199件、2023年:207件、2024年:287件)。しかし、2025年には前年比2.12倍の608件と大幅に増加しました。この背景には、過去最高の在留外国人数(2025年6月時点、出入国管理庁発表)で外国人労働者が増える中、外国人材関連サービスの資金調達や大企業による協業など、ビジネス界での活発な動きが影響していると考えられます。多様な業界で、外国人材の働きやすさに着目した施策などの発信も増えています。また、外国人材の受け入れをサポートする「登録支援機関」の発信も前年比5.63倍の135件と増加しており、紹介事例や大手旅行会社の参画といった発表も見られました。
注目キーワード1 酒蔵の新たな事業として増加の兆し「ウイスキー」

世界的なウイスキーコンテストでの日本のウイスキーの評価や、NHK連続テレビ小説の題材になるなど、ブームが続いていた「ウイスキー」ですが、企業発表自体は徐々に増加している状態でした。
2025年には前年比1.68倍の686件となりました。この増加は、需要の変化や代替わりの際などに、国内の日本酒や焼酎の酒蔵が新事業としてウイスキー製造を始めるケースが増えていることが影響しています。それに伴う新商品発売などの発信が増えたことが主な要因とされています。また、家飲み需要に合わせた関連グッズの発売も見られました。
注目キーワード2 博覧会場の決済方法で注目集めたブロックチェーン「ステーブルコイン」

新たな決済方法を通じてブロックチェーンを身近にした「ステーブルコイン」は、2023年に121件の発信があった後、2024年には76件に減少していましたが、2025年には前年比2.45倍の186件となりました。
関連する「ブロックチェーン」も、2019年:785件、2020年:716件、2021年:1147件、2022年:1855件、2023年:2225件、2024年:1688件、2025年:1385件と推移しており、2023年に最大の発信数を記録しています。今年を象徴する国際博覧会場のトークンを交換できるとして注目を集めました。また、10月には日本初の合法的な円建てステーブルコインの発行が始まったことで、今後さらに発信が伸びていくことが予想されています。

出典元: 株式会社PR TIMES












