
卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」やその越境EC版「SD export」を運営する株式会社ラクーンホールディングスが、最新のBtoB販売動向を発表しました。
この記事の目次
サマリー
1)世界的な抹茶ブームが直近1~2年で加速、特に2024年夏の海外旅行再開を契機に拡大しています
2)円安とインバウンド増加を背景に、訪日客が体験した抹茶文化をSNSで拡散。帰国後も抹茶をアレンジして日常的に楽しむ習慣が定着し、海外バイヤーの仕入れが活発化しています
3)消費者層は20~40代中心、特に大学生~30代前半の都市圏層がトレンドを牽引しています。異業種展開も見られます
4)茶器需要が急増。「片口抹茶椀」はアメリカで2.48倍、オーストラリアで2.88倍に伸長しています
5)日本製は即完売、中国製も流通拡大するなど供給体制にも変化が生じています
世界的な抹茶ブームと変化
2025年に入り、世界的な抹茶ブームが加熱しています。コロナ禍以降の健康志向の高まりを背景に、抹茶は単なる飲料にとどまらず、日本の伝統文化を体験できる価値あるコンテンツとして欧米を中心に注目を集めています。昨今の円安の進行やインバウンド観光客の増加も、このブームをさらに後押ししています。
人気が急拡大したのは直近1~2年で、2024年7月にCOVID-19後の海外旅行が一気に再開したことが大きな契機となっています。以前はコーヒーショップが主流でしたが、近年は海外でも抹茶専門カフェの出店が増加しています。さらに文房具店など異業種の店舗でも抹茶を提供する動きが広がっており、抹茶需要の裾野が拡大していることがわかります。

抹茶が人気を集める理由と欧米流アレンジ
訪日客が抹茶を体験し「#Matcha」「#Matcha In Tokyo」といったハッシュタグでSNSに投稿することで、特に若年層の間で認知度が急速に拡大しています。InstagramやTikTokでは数十万件の「いいね」を獲得する投稿も登場し、抹茶は「映える日本体験」として世界に広がっています。こうした体験をきっかけに、帰国後も抹茶を日常的に楽しむ動きが広がり、海外バイヤーによる仕入れも活発化しています。
抹茶はそのまま飲むよりも、アレンジして楽しむスタイルが主流となっていることが報告されています。特に欧米では苦味が敬遠されやすく、ミルクと合わせた抹茶ラテが中心となっています。いちご抹茶やマンゴー抹茶といったフルーツとの組み合わせや、抹茶ケーキ・抹茶スイーツなどデザート用途も人気です。こうしたニーズを背景に、注ぎ口付き抹茶碗などの専用道具や、抹茶パウダーと道具をセットにした商品が売れ筋となっています。消費者層は20~40代が中心で、特に大学生~30代前半の都市圏在住層がトレンドを牽引していることが明らかになっています。
輸出量が急増!アメリカ・オーストラリアで広がる「片口抹茶碗」の需要

抹茶茶器の一つである「片口抹茶椀」は、抹茶をたてた後にミルクのはいったグラスに注ぎやすいという実用性から人気が高まっています。約47万店舗が登録する事業者向け卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」の越境EC「SD export」では、茶器流通額が前年比2.2倍(2024年5月~2025年4月)に拡大したとのことです。国別の茶器の受注額は、アメリカでは2.48倍、オーストラリアでは2.88倍と、欧米圏で特に著しい伸びを示しています。もともとお茶文化が根付くアジア圏以上に、新しい文化として受け入れられている欧米での熱量の高さが特徴的です。
さらにSNS上では、自宅で茶器を用いて抹茶オレを作る動画や、抹茶パウダーを比較する投稿が拡散されており、InstagramやTikTokで数十万件の「いいね」を獲得する投稿も登場しています。
抹茶・茶器の需要増加に伴う各社の対応事例
海外のある小売店では抹茶関連商品の売上がこの1年で2~3倍に拡大しているそうです。陳列棚の90%が抹茶関連商品となり、他カテゴリ商品を入れ替えざるを得ないほどの人気を見せています。特に抹茶碗は完売状態が続き、再入荷を待たれる状況だと報告されています。また日本国内の事業者からは次のような事例も寄せられ、ビジネスへの影響が拡大しており各社対応が迫られている状況です。
事例:食品卸の仕入れ会員のケース
抹茶事業を行っていましたが、海外人気で国内抹茶の調達が難しくなり、新規ビジネスへの移行を検討しているケースがあります。この状況から、抹茶の需要がいかに高まっているかが窺えます。原料となる抹茶の確保自体が難しくなってきており、市場全体に影響が出始めています。
事例:出展企業A社のケース
抹茶関連の茶筅や茶器類は欠品が続き、一部では中国製を扱うことで在庫を確保している状況だといいます。日本製は即完売となる一方で、中国製も同様に売れており、ブランドの知名度を問わず需要が伸びています。
【茶筅】圧倒的な人気を誇る茶筅メーカーの商品を扱っていましたが生産が追いつかず、他メーカー品も売れる状況になっているとのことです。品質や価格が変わらない代替品を複数ルートから集めることで流通を維持しています。
【茶筅直し】茶筅と同様に需要が高まり、中国製での生産を開始しているそうです。供給を拡大し、在庫不足に対応しています。この状況からも、抹茶関連商品の需要増加とそれに伴う供給体制の変化が見て取れます。
まとめ
世界的な抹茶ブームは今後も続くと予想されており、特に海外での抹茶需要の高まりに対応した商品開発やマーケティング戦略が求められています。日本の伝統的な抹茶文化が現代的な形で世界に広がる中、各企業は供給体制の強化や新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいます。この抹茶ブームは一過性のものではなく、長期的なトレンドとして定着する可能性が高く、今後の動向が注目されています。
抹茶関連商品の需要は今後もさらに拡大する見込みで、生産体制の強化や品質管理の徹底が課題となっています。特に本場の日本製品に対する信頼と需要は高く、品質と価格のバランスを考慮した戦略が重要となっています。同時に、海外市場に合わせたアレンジや新商品開発も進められており、抹茶文化の新たな可能性が広がっています。
出典元:株式会社ラクーンホールディングス プレスリリース