コロナ禍でファッションECはどう対応すべきか? SHE×Shopify共催イベント「SHE-Commerce」に参加して
イベントの概要

EC業界の女性エンパワメントを目的に、女性向けキャリアスクールのSHE株式会社とShopify Japan株式会社が共催で「SHE-Commerce」を定期開催。これから起業したい、EC業界について学びたい、ECに関わる職種に転職したい方向けのイベントです。

SHE×Shopify共催イベント「SHE-Commerce」について
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000081.000027564.html

第1回目のイベントのアジェンダは下記のとおり
1、今、SHE-commerceを開催する理由
 (SHE株式会社 上平田蓉子さん)
2、ブランド「Nagi」の立ち上げストーリー
 (BLAST Inc. 石井リナさん)
3、コロナが後押し!ファッションECのDX
 (株式会社アパレルウェブ 渡邉春美さん)
4、店舗スタッフが活用するデジタル接客ツール「STAFF START」とは
 (株式会社バニッシュ・スタンダード 竹田桃菜さん)
5、パネルディスカッション

このイベントに参加して、コロナ渦でファッションECはどう対応すべきかを考えさせられました。生理用品ブランド「Nagi」が発売開始から、1週間ほどで2,000枚完売し、再入荷分も1〜2時間で売り切れてしまった理由も納得すると思います。ファッションECをされている方の参考になればと思い、記事を書かせていただきます。

今、SHE-commerceを開催する理由

オープニングでは、SHE株式会社の上平田蓉子さんから「SHE-commerce」の取り組みへの想いが語られました。SHEはWEBデザインやWEBマーケティングなどのITスキル20コース71レッスンが受け放題のキャリアスクール SHElikes(シーライクス)をコアとする、女性の人生に伴走するライフコーチングカンパニー。今回、EC業界の代表ともいえるShopifyとイベントの開催を決めたのは、EC業界がまだまだ女性の比率が低いからだそうです。

「もちろん、ジェンダーに関して、比率だけの問題ではないことは大いに理解しているのですが、そこに対して『今』少しずつでも私たちができることとして、こうして女性のキャリアや転職・副業を支援するSHEと、EC業界を牽引するShopifyが手を取り合うことで、EC業界の女性のエンパワメントにつながればいいなと思って昨年から取り組んでおります。」とのことでした。

コロナをきっかけにファッション業界のEC化率が上昇

アパレルウェブの渡邉春美さんによると、約5年前まではECの売上シェアは10%も満たず、EC担当者も各社1人が当たり前だったそうです。在庫配分も後回しで、EC担当者は肩身が狭かったと。高まるニーズと躍進するポテンシャルを感じつつ、変わらなくちゃと思っても変われない。そんな企業が多かったようです。

コロナをきっかけにファッション業界のEC化率が上昇

ところが、コロナをきっかけにファッション業界に変化が起こりました。アパレルウェブ社のアンケート調査によると、EC化率が16%以上となった企業が4割を超えているそうです。消費行動の急な変化に企業は変わらざるをえない状況になったことが理由だと渡邉さんは言います。

コロナ禍で加速した企業の取り組み

コロナ禍で加速した企業の取り組みとして、下記があげられると渡邉さんは話します。

Google広告やSNS広告などのWeb広告への出稿

広告出稿費用は全体として減少傾向の中、Web広告への出稿費用は増加傾向に。特にファッションと親和性の高いSNS広告(ディスプレイ広告)は効果を発揮しています。

動画コンテンツの活用

Instagram LIVEやIGTVの動画利用率は80%以上。配信頻度は週1回以上、中には6回以上配信している企業も。

スタッフを主役としたコンテンツの拡充

外出自粛の要請から、来店する客数が減ったことで、スタッフの接客時間が減少。顧客との接触時間を増やすために、WebやSNSなどで発信しています。

オンライン接客

店舗と変わらない接客サービスをECサイトにて実装。店舗を利用していた顧客や、距離がネックになっている顧客に対してECサイトを利用してもらうよう案内しています。

クリック&コレクト

クリック&コレクトとは、ECサイトで購入した商品をリアル店舗や宅配ボックス、コンビニエンスストアなど自宅以外で受け取る仕組みを言います。これにより、自分のライフスタイルに合わせて、顧客が受け取り方法を選択できるように。リアル店舗の滞在時間を軽減できるため、密を回避できるメリットもあります。しまむらのネット通販の店舗受け取りが9割というニュースが最近話題になったと思います。

【参考ニュース】
しまむらのネット通販、店舗受取が9割で「ECから店舗への送客に効果」
https://netshop.impress.co.jp/node/8328

その他の取り組み

上記の他にも、社会貢献活動のアピールや、海外販売対応、D2Cビジネスなどもコロナ禍で加速した取り組みと渡邉春美さんは話されていました。

テクニカル面よりソフト面を重視した取り組みが多いと渡邉春美さんは言います。リアル店舗のサービスをいかにデジタルシフトできるか。ブランドのメッセージをどうお客さんに伝え、共感を得られるか。コミュニケーション、エンゲージメント方法に注力することが大事だとのことです。

オンライン接客の取り組み例

オンライン接客の取り組み例として、バニッシュ・スタンダードの竹田桃菜さんが語って下さいました。バニッシュ・スタンダードは「STAFF START」というオンライン接客ツールを提供しています。ECにはレジと商品はありますが、リアル店舗と違ってスタッフがいません。それを解決するのが「STAFF START」です。

「STAFF START」を活用した企業の例
※「STAFF START」を活用した企業の例

コーディネートやシーン、商品のおすすめポイントをWeb上で行うことができます。「STAFF START」を利用するメリットとして、店頭の個人売上を計測できることもあげられます。販売スタッフが正当に評価されることで、モチベーションアップに繋がります。

「STAFF START」の機能はこちら
https://www.staff-start.com/function.html

デジタルトランスフォーメーション推進で大事なこと

ファッション業界の販促方法に変化が起きていると竹田さんは言います。B2C(Business to Consumer)やD2C(Direct to Consumer)からE2C(Employee to Consumer)に変わってきていると。

コロナ禍でデジタルシフトが進み、オンラインでもリアル店舗同様に接客ができるようになりました。つまり、ECにおいても、従業員の接客レベルが、顧客満足度や売上に大きく関わってくるということです。

従業員の接客、サービスの品質は、従業員満足度に比例して高くなると言われています。近年、従業員体験(EX)が注目されているのもそのためです。デジタルトランスフォーメーションの推進にあたって、顧客体験(CX)だけに焦点を当てるのではなく、従業員体験(EX)にも意識することで、企業は大きく成長すると武田さんは話します。

生理用品ブランド「Nagi」の立ち上げストーリー

Nagi 公式オンラインストア「https://nagi-jp.com/」
※Nagi 公式オンラインストア「https://nagi-jp.com/

みんなに合うプロダクトは作れない

身近なことだけど、ポジティブになっていない女性の問題、それを解決したいとBLAST Inc.の石井リナさんは言います。生理期間にどんな悩みがあるかを150人にアンケートをとったところ、一人ひとり課題が違うことが分かったそうです。みんなに合うプロダクトを作るのは難しいと石井さんは判断し、自分たちの最適解のプロダクトを作ろうと決めます。

商品を作ってくれる工場を見つけるのは大変だったようで、最初は周りの知人・友人づてで探していましたが、結局はインターネットで調べて見つけたそうです。

広告費をかけずに口コミで完売

発売前に100人の方に「Nagi」のサンプルを送って、使い勝手が悪くないか、改善の余地はないかを聞いてみたと石井さんは教えてくれました。女性なら誰もが必要な商品ということで、学生や社会人、主婦の方と10代~40代の幅広い層にサンプルを送ったそうです。その結果、一人ひとりがSNSで拡散。発売開始から広告費をかけずに、1週間で2,000枚のショーツが売れたとのこと。

広告をうたない理由は、まだ他にできることがあるから。もちろん、広告をうった方が早いですが、そこは予算との兼ね合いがあると石井さんは言います。

海外展開を考えてECシステムはShopifyを選択

ECサイトのシステムは、海外展開も踏まえて、越境ECに対応しているShopifyを選択。小売りやECははじめてで、ゼロからエンジニアと二人三脚だったと石井さんは語ります。

Shopifyは使える機能が多く、それでいて使いやすいそうです。Shopifyは、アプリを追加することで、機能を拡大したり、カスタマイズしたりすることができます。しかし、アプリを追加しなくても、やりたいことは基本的に網羅しているので、そこまで追加していないと石井さんは言います。追加している主なアプリとしては、ポップアップとメルマガ配信。最近は、ポップアップストアを表参道に出店したので、Shopify POSも追加されたそうです。現在は15名で運営されているとのこと。

海外展開に関して、日本と同じように吸水ショーツになじみのないアジア圏がいいのか、それとも既に吸水ショーツが当たり前になっている欧米がいいのかで悩まれているそうです。

顧客の声から商品開発の参考に

初動の販売以降、売れ続けていくために工夫されていることとして、顧客の声を商品開発の参考にしているからと石井さんは答えます。そのために、TwitterやInstagram、note、メルマガなどSNSを中心にお客様とコミュニケーションをとるようにしているそうです。交流を行って得た気づきを商品開発やアップデートの参考にしていると石井さんは言います。

たとえば、「Nagi」が女性同士のプレゼントとして買われることを知り、Shopifyのギフトカード機能を追加されたとのこと。また、梱包が崩れてしまうと聞き、箱をマイナーチェンジされたそうです。

「Nagi」の今後の展望

現在では別のライフスタイルを想定した吸水ショーツを考えていると石井さんは言います。

たとえば、尿漏れ対策としての吸水ショーツです。生理期間が課題となる10代よりも下の方、40代よりも上の方を想定していると石井さんは話します。

まとめ

コロナ渦によるデジタルシフトで、オンラインとオフラインの垣根がなくなってきました。しかし、ビジネスの本質は変わりません。いかに顧客との接点を増やし、濃い関係を築けるかが成功の秘訣です。自動販売機としてのECサイトの役割はとっくに終わりました。あのAmazonでさえ、顧客満足度を高めるために様々な工夫をしています。

顧客と一緒になって商品・サービスを作る。顧客と一緒に会社を大きくする。SHE×Shopify共催イベント「SHE-Commerce」に参加して私が思ったことです。この記事を通じて、皆さんの物販ビジネスの参考になれば幸いです。

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