
薬事法マーケティングの教科書が実施したアンケート調査によると、ステマ規制の認知度が向上し、ステマ行為が法律違反であるという認識が広まってきていますが、現実にはまだ多くのステマ行為が行われているとのことです。今回は、同社が実施したステマ行為やそれらを実施するインフルエンサー・企業に対する印象についてのアンケート調査結果をご紹介します。
この記事の目次
調査概要
調査対象:ステマの意味を理解している男女373名
年齢:20~64歳
調査時期:2025年6月20日~6月26日
調査方法:インターネット調査
利用頻度の高いSNSはYouTubeが圧倒的首位

調査結果によると、回答者が普段よく利用しているSNSについては、YouTube(82.3%)が最も高い利用率を示し、X(旧Twitter)(56.3%)とInstagram(55.2%)が続いています。TikTokの利用率は18.0%で、SNSをほぼ見ないという回答者は2.9%に留まっています。
74.5%がSNSでステマを感じた経験あり

SNSで「ステマでは?」と感じた経験については、「よくある」(17.4%)と「たまにある」(57.1%)を合わせると、74.5%の回答者がステマを感じた経験があることが明らかになりました。「ほとんどない」と回答した人は20.6%、「わからない」は4.8%となっています。
ステマと感じる投稿はInstagramが最多

ステマと感じた投稿の媒体については、Instagram(42.9%)が最も多く、YouTube(39.7%)、X(34.9%)が続いています。TikTokは11.8%、その他のSNSが8.6%、SNS以外が7.0%という結果でした。普段利用しているSNSの割合と比較すると、Instagramでステマと感じる投稿に遭遇する確率が他のSNSより高いことが示唆されています。
ステマを見た際の感情:「警戒」が最多

調査によると、ステマを見た際の感情については、「警戒」(54.4%)が最も多く、「不信感」(29.5%)、「がっかり」(26.3%)と続いています。「怒り」(8.6%)や「裏切られた」(5.9%)といった強い否定的感情も見られました。
各選択肢の意味合いは以下の通りです:
- 警戒:他の投稿もステマではないかと警戒した
- 不信感:信じていたのに信頼できなくなった
- がっかり:好きだったのに姿勢に疑問をもった
- 怒り:意図的に操作しようとしていて不快になった
- 裏切られた:信頼していたのにだまされた
ステマが購入意欲と商品信頼度に与える影響

ステマを見た後の購入意欲の変化については、「購入意欲が下がる」と回答した人が81.8%と圧倒的多数を占めています。「購入意欲が上がる」と回答した人は0.0%、「変わらない」は18.2%でした。

同様に、ステマを見た後の商品への信頼度についても、「信頼できなくなる」と回答した人が76.7%と多数を占め、「信頼できる」は1.9%、「変わらない」は21.4%でした。この結果から、インフルエンサーが独自の判断でステマを行った場合でも、商品自体の信頼度は大きく低下する可能性が高いことが示されています。
ステマ投稿を行ったアカウントへの印象と継続視聴意向

調査結果によると、ステマ投稿を行ったアカウント(企業やインフルエンサー)への印象については、「悪くなる」が82.0%と圧倒的多数を占め、「良くなる」はわずか0.5%、「変わらない」は17.4%となっています。

さらに、ステマを行ったアカウントの投稿を引き続き見たいかという質問に対しては、「いいえ」と回答した人が57.9%と過半数を占め、「はい」は10.5%、「わからない」は31.6%でした。これらの結果から、ステマ行為はフォロワーやファンの印象を悪化させ、継続的な視聴率にも悪影響を与える可能性が高いことが示唆されています。
ステマによる商品・サービス回避行動

ステマの影響でその商品やサービスを提供しているメーカー・ブランドを避けたことがあるかという質問には、「ある」と回答した人が55.2%、「ない」と回答した人が44.8%でした。この結果から、ステマを依頼した商品やサービスだけでなく、同じ企業が提供する他の商品・サービスの売上にも悪影響を及ぼす可能性があることが示唆されています。
PR表記が購買行動に与える影響

商品紹介で「PR」「広告」と明示されていた場合の購買行動への影響については、「広告なので買わない」と回答した人が45.6%と最も多く、次いで「気にしない」が39.4%、「安心して買える」が15.0%という結果でした。これは、企業がステマを選択する理由の一端を示していると考えられます。

同じ商品を紹介していた場合、ステマとPR投稿のどちらが購買意欲を高めるかという質問には、「PR表記のある投稿」が63.3%と最も多く、「ステマっぽい投稿」はわずか2.7%、「どちらも変わらない」は34.0%でした。この調査結果からは、PR表記があっても購買意欲に大きな影響がない人が多いことが分かります。
PR表記に対する消費者の感じ方

アカウント(企業やインフルエンサー)がPR・広告案件であることを正直に表記していた場合の感じ方については、「誠実で好感がもてる」(42.9%)が最も多く、次いで「商品の評価が誇張されていないか少し疑ってしまう」(31.4%)、「宣伝感が強くて購買意欲が下がる」(23.9%)という結果でした。「PR付き投稿は信用しにくい」(15.0%)や「特に何も感じない・気にならない」(19.6%)という回答も見られました。
透明性と信頼度の関係

透明性のある情報発信がアカウント(企業やインフルエンサー)の信頼度を高めると思うかという質問には、「そう思う」と回答した人が71.8%と多数を占め、「そう思わない」は11.0%、「透明性と信頼性は関係ない」は17.2%でした。
ステマに対する企業の責任

ステマは企業側にも責任があると思うかという質問には、「はい」と回答した人が73.2%と多数を占め、「いいえ」は4.3%、「どちらとも言えない」は22.5%でした。この結果から、企業側がPR表記なしに関与していなかった場合でも、消費者の多くは企業にも責任があると考えており、ステマと認識されることで企業イメージも悪化する可能性が高いことが示されています。
ステマの判断基準
調査によると、ステマになるかどうかの詳しい判断基準については、以下のような疑問が挙げられています:
- ホームページのお客様の声で名前なしや仮名の場合にPR表記は必要か
- お客様の声を取材動画にした場合にPR表記は必要か
- SNSで募集したお客様の声をLPに記載する場合にPR表記は必要か
- モニターから集めたお客様の声にPR表記は必要か
- メディアの取材記事にPR表記は必要か
これらの疑問に対する専門家の回答は「薬機法知恵袋」で確認することができるとのことです。
まとめ
今回の調査結果から、ステマ行為は消費者の購入意欲や商品・企業への信頼度を大きく低下させる可能性が高いことが明らかになりました。多くの消費者はステマを否定的に捉え、ステマを行ったアカウントの投稿を継続的に見たいとは思わなくなる傾向があります。
一方で、PR表記があることで誠実さを感じる消費者も多く、透明性のある情報発信はアカウントの信頼度向上につながる可能性があることも示されました。短期的な収益を得るためにステマを行うことは、長期的には企業やインフルエンサーの信頼を損ない、ビジネスに悪影響を及ぼす可能性が高いと言えるでしょう。
出典元:薬事法マーケティングの教科書調査