
行政処分の前段階、日本郵便に聴聞通知
2025年6月5日、国土交通省は、日本郵便株式会社に対し、貨物自動車運送事業法に基づく「一般貨物自動車運送事業許可の取消に関する聴聞通知」を行ったと発表しました。
今回の通知は、法令違反などを理由に許可取消しを検討する手続きの一環であり、日本郵便側に対して処分に先立ち意見陳述の機会を与えるものです。現時点で処分が確定しているわけではありません。
対象となるのは、郵便事業とは別に行われている日本郵便の「一般貨物自動車運送事業」であり、ゆうパックやゆうパケットなどのサービスが直ちに停止されるといった事態ではないと見られます。
▼一般貨物自動車運送事業者に対する聴聞の通知について
https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000351942.pdf
EC事業者が注視すべきポイント
日本郵便は中小規模のEC事業者を中心に、安価かつ全国展開された配送インフラとして広く活用されています。今回の発表を受けて、現時点で直ちにサービスに影響が出る可能性は低いと見られるものの、事業者として以下の点を念頭に置いておくことが望ましいでしょう。
- 今後の処分内容と対象範囲の見極め
今後の聴聞手続きや調査の進展次第で、業務改善命令や限定的な事業停止命令などが下される可能性もゼロではありません。万一、該当事業の一部に何らかの制限がかかる場合に備え、続報には注視が必要です。 - 自社配送網・契約先の整理とリスク分散
配送遅延や停止リスクを最小限に抑えるために、現時点で日本郵便に依存している業務の範囲を棚卸しし、必要に応じて他キャリアとの併用や切り替えの準備を進めることも一案です。特にキャンペーンや繁忙期を控えたタイミングでは、事前の対応が売上や顧客満足度に影響を与えかねません。 - 顧客対応体制の整備
仮に将来的に配送日数の変動や一部サービスの制限が生じた場合に備えて、ECサイト上の配送情報表示やFAQの更新体制、CS部門での問い合わせ対応方針の確認も検討しておくと安心です。
今回の通知は、あくまで「聴聞」段階であり、日本郵便の主要な配送サービスにただちに影響が及ぶ状況ではありません。ただし、EC事業者にとって物流は事業の要であるため、早めの情報収集と体制見直しを進めることで、予期せぬトラブルへの備えとなります。今後の国交省および日本郵便の発表を注視しましょう。