SMBCグループ・Cellid・セブン-イレブン、ARグラスを活用した新しい購買体験の実証実験を2025年6月から開始

三井住友FG、Cellid、セブン-イレブン・ジャパンがARグラスを活用した新しい購買体験の実証実験を開始

株式会社三井住友フィナンシャルグループ(執行役社長グループCEO:中島 達)、Cellid株式会社(代表取締役:白神 賢)と株式会社セブン-イレブン・ジャパン(代表取締役社長:阿久津 知洋)の3社は、2025年6月2日より、ARグラスを活用した購買体験における実証実験を開始することを発表しました。この実証実験では、三井住友銀行東館内のセブン-イレブン店舗において、従業員がCellid開発のARグラスを使用し、新たな購買体験の創出を目指します。

本実証実験では、購買に必要な基本機能である「本人確認」「商品認識」「商品決済」に加え、ARグラスならではの「商品レコメンド表示」「商品陳列棚案内」などの機能を段階的に検証していくとのことです。現実空間にデジタル情報を重ね合わせることで、直感的でシームレスな体験を提供し、日常生活や購買行動における利便性向上の可能性を探ります。

■実証実験の概要

今回の実証実験は、三井住友銀行東館内に運営されているセブン-イレブンの店舗を舞台に行われます。店舗従業員は、Cellid株式会社が独自に開発したメガネタイプのARグラス「リファレンスデザイン(検証用モデル)」を装着し、革新的な購買体験の提供に取り組みます。

実証実験では、ARグラスを通じて実現する以下の機能について段階的な検証が進められるとのことです:

  • 購買プロセスに必要な「本人確認」機能
  • 商品を自動的に識別する「商品認識」機能
  • レジを通さない「商品決済」機能
  • ユーザーの好みに応じた「商品レコメンド表示」機能
  • 目的の商品への案内を行う「商品陳列棚案内」機能

これらの機能を組み合わせることで、従来の店舗体験をデジタル技術によって拡張し、より便利でパーソナライズされた購買体験の実現を目指しているようです。

実証実験で活用するCellid製品のARグラス
実証実験で活用するCellid製品のARグラス

■実証実験実施の背景

SMBCグループは近年、ARグラスをスマートフォンに代わる顧客との新たなインターフェースとして注目しているとのことです。この先進技術を活用した革新的なサービス創出に向けた取り組みを積極的に推進してきました。

2023年11月から、SMBCグループはCellid株式会社との連携を開始し、ARグラスを活用した次世代サービスの可能性について継続的な検討を重ねてきたとのことです。今回の実証実験は、その取り組みの重要な一環として位置づけられています。

ARグラスは、単なるデジタルデバイスではなく、現実世界とデジタル情報を融合させる次世代インターフェースとして大きな可能性を秘めています。実際の視界にデジタル情報を重ね合わせることにより、直感的でシームレスな体験を提供できることが最大の特徴です。

このような特性は、小売業界においても革新的な変化をもたらす可能性があります。商品情報の即時表示、円滑な支払い処理、個人に合わせた商品推奨など、従来は複数のデバイスやアプリケーションを使って行っていた操作を、ARグラス一つで完結させることが可能になります。

■実証実験の意義と期待される効果

本実証実験の最大の意義は、最先端技術であるARグラスの実用性を実際の店舗環境で検証できる点にあるとされています。理論上の可能性だけでなく、現実の商業空間における利用者の反応や運用上の課題を具体的に把握することができます。

具体的には、以下のような効果が期待されているようです:

  1. 顧客体験の向上:商品に関する詳細情報をリアルタイムで視界に表示することで、より豊かな購買体験を提供できます。例えば、商品の原材料、カロリー情報、おすすめの組み合わせなどを直感的に確認できるようになります。
  2. 業務効率の改善:店舗スタッフはハンズフリーで情報にアクセスできるため、接客しながら必要な情報を確認したり、在庫状況を把握したりすることが可能になります。
  3. パーソナライズされた提案:顧客の購入履歴や好みに基づいて、最適な商品を推奨することができます。これにより、顧客満足度の向上とともに、追加購入の促進も期待できます。
  4. 新たな決済体験:ARグラスを通じた認証と決済により、レジに並ぶ必要のないスムーズな購買フローを実現できる可能性があります。

これらの効果は、小売業界だけでなく、今後のデジタル社会全体のあり方にも影響を与える可能性を秘めているとのことです。

■今後の展望

SMBCグループは、本実証実験を通じて得られる知見をもとに、ARグラスの社会実装を見据えたさらなる取り組みを進めていく方針だと発表しています。ユースケースの開発から実用化まで、段階的にAR技術の可能性を広げていくことを目指しているようです。

具体的には、以下のような展開が検討されているとのことです:

  • 実証実験の成果を踏まえた、ARグラスを活用した協業の具体化
  • 金融サービスにおけるARグラス活用の可能性探索
  • 小売以外の様々な業界におけるAR技術の応用可能性の検討
  • 多様なビジネスパートナーとの連携による新たな価値創造

今回の取り組みは、単なる技術検証にとどまらず、社会に新たなイノベーションをもたらすための重要なステップと位置づけられています。SMBCグループは、今後も多様なビジネスパートナーとの連携を通じて、これまでにない価値の共創を目指していくとしています。

■ARグラス技術がもたらす可能性

ARグラス技術は、単に情報を表示するだけでなく、私たちの現実世界の認識そのものを拡張する可能性を秘めています。現在のスマートフォンが私たちの生活やビジネスを変革したように、ARグラスも新たなパラダイムシフトをもたらす可能性があります。

特に以下のような分野での応用が期待されているとのことです:

  • 小売業:今回の実証実験のように、店舗内のナビゲーション、商品情報の表示、パーソナライズされた推奨、非接触決済などに活用できます。
  • 金融サービス:口座情報の安全な表示、投資ポートフォリオの可視化、リアルタイムの金融アドバイスなど、より直感的な金融体験を提供できる可能性があります。
  • 医療:手術支援、患者データの可視化、遠隔診療のサポートなど、医療現場での活用が研究されています。
  • 製造業:作業指示の表示、品質管理、遠隔サポートなど、生産性と精度の向上に貢献できます。
  • 教育:立体的な教材の表示、没入型学習体験の提供など、教育効果を高める手段として注目されています。

このように、ARグラス技術は私たちの社会の様々な側面に変革をもたらす可能性を秘めているといえます。今回の実証実験は、その可能性の一端を探る重要な取り組みとなっています。

■各社の役割と強み

今回の実証実験において、参画する3社はそれぞれの強みを活かした役割を担っているとのことです。

SMBCグループは、金融サービスの提供を通じて培った顧客理解と、デジタルトランスフォーメーションの推進力を活かし、新たなサービス創出の可能性を探ります。また、実証実験の場として三井住友銀行東館を提供することで、実際の商業空間におけるARグラス活用の検証を可能にしています。

Cellid株式会社は、ARグラスの開発に特化した技術力を持ち、今回の実証実験で使用されるメガネタイプのARグラス「リファレンスデザイン(検証用モデル)」を独自に開発しました。同社の技術は、実用性と機能性を兼ね備えた次世代ARデバイスの実現に不可欠な要素となっています。

セブン-イレブン・ジャパンは、日本全国に広がる店舗ネットワークと小売業におけるノウハウを活かし、ARグラスを活用した新たな購買体験の創出に取り組みます。同社のリテール分野における知見は、ARグラス技術の実用化において重要な役割を果たします。

3社の協業により、それぞれの強みを掛け合わせた相乗効果が期待されています。技術、ビジネス、顧客接点という異なる要素が融合することで、より実用的かつ革新的なソリューションの開発が可能になると考えられています。

■実証実験の進め方

今回の実証実験は、段階的なアプローチで進められるとのことです。まず、基本的な機能から検証を始め、徐々に高度な機能へと拡張していく予定です。

第一段階では、ARグラスの基本的な操作性や装着感、バッテリー持続時間などの基礎的な要素を確認します。実際の店舗環境で従業員が長時間装着することによる影響や課題を把握することが重要です。

第二段階では、「本人確認」「商品認識」「商品決済」といった購買の基本プロセスにおけるARグラスの活用を検証します。これらの機能がスムーズに動作し、従来の方法と比較してどのような利点があるかを評価します。

第三段階では、ARグラスならではの付加価値機能である「商品レコメンド表示」「商品陳列棚案内」などの検証に移ります。これらの機能がどのように顧客体験を向上させるか、また運用上の課題は何かを明らかにします。

最終段階では、すべての機能を統合した総合的な評価を行い、本格的な導入に向けた課題と対策を整理するとしています。ユーザーからのフィードバックや運用データを詳細に分析し、次のステップに向けた改善点を特定していく予定です。

このように段階的なアプローチを取ることで、リスクを最小限に抑えながら、着実に実用化へと近づけていくとのことです。

■まとめ

SMBCグループ、Cellid株式会社、セブン-イレブン・ジャパンの3社による今回の実証実験は、ARグラス技術の実用化に向けた重要な一歩となります。三井住友銀行東館内のセブン-イレブン店舗を舞台に、2025年6月2日から開始されるこの取り組みは、デジタルとリアルを融合した新たな購買体験の可能性を探るものです。

本人確認から商品推奨まで、ARグラスの多様な機能を活用することで、より直感的でシームレスな体験を提供し、日常生活や購買行動における利便性向上を目指しています。この取り組みを通じて得られる知見は、小売業だけでなく、金融、医療、製造、教育など様々な分野におけるAR技術の応用可能性を広げるものとなるでしょう。

SMBCグループは今後も、ARグラスの社会実装を見据えた取り組みを進め、多様なビジネスパートナーとの連携を通じて、これまでにない価値の共創を目指していくとしています。今回の実証実験が、社会に新たなイノベーションをもたらす契機となることが期待されます。

出典元: 株式会社三井住友フィナンシャルグループ、Cellid株式会社、株式会社セブン-イレブン・ジャパン

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