全国にZ-CRAFT展開も、拡大投資が裏目に

2025年5月27日、カジュアル衣料やシューズの輸入販売を手がける株式会社ロイヤル(名古屋市中区)が、東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日付で監督命令を受けました。負債総額は93億1,827万円にのぼります(2024年8月期決算時点)。

実店舗とECを融合したマルチチャネル展開

1973年創業のロイヤルは、1994年に主力ブランド「Z-CRAFT(ゼットクラフト)」を立ち上げ、アパレル・シューズ・雑貨を扱うトータルファッションストアとして展開。
2025年3月時点で、有明ガーデン・イオンモール岡山・レイクタウン・堺北花田など全国に19店舗を構えていました。

並行して、1997年からはインターネット通販にも参入。「Z-CRAFT」「Z-SPORTS」「Z-MALL」などを楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon、自社サイトで展開し、ECモールでも高い評価と売上実績を積み上げてきました

また、偽造品排除を掲げるAACD(日本流通自主管理協会)に2001年加盟し、「本物だけを世界から」を掲げた輸入販売に注力。ライブコマースにも取り組み、公式YouTube「Z-Channel」でSNSプロモーションと動画販売にも対応していました。

急拡大とコスト増が重荷に

2022年には岡山県に物流センターを開設し、出店や在庫強化、設備投資を積極化。2023年8月期には売上高133億7,934万円を記録するも、最終利益はわずか254万円にとどまりました。

続く2024年8月期は、円安による仕入れコスト増物価高による消費者離れが直撃し、売上高は113億9,385万円に減少、赤字は5億7,614万円に拡大。2025年に入っても改善が見られず、積極投資が資金繰りを圧迫する形となり、自力再建を断念しました。

今後の再生とブランドの行方に注目

ロイヤルは今後、民事再生手続の下でスポンサー支援などによる事業再建を目指す見通しです。ECと実店舗を両立させてきた事業基盤や物流網、ブランド資産の活用方法が、再建の鍵を握ることになりそうです。

企業概要(2025年5月時点)

項目内容
商号株式会社ロイヤル
所在地名古屋市中区栄2-11-30
設立1973年2月
主力ブランドZ-CRAFT、Z-MALL、Z-SPORTS ほか
販売チャネル実店舗(全国19店)+ EC(楽天、Yahoo!、Amazon等)
加盟団体AACD(2001年加入)
負債総額93億1,827万円(2024年8月期)

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