Rokt調査:デジタル広告の課題と対策、85%の生活者が信頼性の低いサイトの広告に悪印象

Eコマーステクノロジー企業の米Rokt(ロクト)は、広告主と一般生活者を対象とした「デジタル広告に関する意識調査」の結果をまとめたレポート『デジタル広告の実態とデジタルリテールメディアの可能性』を発表しました。この調査では、デジタル広告業界が直面している本質的な課題について、広告主と生活者双方の視点から分析されています。

近年、ブランド毀損リスクの増加やターゲティング精度の低下、広告のノイズ化など、デジタル広告を取り巻く環境は厳しさを増しています。本調査では、これらの課題に対する広告主と生活者の認識を明らかにするとともに、リテールメディアがどのような解決策を提供できるかが検証されています。

デジタル広告が直面する3つの課題

1. ブランドセーフティとアドフラウドのリスク

広告がどのような場所に掲載されるかという「掲載面の信頼性」は、広告の受け取られ方に大きな影響を与えることが明らかになりました。

  • 調査によると、広告主の76.0%が「不適切な媒体や文脈に広告が表示されることに強い懸念を抱いている」と回答しています。また、72.4%の広告主が「広告が本当に人間に届いているか不安」と感じており、ブランド価値や広告費の損失につながるアドフラウドが深刻な問題となっています。
  • 一方で生活者側では、85.0%が「信頼できないWebサイト上の広告を見かけたとき、その広告主に対して悪印象を抱く」と回答しました。これは広告が表示される「場所」自体がブランドへの信頼感に直接影響していることを示しています。
ブランドセーフティとアドフラウドのリスクに関する調査結果グラフ

2. ターゲティング精度の著しい低下

CookieやIDFAなどの個人情報取得に関する制限強化により、デジタル広告のターゲティング精度は急速に低下しているという課題も浮き彫りになりました。

  • 広告主の70.8%が「ROASやCPAなどの広告効果が落ちてきている」と感じており、69.9%は「不適切なターゲティングがブランド印象に悪影響を及ぼしている」と認識しています。
  • 生活者側の視点では、82.3%が「なぜこの広告が自分に表示されるのか分からない」と回答し、79.2%が「無関係な広告に不快感を抱いた経験がある」と答えています。

これらの結果から、ターゲティング精度の低下により、広告が「関連する情報」ではなく「無関係の情報」として捉えられる傾向が強まっていることが分かります。

ターゲティング精度の低下に関する調査結果グラフ

3. 広告疲れ・ノイズ化の進行

デジタル広告の増加により、生活者にとって広告がストレスや不快感の原因となっている実態も明らかになりました。

  • 生活者の87.9%が「Webサイトやアプリ上で広告が多すぎると感じた経験がある」と回答しています。さらに81.0%は「広告が行動を妨げたことで、その広告主に悪印象を抱いたことがある」と答えました。
  • 広告主側も、74.0%が「広告疲れの進行により、CTRやCVRなど全体の効果が落ちてきている」と実感しており、75.8%が「自社広告がユーザー体験を損ねている懸念がある」と回答しています。

これらの調査結果から、本来価値を提供するはずの広告が、むしろブランドの信頼を損なう存在になりかねないという現実が浮かび上がってきました。

広告疲れ・ノイズ化に関する調査結果グラフ

リテールメディアが示す明確な解決策

これらの課題に対して、調査ではリテールメディアが極めて高い評価を得ていることが分かりました。リテールメディアとは、ECサイトや小売業者が自社の顧客データを活用して提供する広告プラットフォームです。

  • ブランドセーフティの確保
    信頼できるECサイト内で表示される広告は外部ネットワークに依存せず、広告主の73.9%が「安心して出稿できる」と評価しています。
  • ファーストパーティデータの活用
    Cookieに依存しない環境においても、ECサイトが保有する自社データを活用した精度の高いターゲティングが可能であり、80.3%の広告主が肯定的に評価しています。
  • 「買い物モード」に合った文脈性
    79.1%の広告主が「購買行動中に表示される広告は好意的に受け止められる」と回答しています。商品を探している最中に表示される広告は、有用な情報として自然に受け入れられやすいことが示されました。
リテールメディアの評価に関する調査結果グラフ

Roktの取り組み:広告主と生活者の"間"をつなぐ存在として

Roktは、ECサイトにおける「購入完了の瞬間」に、ユーザーの興味・関心に合ったオファーを表示することで、リテールメディアを補完する独自の広告体験を提供しています。「購入の瞬間」は、ユーザーの注意と関心が最大化されるタイミングであり、このタイミングで適切なオファーを提示することで、ユーザー体験を損なわず、広告主にとっても高い成果を生み出す広告接点を実現しているとのことです。

同社は国内外の主要なEC事業者との連携を通じて、日本におけるリテールメディアのエコシステム構築に取り組んでおり、広告主・生活者双方にとって意味のある広告体験の提供を目指しています。

Roktが目指すのは、広告主だけでも、生活者だけでもなく、「双方にとって価値のある広告体験」です。広告が"邪魔されるもの"ではなく、"見たくなる情報"として届く環境づくりに取り組んでいるとのことです。

調査概要

調査名称:デジタル広告とリテールメディアに関する意識調査(2025年)

調査委託先:株式会社マクロミル

調査方法:インターネット調査(インターネットリサーチ)

調査対象:広告主(デジタル広告責任者及び担当者)、一般生活者

回答者数・割付方法:広告主400名/一般生活者1,000名

調査期間:2025年7月7日~7月9日

実施主体:Rokt合同会社

出典元:Rokt合同会社

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