
LINEヤフー株式会社が提供する「ヤフー・データソリューション」が、リモートワークやテレワークを検索するユーザーの興味関心を分析したレポート「海外求人を探す、リモートワーク検索者の興味を可視化してみた。~ハイミドル世代の意外な興味~」を公開しました。このレポートでは、検索データの分析から40・50代のユーザーが海外就労に関心を持っている傾向が明らかになっています。
この記事の目次
リモートワークの時期別検索傾向:2023年以降は「廃止」と「完全リモート」の二極化
新型コロナウイルスの流行を契機としたリモートワークの広がりについて、ヤフー・データソリューションでは時期を3つに区分して分析されています。2020年を「黎明期」、2021年~2022年を「定着・運用期」、そして2023年以降を「出社回帰期」と定義し、Yahoo!検索の大規模な検索データをもとに、各時期における「リモートワーク」「テレワーク」を含む検索キーワードを検索人数順にランキング化されました。
分析結果によりますと、2020年の「黎明期」では、「助成金」や「テレワーク 導入」などの環境適応のための情報探索に関連する検索が中心だったとのことです。続く2021年から2022年の「定着・運用期」になると、「デスク」「椅子」「グッズ」といった在宅就労環境の整備に関する検索キーワードが上位に登場するようになったと報告されています。
そして2023年からの「出社回帰期」では、企業の方針転換を示す「テレワーク 廃止」というキーワードが上昇する一方で、「完全リモートワーク」への関心も高まっており、働き方に関する選好の二極化が進んでいることがうかがえます。

「リモートワーク」検索者の特徴:40・50代が約半数を占め、海外志向が顕著
「ヤフー・データソリューション」が提供するデスクリサーチツール「DS.INSIGHT」を活用して「リモートワーク」を検索しているユーザー層を詳細に分析したところ、40・50代のユーザーが全体の46%を占め、およそ半数に達することが明らかになったと報告されています。
さらに興味深いことに、この40・50代の「リモートワーク」検索ユーザーの特徴的な検索行動を分析すると、「海外求人」や「リモートワーク 英語」といったキーワードを検索する傾向が見られたとのことです。これは、ハイミドル世代がリモートワークを活用した新たなキャリア形成や、国境を越えた就労機会に関心を持っていることを示唆しています。

40・50代の「海外求人」検索者が示す国際的な関心
分析はさらに深く進められ、「海外求人」を検索した40・50代のユーザーの検索行動に焦点を当てた調査も行われました。その結果、アジア圏への渡航に関連するキーワードや、「青年海外協力隊」「jica(国際協力機構)」、米国発のクラウドソーシングプラットフォーム「Upwork」を指す「upwork」などの検索が特徴的に見られることがわかったと報告されています。
これらの検索傾向から、一定の語学力を持ち、海外での就労を現地またはリモートで検討していたり、国際的な社会貢献活動に関心を持つハイミドル世代の存在が浮かび上がってきます。こうした層は、リモートワークという働き方を活用して、国内にとどまらないグローバルな活動領域を模索していると考えられます。

より詳細なレポートについては、「海外求人を探す、リモートワーク検索者の興味を可視化してみた。~ハイミドル世代の意外な興味~」と題して公開されています。こちらのレポートでは「リモートワーク」の検索者数の推移などのさらに詳しい分析結果を確認することができます。
ヤフー・データソリューションについて
「ヤフー・データソリューション」は、LINEヤフーが展開する多様なサービスから収集されるビッグデータを活用し、企業や自治体向けに事業創造や成長支援、課題解決などにつながるインサイトを提供するサービスです。
主なサービスラインナップとしては、検索データや人流データをもとにユーザー自身で分析を行うことができるデスクリサーチツール「DS.INSIGHT」と、顧客のニーズに合わせてビッグデータを活用した課題解決を支援する「DS.ANALYSIS」などが提供されています。
同サービスでは、プライバシー保護の観点から、統計処理された集計データのみを取り扱っており、個人を特定できる情報は一切含まれていないとのことです。
今回の分析結果からは、コロナ禍を契機に普及したリモートワークという働き方が、現在では企業の方針と個人の希望の間で多様な形態へと進化している様子がうかがえます。特に40・50代のハイミドル世代が持つ国際的な関心は、リモートワークがもたらした働き方の選択肢の広がりを象徴するものといえるでしょう。
「ヤフー・データソリューション」では、こうした検索データの分析を通じて、社会のトレンドや人々の関心の変化を可視化し、企業や組織の意思決定に役立つ情報を提供しています。検索データという日常的な行動の蓄積から、社会の変化や人々の潜在的なニーズを読み解く取り組みは、今後もさまざまな分野での活用が期待されます。
リモートワークという働き方は、コロナ禍の一時的な対応から、現在では働き方の選択肢の一つとして定着しつつあります。今回の分析で明らかになった40・50代の海外志向は、長年のキャリアを持つ世代がリモートワークを活用して新たな挑戦を模索している可能性を示唆しています。企業側も、こうした従業員のニーズを理解し、柔軟な働き方の選択肢を提供することが、人材の確保や活用において重要になってくるかもしれません。
データ分析の技術が進化する中で、「ヤフー・データソリューション」のような取り組みは、個人情報の保護に配慮しながら、社会的に有益なインサイトを提供する一例といえるでしょう。検索データという日々の行動の積み重ねから浮かび上がる傾向は、アンケートなどの主観的な回答では捉えきれない、人々の素直な関心や行動パターンを映し出す鏡となっています。
出典元:LINEヤフー株式会社 プレスリリース