【海外ニュース】欧州がEC大手企業の本拠地として拡大・Amazon、欧州で「Haul」を展開予定・Amazon、ドイツで8.7%、英国で12.7%の成長

本記事では最近の海外ニュースをご紹介していきます。今回は、「欧州がEC大手企業の本拠地として拡大」「Amazon、欧州で「Haul」を展開予定」「Amazon、ドイツで8.7%、英国で12.7%の成長」の3つのニュースに触れていきます。

欧州がEC大手企業の本拠地として拡大

欧州のEC市場が持つ戦略的価値

欧州は、多くのEC大手企業の本拠地として機能しており、その数は他の地域を上回っています。その背景には、EU加盟国間で自由な取引が可能な「単一市場」の仕組みが大きく関係しています。EUでは、国ごとの関税や貿易障壁がないため、一度拠点を構えれば、欧州全域へ比較的スムーズに展開できるメリットがあるのです。

特に、ドイツ、フランス、オランダはEC企業にとって重要な市場となっており、ここを拠点にすることでEU全域へのアクセスが容易になります。企業にとっては、単一市場のルールに従いながら、各国の需要に合わせたローカライズ戦略を実施することが可能となります。

競争が激化する欧州市場の課題

しかし、欧州に本拠地を置くEC企業の増加は、競争の激化も意味します。すでにAmazonやZalandoなどの大手企業が市場を支配している一方で、地元の中小企業も独自のサービスを展開し、差別化を図っています。新規参入企業にとっては、単にECプラットフォームを提供するだけでなく、現地の消費者ニーズを的確に捉えたマーケティング戦略が必要です。

また、EUの規制強化も企業にとって重要な課題となっています。データ保護や環境基準の遵守が求められ、規制違反がブランドの信頼性に直結するため、企業は慎重な対応を迫られています。

日本からのEU進出は?

欧州がEC大手企業の集積地となる背景には、市場の統一性や高度なインフラが関係しています。日本のEC企業にとっても、欧州市場は今後の展開において有望なエリアであり、市場参入を検討する際には、ローカル化と規制対応が鍵となるでしょう。

参照:‘Europe hosts most headquarters of ecommerce giants’

Amazon、欧州で「Haul」を展開予定

「Haul」とは?新たなECショッピング体験

Amazonは欧州で新たなECサービス「Haul」の導入を計画しています。「Haul」は、消費者が複数の商品をまとめて購入し、特別な割引や特典を受けられるサービスで、特にファッションや日用品分野での利用が想定されています。このサービスの狙いは、消費者がまとめ買いするインセンティブを提供し、カート単価を向上させることにあります。

欧州市場では、消費者がオンラインショッピングをする際に送料無料や割引を重要視する傾向があり、「Haul」はそのニーズに応える形で展開される予定です。また、ブランドや販売者にとっても、まとめ買いを促進することで在庫管理の効率化や物流コストの削減が可能になります。

欧州市場での導入による影響

「Haul」の導入により、Amazonは他のECプラットフォームとの差別化を図ることができます。特に、欧州ではすでに多くのファッション系ECプラットフォームが存在するため、Amazonがこの市場で競争力を維持するための重要な施策となるでしょう。

一方で、このサービスが消費者の購買行動にどのような影響を与えるのかも注目されています。割引制度が過剰になると、消費者は通常価格での購入を避け、企業の収益性が低下する可能性があります。そのため、Amazonは適切な価格設定とプロモーション戦略を慎重に設計する必要があります。

まとめ:日本市場への展開

現状、発表はありませんがAmazonの「Haul」は、日本市場にも展開される可能性があります。すでにSHEINやTemuのような格安通販サービスが市場に浸透する中で、国内最大級のユーザー基盤を持つAmazonの「Haul」は特に、送料無料やまとめ買い割引を好む日本の消費者にとって、魅力的なサービスと言えます。また、日本のEC事業者にとっても、まとめ買いを促進する仕組みを導入することで、客単価の向上や物流の効率化につながる可能性があるでしょう。

参照:Amazon plans to launch Haul in Europe

Amazon、ドイツで8.7%、英国で12.7%の成長

Amazonの欧州市場での好調な業績

Amazonは、ドイツ市場で8.7%、英国市場で12.7%の成長を記録しました。この成長の背景には、ECの需要増加に加え、プライム会員向けサービスの拡充が影響していると考えられます。特に、配送スピードの強化や現地倉庫の最適化が、消費者の満足度を高めています。

ドイツ市場では、AmazonがEC市場で圧倒的な存在感を持ち、小売業界の大手企業と競争を続けています。一方、英国市場ではプライム会員の増加が売上成長を支えており、特にホリデーシーズンのセールが好調でした。

市場ごとの成長要因と課題

ドイツでは、消費者の購買傾向が比較的保守的であり、品質や信頼性が重視される傾向にあります。Amazonはこの市場特性に合わせ、高評価レビューの商品を優先的に表示するなどの施策を行っています。

一方、英国市場はより価格競争が激しく、Amazonは積極的なディスカウント戦略を展開しています。しかし、インフレの影響により消費者の購買力が低下しており、今後の成長を維持するためには新たな販売戦略が求められるでしょう。

日本においても堅調に成長するAmazon

​Amazonの日本事業は、近年も安定した成長を続けています。​2023年の売上高は、前年同期比6.6%増の260億200万ドル(約3兆6,662億8,200万円、1ドル=141円換算)となりました。 ​これは、2022年の5.7%増からわずかに上昇しており、依然として堅調な成長を示しています。​ただし、2016年から2021年まで続いた二桁増収と比較すると、直近2年間は一桁増収にとどまっています。 ​これは、市場の成熟や競争の激化など、さまざまな要因が影響している可能性があるでしょう。​

参照:Amazon grows 8.7% in Germany, 12.7% in UK

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https://www.commercepick.com/archives/61949

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