2025年4月の消費意欲調査:物価高に影響される消費行動の変化

株式会社博報堂のシンクタンクである博報堂生活総合研究所は、毎月「来月の消費意欲」に関する調査を実施し、その結果を公表しています。対象は20歳から69歳までの男女1,500名です。

2025年4月の消費意欲指数は46.5点で、前月に比べて+2.5ポイントの上昇を見せたものの、前年同月比では-1.3ポイントの減少が示されました。

【4月のポイント】

【Point1】春の到来に向けた消費意欲は高まるも、物価高の影響が顕著で、特に女性の意欲は前年よりも低下

例年、4月は新生活や新年度の始まりに向けて消費意欲が増加する傾向がありますが、今年も前月比で+2.5ポイントの上昇が確認されています。しかし、前年比では-1.3ポイントの下落が見られています。過去3カ月連続で、過去5年間の同月の最低水準を記録しています。性別で見ると、男性が-0.6ポイントに対して、女性は-2.0ポイントの低下となり、特に女性の消費意欲の減少が際立っています。
消費意欲指数の理由(自由回答)については、ポジティブな回答(前月342件→今月359件)が若干増加し、ネガティブな回答(前月881件→今月846件)は減少しました。具体的には、新生活や春物の服の需要が高まる「季節的な意欲向上」(前月117件→今月152件)が増加しています。一方、「金銭的な理由による節約や我慢」(前月194件→今月172件)が減少しました。
前年同月との比較では、消費に対するポジティブな回答(令和24年4月372件→令和25年4月359件)がやや減少し、ネガティブな回答(令和24年4月845件→令和25年4月846件)は横ばいとなっています。特にネガティブな回答の一部で「欲しいものがない」や「すでに購入した物」(令和24年4月306件→令和25年4月261件)が目立って減少しています。

さらに、「物価高」「値上げ」「円安」といった要因も影響しており、これが2カ月連続で前月より増加(令和25年2月88件→3月153件→4月174件)し、前年同月比では2倍以上に増えています(令和24年4月78件→令和25年4月174件)。特に女性における前年同月比の増加が際立っています(男性:令和24年4月40件→令和25年4月70件 / 女性:令和24年4月38件→令和25年4月104件)。

春に向けて新生活関連や春物衣料品への関心は前月に比べて高まっていますが、女性の中でも物価の高騰が影響を及ぼし、例年4月の消費意欲には満たない状況が続いていることが確認できました。

【Point2】消費意向が「旅行」「化粧品」「ファッション」の外向きカテゴリーで前年より減少

「特に買いたいものや利用したいサービスがある」と応えた人の割合は29.3%となり、前月比で+0.6ポイント、前年比では+0.4ポイントの変化があり、ほぼ横ばいの状態が続いています。
16カテゴリーの消費意向を分析したところ、前月比で「旅行」カテゴリーの意向が20件以上減少していました。前年比で見ると、「旅行」「化粧品」「ファッション」の3つのカテゴリーにおいて20件以上の減少が記録されています。今年は、旅行を中心とした春らしい外向きの消費意欲が鈍化していることが示唆されています。

 

出典元:株式会社博報堂生活総合研究所

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