
システム開発及びクラウド開発を手掛ける株式会社アプリックス(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:倉林聡子、以下「アプリックス」)は、消費者の日常的な動きを踏まえた広告配信が可能なリテールメディアプラットフォーム「BRIDGE AD」(以下「BRIDGE AD」)のサービス提供を開始したことを発表しました。
このプラットフォームは、ロケーションパートナー(広告配信場所提供者)からの広告配信場所と、アプリパートナー(広告配信アプリ提供者)からの広告配信アプリを組み合わせることで、業界や企業の枠を超えた全国規模の位置情報広告配信ネットワークを構築する点が特徴です。アプリックスは、10年後に売上高40億円を目指し、初期の取り組みとして、国内の大手小売業者店舗で「BRIDGE AD」を活用したデジタル広告配信を2025年春から開始する予定です。
この記事の目次
リテールメディアとは
本サービスで提供されるリテールメディアは、小売業者や流通業者が自社のデジタルサイネージやオウンドメディア、公式アプリを駆使し、広告主の依頼に基づく広告を配信する新たなビジネスモデルで、急速に関心を集めています。この手法によって、リテーラーが保有するファーストパーティーデータ(購買履歴や会員情報など)を活かし、個々の消費者に最適化された広告配信を実現します。オンラインとオフラインの接点をシームレスに統合し、高精度なターゲティングを実現することで、広告効果の最大化を図ります。
プライバシー規制が強まる中、サードパーティCookieの廃止が進んでおり、ファーストパーティデータの活用がますます重要視されています。そのため、小売業者が蓄積したデータに基づく高精度なターゲティング広告を実施できるリテールメディアへの需要が急増しており、今後もさらなる成長が期待される市場となっています。
リテールメディアは、ただの広告配信手段を超え、「購買へつながるメディア」として企業と消費者を結ぶ新しい手法として、ますます注目されています。
BRIDGE ADのサービス概要と特徴
1.ビジネスモデルの概要
「BRIDGE AD」は、ビーコンが設置された様々なロケーションと、それを告知するためのアプリ群を結びつけるプラットフォームです。広告主はこのプラットフォームを活用し、ターゲットとなる消費者及び地域、そして最適な時に広告を配信できます。
具体的には、まず広告を配信するターゲット(ユーザー属性、配信地域、ロケーション等)を選定します。その後、最適な広告配信アプリを選び、さらにアプリパートナーが持つユーザープロファイルを組み合わせて、配信対象を絞り込みます。そして、ターゲットユーザーに最適なロケーションを選定し、そのロケーションに訪れたユーザーに対して広告が配信される仕組みです。
技術的には、アプリックスと連携するアプリ利用者のデバイスがビーコンによって設置されたロケーションの位置情報を検知すると、リアルタイムで最適なフォーマット(プッシュ通知やアプリ内バナー等)で広告を配信します。
この仕組みにより、来店時や駅到着時といった“今”の情報をリアルタイムで提供し、ユーザーの興味や関心に基づいたアプローチが可能になります。
2.競争優位性
(a) リアルタイム配信と高い到達率
ビーコン技術を活用した位置情報検知により、消費者が実際に店舗や駅を訪れた際に広告を送信でき、オンラインとオフラインの世界をさらにスムーズに結び付けることができます。この手法により、WEB広告や店内サイネージだけでは得られなかった新たな接触機会が創出されます。
(b) 収益シェアモデル
広告主から得られる費用は、アプリパートナーやロケーションパートナーに分配され、新たな広告収益源となり、アプリパートナーにとってはアプリ利用者を増やすインセンティブにもなる三者共に利益を持つビジネスモデルとなっています。
(c) ファーストパーティデータの活用(将来的展望)
小売事業者が保有するファーストパーティデータ(購入履歴や会員情報など)を用いることで、ユーザー特性に合ったターゲティングが可能になります。サードパーティCookieの廃止が進んでいる現状でも、プライバシーを保護しながら広告精度を向上させる大きな強みを持っています。現時点では施策には含まれていないものの、将来的に取り組む予定です。
(d) 複数ロケーション・広告配信アプリの統合的な使用
BRIDGE ADは、複数のロケーションと広告配信アプリをプラットフォームとして活用し、全国規模の広告配信システムを構築しています。これにより、広告主は最も効率的に広告を展開できます。
3.将来的な構想
アプリックス社は本事業のさらなる発展に向け、以下の3つの方向性を中心に推進していきます。
(a) POS連動型CMS
リアルタイムの購買データをCMS(コンテンツ管理システム)と結び付け、在庫状況や売上データに基づいた迅速な広告配信やクーポンの発行を可能にします。広告主は効果的なターゲティングを実施し、小売事業者は在庫リスクの軽減や販促活動の強化に結び付けることが可能です。
(b) Neutrix Cloudの活用によるコスト削減
アプリックス社がリセラーとして提供するマルチクラウドストレージサービス「Neutrix Cloud」を活用し、サーバー運営のコストを削減し、柔軟に処理負荷に対応できるシステムを構築します。これにより、本事業のさらなる大規模展開基盤を確立し、成長を目指します。
(c) 競合他社との協業
位置情報広告やリテールメディア分野に関心を持つ多くのパートナー企業との協力を強化し、データや販売促進手段を統合していきます。これによりリテールメディア全体の成長を促進し、消費者へのサービス価値を高めることを目指します。
【数値目標・将来ビジョン】10年後の売上高40億円
株式会社CARTA HOLDINGSと株式会社デジタルインファクトによる共同調査の結果、日本国内の店舗事業者によるリテールメディア市場規模が、2024年に550億円から2028年には1,750億円に急成長すると予測されています(株式会社CARTA HOLDINGS 2025年1月発表のプレスリリースより)。アプリックス社はこの成長市場において、2025年を起点として10年後に売上高40億円を目指し、企業と消費者を繋ぐ新たなコミュニケーションの場を創出していくことを目指しています。
出典元:株式会社アプリックスのプレスリリース