
メタ・プラットフォームズ(Meta)社は、2024年第4四半期(10月~12月)の決算を発表しました。売上高は前年同期比21%増の483億8,500万ドルとなり、好調な広告売上が成長を支えました。AI技術の進化とメタバース分野への投資も継続しており、今後の戦略において重要な位置を占めることが予想されます。
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広告売上が好調、アジア太平洋地域の成長率は23%

広告売上は467億8,300万ドルとなり、前年同期比21%増となりました。特にアジア太平洋地域では23%の成長を記録し、欧州が22%増、北米が18%増と続いています。オンラインコマース分野での広告需要の高まりが、全体の売上を押し上げる要因となりました。
Meta社は広告配信アルゴリズムの最適化を進めており、より高い広告パフォーマンスを提供できるよう取り組んでいます。また、リール(Reels)広告の拡充や、WhatsAppのビジネスメッセージング広告の展開が進められ、広告収益のさらなる増加に貢献しています。
デイリーアクティブ利用者数(DAP)は33億5,000万人に

Meta社が提供するプラットフォーム(Facebook、Instagram、Messenger、WhatsApp)のデイリーアクティブ利用者数(DAP:Daily Active People)は33億5,000万人となり、前年同期比で5%増加しました。ユーザーエンゲージメントは引き続き高く、特にInstagramのリールやFacebookの動画コンテンツの視聴時間が増加傾向にあることが、利用者数の増加につながっています。
Reality Labsの売上は横ばい、AIとメタバース分野の投資継続
拡張現実(AR)および複合現実(MR)関連事業を手掛けるReality Labs部門の売上は10億8,300万ドルとなり、前年同期比1%の増加にとどまりました。この分野では引き続き大規模な投資が行われており、スマートグラス「Ray-Ban Meta」やVRデバイス「Quest 3」の販売動向が、今後の成長に影響を与えるとみられています。
マーク・ザッカーバーグCEOは、2025年をメタバース戦略の「分岐点」と位置付けており、製品の改良と新たなサービスの投入によって市場の拡大を目指すと述べました。特に、Horizon Worldsの機能向上や、AIを活用したメタバース体験の強化が進められており、より没入感のある仮想空間を提供することを目標としています。
AI戦略の進展:Meta AIとLlama 4の展望
Meta社は2025年を「AI技術の転換点」と捉え、AIの進化と広告最適化を最優先事項として掲げています。特に、AIアシスタント「Meta AI」の普及を加速させ、パーソナライズ機能を強化することで、より多くのユーザーに利便性を提供することを目指しています。また、WhatsAppやInstagramにおけるMeta AIの活用範囲を広げ、ユーザー体験の向上を図っているとのことです。
AIモデル「Llama 4」の開発も進められており、オープンソースAIとしてさらなる性能向上を目指しています。Llama 4 miniの開発は完了し、より高度なモデルのトレーニングが進行中です。Meta社はAI技術を活用し、広告パフォーマンスの向上にも注力しており、特にAndromedaと呼ばれる新しい機械学習システムの導入により、広告の精度を高め、広告主のROI向上を図っています。
まとめ:2025年の展望と課題
Meta社の2024年第4四半期決算は、広告収益の成長を背景に、売上高が前年同期比21%増となりました。特にAI技術の進化とメタバース事業の進展が、今後の成長戦略において重要な役割を果たすと考えられます。
Meta社は2025年に向けて広告収益の成長を軸に、AIやメタバース分野への投資を継続する方針ですが、いくつかの課題にも直面しています。AI分野では、OpenAIやGoogle DeepMind、Anthropicなどの競合企業との競争が激化しており、オープンソースAIの進化による市場変動も無視できません。また、欧米ではデータプライバシー規制が強化されつつあり、プラットフォーム独占に関する調査の影響も懸念されています。
メタバース市場の成長ペースにも注目が集まっています。スマートグラスやVRデバイスの普及スピードが業界全体の進展に影響を与えるため、消費者の関心をどのように引きつけるかが課題となるでしょう。
2025年は、AI技術の発展、広告プラットフォームの最適化、そしてスマートグラスやVRデバイスの市場拡大が、Meta社の成長を大きく左右する年になるとみられます。今後の市場動向や技術革新の進展が、Meta社の成長にどのような影響を及ぼすのか注目されます。
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