
福利厚生支援サービスとして企業向けの売店や食堂運営に力を入れる心幸グループは、月間仕入額が100万円以上の食品小売店の経営者または仕入れ担当者105名を対象に、食品小売事業の仕入業務に関する実態調査を実施しました。以下はその結果となります。
- 01|食品小売事業者の62.9%が商品の仕入れに関して課題を抱えていることが明らかになり、その中でも約60%が「仕入れ価格の高騰を販売価格に反映できない」と回答しています。
- 02|商品の仕入れにおいて特に手間がかかる作業の第1位は「商品の在庫確認や棚卸作業」で、43.8%がこれに該当し、第2位は「価格交渉や値上げ対応」で32.4%の回答がありました。
- 03|約6割の経営者が卸価格を一括で購入できるサービスを「利用したい」と回答し、「在庫管理の負担を軽減したい」(54.8%)という期待が寄せられています。
この記事の目次
- 1 調査概要
- 2 食品小売事業者の62.9%が普段の食品商品仕入に課題感を抱く
- 3 仕入れの課題「販売価格に仕入れ価格を反映できない」が約6割
- 4 「到着時間の変動」や「相場の不安定さ」の声も
- 5 仕入れ業務で特に時間と手間がかかる作業は「在庫確認」
- 6 仕入れや管理が特に難しい商品「パン・惣菜・お弁当」「チルド商品」
- 7 「野菜」や「冷凍商品」などで管理が難しいとの声も聞かれる
- 8 52.4%が仕入れ業務の負担を軽減するため「自動で発注するシステム」導入を検討中
- 9 約6割が、毎月定額で卸価格一括購入サービスを「利用したい」と回答
- 10 「在庫管理の簡便化」や「発注が1度で終了」のメリットが期待される
- 11 まとめ
調査概要
- 調査名称:食品小売事業者の仕入業務における実態調査
- 調査方法:IDEATECHのリサーチデータマーケティング「リサピー®︎」によるインターネット調査
- 調査期間:2024年12月19日〜20日
- 有効回答:月間仕入額が100万円以上の食品小売店の経営者または仕入担当責任者105名
※ 合計を100%にするため、一部の数値は端数処理されています。そのため、実際の計算値とは若干の相違がある場合があります。
食品小売事業者の62.9%が普段の食品商品仕入に課題感を抱く
「Q1.普段の食品商品仕入において、何か困りごとや課題を感じていますか。」(n=105)という質問に対して、「非常に感じている」との回答が19.1%、「やや感じている」が43.8%という結果となりました。

・非常に感じている:19.1%
・やや感じている:43.8%
・あまり感じていない:22.9%
・全く感じていない:11.4%
・わからない/答えられない:2.9%
仕入れの課題「販売価格に仕入れ価格を反映できない」が約6割
「Q1」で「非常に感じている」「やや感じている」と答えた方に、「Q2.日々の商品仕入において、どの点に困りを感じていますか。」(n=66)と質問したところ、「仕入価格が上昇しているのに販売価格に転嫁できない」との答えが59.1%を占めています。「最小ロットが大きすぎて、在庫負担が重い」が39.4%、次いで「配送料が負担になっている」が33.3%との回答が得られました。

・仕入価格が上がっているのに販売価格に転嫁できない:59.1%
・最小ロットが大きすぎて、在庫負担が重い:39.4%
・配送料が負担になっている:33.3%
・商品が届くまでに時間がかかりすぎる:27.3%
・欠品が多くてお客様に迷惑をかけることがある:27.3%
・仕入れ先が多すぎて管理が大変:18.2%
・入荷商品の品質が不安定:16.7%
・新商品や仕入れ価格の情報収集が手間:15.2%
・不良品や返品の処理に手間がかかる:10.6%
・配送の頻度が不十分:10.6%
・取引先の閉業による急な仕入れ先変更:9.1%
・在庫管理に追われ、接客時間が取れない:7.6%
・その他:4.5%
・わからない/答えられない:0.0%
「到着時間の変動」や「相場の不安定さ」の声も
「Q2」で「わからない/答えられない」を除く回答者に、「Q3.Q2以外の困りごとがあれば、具体的に教えてください。」(n=66)と質問したところ、「到着時間の変化が日によって異なる」や「相場上昇により仕入れ単価が不安定」といった具体的な回答が51件寄せられました。
<自由回答・一部抜粋>
- 商品内容が不明瞭。
- 到着時間の変化による影響。
- 安価を追求する供給業者が多すぎる。適正利益による取引を望みたい。
- 青果物の市場に従事する人材の確保に苦労している。
- 価格の変動が激しく、調整が難しい。
- 自動発注時にミスが多く、在庫が過剰になることがある。
- 仕入単価が安定しない状況が続いている。
仕入れ業務で特に時間と手間がかかる作業は「在庫確認」
「Q4.商品仕入で特に手間がかかる業務は何ですか。」(n=105)と質問した結果、「商品の在庫確認や棚卸作業」が43.8%でトップ、続いて「価格交渉や値上げ対応」が32.4%、「複数仕入れ先への個別発注作業」が30.5%という結果が得られました。

・商品の在庫確認や棚卸作業:43.8%
・価格交渉や値上げ対応:32.4%
・複数仕入れ先への個別発注作業:30.5%
・新商品情報の収集や仕入れ判断:23.8%
・仕入れ先とのメールや電話でのやり取り:21.9%
・納品時の検品作業:14.3%
・請求書の確認や支払い処理:10.5%
・その他:1.0%
・特に手間はない:15.2%
・わからない/答えられない:1.0%
仕入れや管理が特に難しい商品「パン・惣菜・お弁当」「チルド商品」
「Q5.仕入れや管理が特に難しいと感じている商品は?」(n=105)という質問に対し、「パン・惣菜・お弁当(廃棄ロスが生じやすい)」が28.6%、続いて「チルド商品(温度管理や日持ちの問題)」が26.7%、また「加工食品(品質管理が難しい)」が22.9%との回答が得られました。

・パン・惣菜・お弁当(廃棄ロスが出やすい):28.6%
・チルド商品(温度管理や日持ちの問題):26.7%
・加工食品(品質管理が難しい):22.9%
・飲料(重くて在庫場所を取る):20.0%
・お菓子(多様な種類で管理が大変):16.2%
・アイス(溶けやすく温度管理が難しい):16.2%
・お酒(年齢管理が煩雑):9.5%
・日用品や文具(商品数が多すぎて管理が難しい):6.7%
・たばこ(先払いで仕入れ管理が複雑):2.9%
・その他:4.8%
・特に困っていないものはない:16.2%
・わからない/答えられない:5.7%
「野菜」や「冷凍商品」などで管理が難しいとの声も聞かれる
「Q5」で「何も困りごとがない」「わからない/答えられない」と答えた方を除く回答者に対し、「Q6.Q5で示した以外に仕入れや管理で特に困っている商品を教えてください。」(n=82)と尋ねたところ、「野菜」や「冷凍商品」について63件の回答が寄せられました。
<自由回答・一部抜粋>
- 生鮮食材。
- 日配品の賞味期限が短く、在庫コントロールが難しい。
- 野菜全般。
- 生しらす。
- 水産物、肉類全般。
- 冷凍商品の発注が限られており、管理が大変。
52.4%が仕入れ業務の負担を軽減するため「自動で発注するシステム」導入を検討中
「Q7.今後、仕入れ業務の負担を軽減するために導入を希望するものは?」(n=105)との質問に対し、「自動で発注するシステム」が52.4%、続いて「スマホで簡単に在庫管理できるシステム」が34.3%との回答がありました。

・自動で発注してくれるシステム:52.4%
・スマホで簡単に在庫管理できるシステム:34.3%
・特に希望はない:22.9%
・わからない/答えられない:2.9%
約6割が、毎月定額で卸価格一括購入サービスを「利用したい」と回答
「Q8.毎月1万円の定額で様々な商品(飲料、食品、雑貨など)を卸価格一括で購入できるサービスがあれば利用したいと思いますか。」(n=105)との問いに対し、「非常に利用したい」が18.0%、続いて「やや利用したい」が41.0%の回答が得られました。

・非常に利用したい:18.0%
・やや利用したい:41.0%
・あまり利用したくない:20.0%
・全く利用したくない:8.6%
・わからない/答えられない:12.4%
「在庫管理の簡便化」や「発注が1度で終了」のメリットが期待される
「Q8」で「非常に利用したい」「やや利用したい」と回答した方に「Q9.サービスに期待する点は何ですか。」(n=62)と尋ねたところ、「在庫管理の手間が減る」が54.8%、次いで「発注作業が1回で済む」が48.4%との結果が得られました。

・在庫管理の手間が減る:54.8%
・発注作業が1回で済むようになる:48.4%
・まとめて仕入れることで価格が安くなる:45.2%
・配送料の節約:40.3%
・取引先への連絡が不要になる:32.3%
・支払いの簡素化:24.2%
・少量からの発注ができるようになる:21.0%
・安定した商品の供給が可能になる:17.7%
・返品・交換の窓口が一元化:14.5%
・新商品情報が簡単に収集できる:11.3%
・わからない/答えられない:0.0%
まとめ
今回の調査は、月間仕入れ額が100万円以上の食品小売店経営者または仕入れ担当者105名を対象に行われ、食品小売業における仕入業務の現状を明確に示しました。
調査の結果、62.9%の食品事業者が普段の仕入業務に課題を抱えており、その中でも60%は「仕入れ価格上昇を販売価格に反映できない」との感覚を抱えていることが分かりました。また、特に手間や時間がかかる業務として「商品の在庫確認や棚卸作業」が43.8%、次いで「価格交渉や値上げへの対応」が32.4%を占めています。52.4%の事業者が業務負担の軽減に向け、「自動発注システム」の導入を検討しており、約6割は毎月1万円で卸価格一括購入できるサービスの利用希望が高まりつつあります。「在庫管理の手間が減る」といったサポート期待は54.8%にも上っており、さらに「発注作業が1回で済むこと」にも48.4%が期待を寄せています。
調査結果は、食品小売業界の仕入れ業務が直面する課題を浮き彫りにし、その中で温度管理が重要な商品の取り扱いや、複数の仕入れ先への個別発注がもたらす業務の負担増加が顕著です。これにより、従業員の作業効率や業務精度に影響し、コスト増や廃棄ロスのリスクが高まる可能性があります。温度管理機能を備えた一括仕入れシステムの導入の可能性が高まるのではないでしょうか。
出典元: 心幸ホールディングス株式会社 プレスリリース