2024年の企業倒産件数が9901件に、3年連続の増加で11年ぶりの高水準に達する

2024年における企業倒産件数について、株式会社帝国データバンクが負債1000万円以上の法的整理対象に基づく調査結果を発表しました。

調査結果の概要

  1. 2024年の倒産件数は9901件(前年8497件、16.5%増)に達し、前年より1404件増加しました。これにより、3年連続で前年比を上回り、2013年(10332件)以来の1万件に肉薄する数字となり、2014年(9180件)以降では最も多い件数となっています。
  2. 負債総額は2兆2197億8000万円(前年2兆3769億300万円、6.6%減)となり、3年連続で2兆円を突破しました。この中には、全体の約30%を占めるMSJ資産管理㈱(旧:三菱航空機㈱、6413億円)が含まれ、負債100億円以上の倒産が10件発生しました。

業種別に見た倒産件数

  1. 業種別で見ると、7業種中6業種が前年比増加。特に「サービス業」(前年2099件→2547件、21.3%増)が最多で、2000年以降で最高の件数を記録しています。次いで「小売業」(同1783件→2087件、17.0%増)や「建設業」(同1671件→1890件、13.1%増)が続く結果となりました。
  2. 地域別では、全地域が前年を上回る結果ですが、特に「関東」(前年3066件→3442件、12.3%増)が最多を記録しました。「近畿」(同2106件→2542件、20.7%増)は、11年ぶりに2500件を超えました。38都道府県で前年を上回る増加が見られました。
  3. 「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は734件に達し、4年連続で過去最多を更新しています。
  4. 「人手不足倒産」は342件に達し、初めて300件を超え、過去最高を大幅に更新しました。
  5. 「後継者難倒産」は540件となり次第に減少しているものの、依然として過去2番目の高水準を記録しています。
  6. 「物価高倒産」は933件に達し、過去最多を大幅に更新しました。

集計期間:2024年1月1日~2024年12月31日
発表日:2025年1月14日
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
集計機関:株式会社帝国データバンク


業種別分析に見る倒産状況

詳細な分析によると、7業種中6業種が前年を上回る成長を見せたことが明らかになりました。特に「サービス業」(前年2099件→2547件、21.3%増)が最多となり、新記録を更新しました。「小売業」(同1783件→2087件、17.0%増)が続き、「建設業」(同1671件→1890件、13.1%増)も増加しています。『サービス業』は2000年以降で最多の件数を記録し、『小売業』は12年ぶりに2000件を超える結果となりました。

増加率が最も高いのは「製造業」で、同908件→1145件(26.1%増)であり、こちらも7年ぶりに1000件を超えました。

業種ごとに見ると、『サービス業』では「広告・調査・情報サービス」(前年681件→819件)が全体の増加に貢献したほか、『小売業』では仕入れ価格の高騰が影響し、「飲食店」(同768件→894件)が最多となりました。『建設業』では職人の高齢化や人手不足が問題となり、「職別工事」(同763件→879件)が増加し、過去10年で最多の件数に達しました。

不況型倒産の実態

主な要因を分析すると、「販売不振」が8067件(前年6672件、20.9%増)で、全体の81.5%を占めており、前年より3.0ポイント増加しました。2年連続で20%超の増加率を記録し、8000件の大台を超えたのは11年ぶりです。「売掛金回収難」(前年44件→57件、29.5%増)や「不良債権の累積」(同14件→17件、21.4%増)を合わせて、『不況型倒産』は8203件(前年6797件、20.7%増)に達しました。

加えて、「経営者の病気、死亡」は316件(前年278件→13.7%増)で2000年以降の最多を記録し、「設備投資の失敗」も2年ぶりに前年を上回り45件に達しました。

破産件数の分析

倒産の形態別に見ると、『清算型』倒産は9623件(前年8265件、16.4%増)となり、全体の97.2%を占めました。特に『破産』は9271件(前年7986件、16.1%増)に達し、こちらも11年ぶりに9000件を上回りました。『特別清算』は352件(前年279件、26.2%増)で、過去3番目に多くなりました。

『再生型』としては、寛一商店株式会社などのグループ9社を含む「会社更生法」は12件(前年2件、500.0%増)に達し、「民事再生法」は266件(前年230件、15.7%増)が発生し、その内訳は個人が193件、法人が73件です。

負債額別の倒産件数

負債額別に見ると、「5000万円未満」の倒産は5919件(前年5024件、17.8%増)となり、2000年以降で最多を記録しました。「50億円以上」の倒産は前年を下回りましたが、「50億円未満」の倒産は前年を大幅に上回り、中小零細企業を中心に増加現象が見られました。

資本金規模別では、『個人+1000万円未満』の倒産が7044件(前年5853件、20.3%増)で全体の71.1%を占めています。

新興企業の動向

業歴別に見ると、「30年以上」の企業が3144件(前年2740件、14.7%増)で最も多く、全体の31.8%を占める結果となり、2013年(3215件)以来の3000件超えを達成しました。この中で、業歴100年以上の老舗企業の倒産は145件(前年96件、51.0%増)に達し、2000年以降で最多の件数となりました。

業歴10年未満の『新興企業』は3080件(前年2527件、21.9%増)と、15年ぶりに3000件を超え、業種別では「サービス業」が最も多く、続いて「小売業」や「建設業」も増加しました。

地域別の倒産動向

地域別に見ると、2年連続で全地域が前年を上回る結果となり、『北海道』を除く8地域で過去10年で最多の案件を記録しました。最多だったのは『関東』(前年3066件→3442件、12.3%増)で、特に「東京」(同1549件→1758件)が大きく増加しました。また、『近畿』(同2106件→2542件、20.7%増)も続き、11年ぶりに2500件を超えています。38都道府県で前年を上回る件数が見られ、全体の件数が増加しています。

特に『北陸』では能登半島地震の影響により241件から323件(34.0%増)と大きく伸びました。一方『東北』(同443件→569件、28.4%増)も増加率が高まっているため、注意が求められます。

今後の見通しと懸念

2024年小規模倒産が中心に増加続く

2024年の企業倒産件数は9901件で、前年8497件から16.5%の増加を示し、3年連続の増加を報告しています。年間1万件には達しないものの、11年ぶりの高水準とも考えられます。月別では、2024年12月に848件となり前年同月比5.2%増を記録しました。物価高や人手不足、後継者難、新型コロナの影響の終了、ゼロゼロ融資の返済負担が懸念され、小規模事業者の倒産が増加する見込みです。

さらに、過去最高件数を更新した「粉飾倒産」も2025年にかけて続くと予想され、直近では専門商社「ADI.G」が不適切な会計処理を報告後に民事再生法を申請する事例も見られ、企業の経営破綻の可能性には警戒が必要です。

出典元:株式会社帝国データバンクの発表

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