デジタル広告が、グローバルな市場においてコンシューマーブランドが顧客とつながるための重要な手段として、ますます注目されています。特に競合他社がどの広告チャネルを利用しているかを把握することで、効果的な戦略を構築することが可能です。このレポートでは、2024年の日本におけるコンシューマーブランドのデジタル広告のトレンド、広告費の多いジャンル、主要な広告出稿先、そして投資額が多いブランドについて詳しく分析しています。また、花王やYostarの広告戦略およびオーディエンスのペルソナに関するケーススタディも考察しています。

なお、本レポートは日本市場向けのFacebook、Instagram、TikTok、X(旧Twitter)におけるデジタル広告のデータを網羅しています。

過去12ヵ月間のデジタル広告費が42億ドルに到達

2023年11月から2024年10月の期間に、日本市場で広告主がFacebook、Instagram、TikTok、Xに支出したデジタル広告費は合計で42億ドルに達し、インプレッション数は9,860億回を上回りました。

特に、小売業界の広告費はメディア・エンターテイメントや求人・人材育成情報などの他のジャンルを上回り、RakutenおよびAmazonが際立った広告出稿力を示しています。

Instagramが主要な広告出稿先

複数の広告プラットフォームの中で、Instagramが日本におけるデジタル広告の投資額とインプレッション数で最も多く使用されています。2024年1月から10月までに支出されたInstagramの広告費は22億ドルに達し、これはFacebookの約3倍となります。

この傾向は持続しており、2024年10月のデジタル広告費は前月から14%増加し4億ドルに近づき、同月のインプレッション数も6%増加して900億回に達しました。

ジャンル別で見るデジタル広告市場

デジタル広告費が高いジャンルには、小売、メディア・エンターテイメント、求人・人材育成情報が含まれます。過去1年間の広告費は、小売が9.2億ドル(シェア22%)、メディア・エンターテイメントが7.1億ドル(同17%)、求人・人材育成情報が4.5億ドル(同11%)で、日用消費財、ゲーム、健康・保健のブランドも活況を呈しています。

小売の内訳ではファッション、クーポン・割引券、消費者向け電子機器のサブジャンルが特に活発で、メディア・エンターテイメントでは書籍・コミック、映画・テレビ、音楽・ポッドキャストが目立っています。

インプレッショントップ3ブランド

デジタル広告のインプレッションでトップに立つブランドはRakuten(楽天)、NTT、マイナビ、講談社の4つで、日本の市場で特に顕著です。ランキングの首位にはRakutenが名を連ね、過去12ヵ月で340億回を超えるデジタル広告インプレッションを記録しています。

また、ランキングには海外ブランドのAmazon、Samsung、SHEIN、Temu、Disney、Adobeも含まれています。

また、花王は日用消費財ブランドにおいて最高のインプレッション数を誇っており、1887年の創業以来「ハイジーン&リビングケア」や「ヘルス&ビューティケア」など多岐にわたる製品を展開しています。過去12ヵ月において、花王は日本におけるデジタル広告への投資とインプレッション数で2位となり、Bioré、Kate、Curélなどの人気ブランドを展開しています。

さらに、花王は日本と米国で異なる広告戦略を採用しています。日本ではインプレッションの58%がInstagramから得られるのに対し、米国では主にFacebookに依存し55%を占めています。

Xを重視するYostarの広告戦略

モバイルゲームのパブリッシャーであるYostarは、2017年以降に『アークナイツ』、『アズールレーン』、『ブルーアーカイブ』、および『雀魂 -じゃんたま-』といったモバイル2Dアニメゲームを成功裏にリリースしています。特に『アークナイツ』はIAP収益が14.5億ドルに達しており、日本はYostarの最大の市場で、全体の57%の収益を占めています。

日本のゲーム広告市場ではInstagramの広告費が最も高いですが、Yostarは主にX(旧Twitter)へ広告を出稿しており、Xでのインプレッションは95%に達しています。

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