昨今、冷凍食品市場において注目すべき動向が報告されました。株式会社読売広告社(本社:東京都港区、代表取締役社長:菊地英之、以下YOMIKO)が傘下に持つ株式会社ショッパーインサイト(本社:東京都港区、代表取締役社長:湯川孝一)が、日本最大規模の食品ID-POS購買行動データベース「real shopper SM」を用いて、2024年の上半期(4月から9月)における食品スーパーの冷凍食品の購入動向に関する詳細な分析を行いました。
冷凍食品は手軽さや調理時間の短縮に加え、味や品質の高さが広く評価されていることから、新たな商品カテゴリが続々と登場を果たしています。2013年の二人以上の世帯における冷凍調理食品の年間平均消費支出は5,964円であったのが、2023年には約1.8倍となる10,523円に達しています。このことは、冷凍食品が現代の生活に欠かせない存在となっていることを示しています。ここでは、冷凍食品の消費動向におけるいくつかの重要なポイントを紹介します。
分析結果のポイント
1)2024年上半期 冷凍食品ランキング1位は「冷凍米飯用総菜」
2)「冷凍ワンプレート」は若年層、シニア層共に人気
3)各カテゴリごとに併買商品の違いが明らかに
この記事の目次
1)2024年上半期冷凍食品ランキング1位は「冷凍米飯用総菜」
自炊と冷凍食品を効率良く組み合わせる「ハイブリッド自炊」
2024年4月から9月の期間における冷凍食品の1人あたりの購入金額の中で、最も大きな伸びを示したのは冷凍米飯用総菜であることが分かりました。このカテゴリには、牛丼や天津飯、中華丼などが含まれ、冷凍カレー(125.2%の伸び率)と共に特に注目を集めています。つまり、自宅でご飯を調理し、冷凍食品を具材として組み合わせる「ハイブリッド自炊」が増加していることを示唆しています。生活者は自分でご飯を炊くことで、適量を調整したいというニーズやライフスタイルの変化に応じた消費行動を取っているようです。

2)「冷凍ワンプレート」は若年層、シニア層ともに人気
「冷凍ワンプレート」は10代から20代男性、70代男性で170%超の成長を記録
年齢層別に見てみると、「冷凍米飯用総菜」は女性の各年代においても常に2位以内にランクインしています。特に「冷凍カレー」は10代から20代の男性や30代男性において際立った伸びを示しています。また、比較的新しいカテゴリである「冷凍ワンプレート」にも注目が集まっており、10代から20代の男性や70代の男女で170%超の成長を記録しています。この現象は、若年層とシニア層双方からの強い支持を反映しています。「冷凍ワンプレート」は多くがご飯とおかずがセットになっており、調理が簡単なため、料理の手間を省く点や栄養バランスが考慮されたおかずの多様性がこの成長を支えていると考えられます。

3)カテゴリごとの併買商品の違いが明らかに
「○○だけ主義」「ちょい足し健康意識」「気負わない自炊」など、生活者の食習慣に基づく傾向が浮かび上がる
冷凍食品のカテゴリ別に、併買商品がどのように異なるのかを「冷凍米飯用総菜」「冷凍ワンプレート」「冷凍焼鳥」の3つに分けて分析しました。
「冷凍米飯用総菜」では、手間を省くため、温めるだけでご飯に添えられる「カレーレトルト」や、すぐにおかずとして楽しめる「レトルトフライドチキン」や「レトルトハンバーグ」との併買が見られ、簡便さが重視される「○○だけ主義」が強く感じられます。
一方、「冷凍ワンプレート」では、主食として「米飯レトルト」や「調理パン」、「カップ麺」、さらには「弁当」などと共に、「ミックス野菜」や「ゼリー飲料」、「野菜飲料」を追加購入する傾向が見られ、健康意識が高い「ちょい足し健康意識」が持続的に広まっています。
「冷凍焼鳥」に関しては、「輸入鶏切身」や「唐揚粉」、「冷凍むきえび」、「輸入豚しゃぶしゃぶ用」などの生鮮食品を含む商品が高いリフト値を示しており、コストパフォーマンスと時間配分を重視する「気負わない自炊」が明らかになりました。

今後、YOMIKOは本サービスを通じて実際の購買データに基づく分析を行い、クライアント企業のビジネス成長に寄与していく考えです。
*1 real shopper SM: 全国規模で分析可能な食品の購入状況を示すデータベースです。
*2 総務省統計局 家計調査 冷凍調理食品より
出典元:株式会社ショッパーインサイト プレスリリース