どんな目的で使うといいの?プロテーナムの米沢さんにRPP-EXP広告の使いどころをお聞きしました
インタビューの概要

2024年5月にリリースされたRPP-EXP(エクスパンション)広告。楽天市場外に出稿できるのはわかるのですが、実際にどう使えばいいのかわからない人も多いですよね。どんな人が使うべきなのか、出稿したらどう運用すればいいのかなどを株式会社Proteinum(以下、プロテーナム)の米沢さんにお聞きしました。

RPP-EXP広告は何が「エクスパンション」された?

森野
今日は、楽天のRPP-EXP広告についてプロテーナムの米沢さんにお話を伺いたいと思います。RPP広告のエクスパンションとは何を拡張するのでしょうか?
米沢さん
RPP広告というのは楽天市場内での検索連動型広告のことです。ユーザーが検索したキーワードに関連する商品が広告として表示される仕組みですね。そして、「エクスパンション」は、楽天市場内での広告を楽天の外に広げるという意味です。具体的には、Googleのショッピング広告や検索広告を通じて、楽天市場の外部で表示されるようにするというものです。こうすることで、楽天内に限らず、外部サイトからも新しいお客さんを呼び込むことができるようになります。
森野
今までは楽天市場の中だけで広告が展開されていたのが、外部の検索エンジンを活用して新しい顧客層にアプローチできるようになった、ということですね。
米沢さん
それに加えて、楽天の購買データを活用することで適切なターゲティングができるのもポイントです。これまではGoogle広告に楽天市場の商品を出稿しても、どれだけ売上があったかを正確に測定するのが難しかったんです。しかし、RPP-EXP広告を活用することで、楽天市場のプラットフォーム内で売上や効果を確認できるようになります。
森野
コンバージョン計測ができるようになるのは大きなメリットですね。RPP広告との費用対効果を比較したり、意思決定がスムーズになりそうです。

広告の設定方法と効果測定

森野
RPP-EXP広告を利用するには、通常の楽天広告の管理画面から設定するのでしょうか?もしくは専用の管理画面があるのでしょうか。
米沢さん
基本的には、楽天の既存のプロモーションメニューの中に「検索連動型広告-エクスパンション(RPP-EXP)」という項目が追加されていますので、そこから操作していただけます。広告の設定方法自体は、他の楽天広告とあまり変わりません。プロモーションメニューの中には、楽天市場広告やクーポンアドバンス広告、TDA広告などのさまざまなメニューがあり、そこに新たにRPP-EXP広告が追加された形です。既存の管理画面を使うので、新しいツールを覚える必要はなく、スムーズに設定ができます。
RPP-EXP広告の管理画面
森野
操作に関してはそれほど難しくなさそうですね。広告予算についてですが、RPP-EXP広告の場合、どのくらいの金額から始めるのが良いのでしょうか。
米沢さん
RPP-EXP広告では月の広告予算の10%から20%程度を目安にするのが良いと思います。あまりに少ない予算で始めると効果が十分に見えず、検証もしにくくなってしまいます。一定の金額をまとめて試して、その結果を見ながら調整していくのが、効果測定を行う上でのベストプラクティスです。
森野
よくわからないからといって、様子見をして少額で出稿してしまうと効果の判断もできずに、無駄な広告費になってしまうということですね。

効果と課題

森野
広告の効果についてですが、楽天市場内でのRPP広告と比べてどういった違いがありますか?やはり楽天市場の外に出すと、広告の効果に違いが出るのでしょうか?
米沢さん
現時点では、まだRPP-EXP広告のデータが十分に集まっていないこともあって、効果に関する明確な結論は出ていませんが、初期の段階ではいくつかの課題が見えてきています。楽天市場内でのRPP広告は、購買意欲が高いユーザーをターゲットにできるため、コンバージョン率が比較的高いのが特徴です。しかし、RPP-EXP広告では、楽天市場外での広告表示となるため、まだ購買意欲が低いユーザーも多く、クリックされても売上につながりにくいケースがあるようです。
森野
なるほど、楽天市場内での広告と比べると、Googleの広告だとユーザーが他の商品やサイトと比較している可能性が高いですからね。そのため、購入に至るまでのハードルが高いということですね。
米沢さん
そうですね。Google広告は購買意欲の高低にかかわらず、多くのユーザーにリーチできますが、実際に購入に至るかどうかは別の話です。クリック数が増えてもコンバージョン率が低い場合、広告の費用対効果が悪化することがあります。

新規顧客の獲得

森野
RPP広告と単純に比較してしまうと費用対効果が悪く感じてしまうかもしれませんが、RPP-EXP広告を通じて新しいお客様を獲得する可能性はありますよね。楽天市場の既存顧客以外のユーザーにもリーチできるという点は魅力的です。
米沢さん
まさにその通りです。楽天市場内での広告がすでに多くのユーザーに届いている企業にとって、RPP-EXP広告を活用することで新しい顧客層にリーチできるのは大きなメリットです。先ほどお話ししましたように、楽天の購買データを活用してターゲティングを行うことで、購買意欲が高い層を狙った広告配信が可能になりますから。もちろん、全てのクリックがコンバージョンにつながるわけではありませんが、楽天市場内での広告と組み合わせて効果を最大化することが期待されます。
森野
一般的には新規のお客様を獲得するには、既存のお客様の5倍のコストがかかるといわれていますので、それぐらいと考えるのがいいですよね。
米沢さん
そうですね。ジャンルや商品の種類によってクリック単価は異なりますが、特に美容系や医薬品などのジャンルでは平均のCPCが高く設定されています。クリック単価が高いと、費用対効果を高めるためにはより高いコンバージョン率が求められますが、それでも新規顧客の獲得が広告の主な目的であれば、一定の投資を行うことは重要です。

広告の最適化と改善

森野
RPP-EXP広告を運用していく上で、最適化や改善のポイントはどのようなところにありますか?例えば、画像の変更やターゲティングの調整など、広告内容を細かくコントロールすることは可能でしょうか。
米沢さん
RPP-EXP広告に関しては、基本的に楽天のRMSに登録されている情報を元に広告が配信されるため、手動での広告内容の変更や画像の調整はできません。改善を行う際には、クリック単価の調整や除外商品の設定がメインになります。楽天市場内の広告と同じ仕様で、キャンペーンを作成し、クリック単価を設定して広告を有効にすると、対象の商品がすべて広告に出てしまいます。そのため、効果の悪い商品を除外したり、クリック単価を調整したりして最適化を図る必要があります。
森野
広告内容をコントロールできないと、最初はどの商品が効果的なのかを把握するのが難しいですね。
米沢さん
そうですね。特に、Googleの広告ガイドラインに沿った画像や情報が登録されていないと、広告が表示されないことがあります。背景が白い画像やカタログIDの登録は必須ですので、そこを押さえておくことが重要です。

他に見るべきところとしては、自社ECでGoogleのショッピング広告など出稿している場合に、RPP-EXP広告と掲載面がカニバるケースもあり得ますので、自社ECサイトがあるときは注意が必要ですね。
森野
自分でクリック単価あげることになってしまうので、それは避けたいところです。

現状でのまとめ

森野
今後参加する企業が増えれば、さらにCPCも高騰する可能性があると考えていますが、リリースされてあまり時間も経ってないので、現段階で具体的に予測するのは難しい部分もありますね。
米沢さん
そうですね。特に、Googleの広告ガイドラインに沿った画像や情報が登録されていないと、広告が表示されないことがあります。背景が白い画像やカタログIDの登録は必須ですので、そこを押さえておくことが重要です。

他に見るべきところとしては、自社ECでGoogleのショッピング広告など出稿している場合に、RPP-EXP広告と掲載面がカニバるケースもあり得ますので、自社ECサイトがあるときは注意が必要ですね。
森野
まとめると以下のようになりますね。

  • 楽天メインで事業を行っていて広告もある程度出稿している場合に、新規顧客獲得目的で出稿するとよさそう
  • RPP広告などの楽天内広告と比較すると費用対効果は悪くなるので、新規獲得単価を決めておく必要がある
  • 競合が増えてくると悪化する可能性があるので、その場合はROAS重視に設定できるとよさそう

  • とてもわかりやすい説明でした、ありがとうございます。

    インタビューを通して森野が思ったこと

    楽天外に出稿できる広告は過去にもありましたが、うまくいかないことが多かったように記憶しています。RPP-EXP広告は手間がかからず、楽天の購買データも使うとのことなので、うまくいくような気もしますが…。うまくいった事例などあればコマースピックさんでインタビュー記事にしたいと思います。

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